天使舞う、この世界
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NO.10 贋造魔女 千変万化鏡
前書き
前回の続きです。
空間からの緑色の光に吹っ飛ばされた俺。お取り込み中でしたか?
中を覗くと、いつもと同じ魔術師装束のルフェイちゃんがいた。
ただし、少し違った。
カラフルだった服は緑色を基調としていて、その形はライダースーツのような・・・・・・いっそのこと言うが全身タイツみたいなえらい体の線が浮き彫りになる服だった。わかりやすく言えば七罪大人バージョンの服装に似ている。髪の毛も緑色だ。
そして手には一本の箒を持っていた。
「暴走・・・・・・しているのかしら?」
多分そうだ。暴走する条件がわかんない!『天使』を発現させようとすると暴走するの!?
「ルフェイ!私の声が聞こえる!?」
ルフェイちゃんに呼び掛ける。しかし、返事は返ってこない。アーシアと同じような状況なのか?暴走して、敵味方わからず近づいてきた存在すべてを外敵と見なして攻撃するのか?ああもう、情報が圧倒的に足りない!
黒歌は俺との模擬戦に疲れたとか言った。おい、俺は全然疲れてないぞ。オーフィスにはこの空間の維持を頼んでいる。
必然的に俺一人でやるしかないらしい。ま、俺に任せてほしいがな。
「ルフェイ、聞こえてる?聞こえるなら反応しなさい」
そう言いながら近づいていく。すると、ルフェイちゃんはこちらをゆっくりと見てきた。その目に光はない。
「『贋造魔女』」
そう言いながら箒を俺に向ける。
数字は7、色は緑、金属は銅、宝石はエメラルド、惑星は金星、神名はアドナイ・ツァバオト、守護天使はハニエル。それがルフェイちゃんの『天使』。
「『絶滅天使』」
俺は王冠型の自分の『天使』を発現させる。
直後、『贋造魔女』の穂先が開き、中にあった鏡から光が発せられた。思わず目を瞑る。
目を開けて見えたものはーー
五歳ぐらいの黒髪の少女だった。
・・・・・・死にてぇぇぇぇっ!!ただでさえ自分の女装姿を見るだけでダメージなのにロリだと!?これ以上俺に黒歴史を積み重ねないでっ!それとルフェイちゃん!暴走してるはずなのに爆笑するな!暫くおやつ無しにしてやる!
と、ルフェイちゃんの前に魔方陣が現れる。そこから火の玉が何十も飛んできた!
「ちょっ!いまのおれロリだから!クソッ!『天翼』ッ!」
小柄な体に似合わない大きい光の翼で離脱する!体の感覚が狂う!言葉も変になる!強敵だ!(色々な意味で)
俺は反撃に光の槍を空中に作り出し、降り注がせる。
しかし、それに反応したルフェイちゃんが槍の雨に『贋造魔女』を向け、光を当てる。光の槍はすべて水に変わってしまった。コミカルにはならないのか。
「めんどくさいな・・・・・・・げんていれいそう」
口足らずな声で限定霊装を装備する。それと共に髪の毛も白くなる。流石に暴走とはいえ霊装全開の相手に霊装無しはキツいか。
「『光剣』、『牢獄』」
小手調べに『光剣』をあらゆる座標から放つ。ルフェイちゃんは全方向に魔力障壁を張ることで身を守った。
「『滅光刃』」
光の剣を作り出し、斬りかかる。ルフェイちゃんはそれに対して箒、つまり『贋造魔女』で受け止めた。意外と接近戦の心得がある動きだった。どこかぎこちないが。英雄派の皆さんの動きを見てきたからかな?
ルフェイちゃんがこちらに手を向け、魔方陣を展開してくる。そこから氷の槍を放ってくる。俺はそれを光の楯で防ぐ。
「ルフェイ!ぜんりょくでたえなさい!『滅光槍』ッ!」
先程より強力な槍を一本作り出し投げつける。それを見たルフェイちゃんは急いで魔力障壁を展開する。
そして槍が着弾した瞬間ーー
ドゴオォォォンッ!
という轟音が鳴り響く。あれ?俺の槍ってこんなに威力あったっけ?『滅光槍』は貫くだけで爆発なんてしないんだけど?
爆発による煙が晴れて、ルフェイちゃんの姿が見える。霊装の所々が破れ、肌に傷を負っていた。
正直、女性の肌に傷を付けるのはどうかと思うが、そんなこと配慮してやる余裕はない。
そして、俺は突然の光に覆われた。光が収まると、元の十七歳ぐらいの姿に戻っていた。結構なダメージだったみたいだ。
ルフェイちゃんがこちらをハイライトのない目で睨んでくる。起こってるのかな?
霊装を直しながらルフェイちゃんは『贋造魔女』を持っている右手を上に向ける。それに呼応するように『贋造魔女』が少し浮かぶ。そして、ルフェイちゃんが叫ぶ。
「『贋造魔女』ッ!『千変万化鏡』ッ!!」
宙に浮いていた『贋造魔女』が光を発し形を変えていく。そして光が収まった時、ルフェイちゃんの手には一本の槍が握られていた。あら?俺の『絶滅天使』をコピーするわけじゃないのか?
じゃああの槍はなんなんだ?
少し近づいてみたときに気づいた。とんでもない聖なるオーラに。まさかーー
「『黄昏の聖槍《トゥルー・ロンギヌス》』」
十三種の神滅具の中で最強の聖遺物、『黄昏の聖槍』がルフェイちゃんの手に収まった。
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『贋造魔女』、『千変万化鏡』。原作では他者の『天使』を劣化ではあるが形と能力をコピーする能力。これが本来の『千変万化鏡』の能力。だが、この世界には『神器』がある。だからルフェイちゃんは『神器』の『黄昏の聖槍』をコピーした。
って!
「それなんてチート!?」
『神器』のコピーって。劣化でもすごすぎるだろう。
ただ、ルフェイちゃんの霊力が一気に減少した。やっぱり『千変万化鏡』は消耗が激しいらしい。何度も使える代物ではないということか。
ルフェイちゃんが『黄昏の聖槍』を持って俺に仕掛けてきた。つき出される槍を光の楯で防ぐ。
が、少し力が競り合った後、俺の楯が突き破られた。まあ、俺はすでにその場から離脱しているのだが。
すかさずルフェイちゃんは魔法を撃ち出してくる。
「聖槍持っても魔法使いってか!」
火の玉、氷の矢、雷の槍、それら全てを光の槍を振り回して叩き落とす。次にルフェイちゃんは『黄昏の聖槍』を投げつけてくる。
ちょっと待て!自分の『天使』をぶん投げていいの!?とりあえず避けるけど!
俺が避けたら槍は緑色の光に変化してルフェイちゃんの手元に戻っていった。取りに行く必要無しですか。随分と便利だな!
「いい加減沈んでもいいと思うわよ!『砲冠』ッ!」
現状俺の最大威力の砲撃を放つ。それを全力の魔力障壁で防ごうとするルフェイちゃん。悪いけど、これだけじゃ終わらないぞ!光の槍を追加で放つ!小型の光の槍を十二本放ち、止めにかなりの霊力を込めた槍を突き刺す!
「マ○ー・デス○ラクト!」
なんちゃってマ○ー・デス○ラクトは、『贋造魔女』を木っ端微塵に砕いた。
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「やっと静まった・・・・・・」
ルフェイちゃんの『天使』の暴走をやっと止められた。『贋造魔女』が砕けると同時に霊装も消え、元の服装に戻るルフェイちゃん。
「終わったかにゃぁ?」
黒歌ぁ。お前まさかわざと参加しなかったのか?
「黒歌、まさかわざと参加しなかったのかしら?」
「まさか、手を出さないほうがいいと思ったから出なかっただけにゃ」
結局わざとやんけ!
「まあいいわよ。さてと、ルフェイを起こさないとね」
俺はルフェイちゃんの頬を軽くペチペチと叩いて起こそうとする。すると、それを見ていたオーフィスがなぜか一緒にルフェイちゃんの頬を軽くペチペチし始めた。
ペチペチペチペチペチペチペチペチ・・・・・・
「って、いい加減起きますよ!?」
お、起きたな。
「おはよう、ルフェイ」
「あ、おはようございます。・・・・・・じゃなくて!なんで何度も叩くんですか!?」
「ビンタじゃないだけいいじゃない」
「よくないですよ!身体中痛いんですから!筋肉痛でもここまで痛くないですよ!?」
ふむ、『天使』を初めて使ったから疲れたのかな?俺の時はあんまり疲れなかったんだけどなぁ。
「休んでいるところ悪いけれど、レーティングゲームがもう少しで始まるから行く準備をしてほしいにゃ」
あら、知らないうちに夜になっていたらしい。時間の流れとは早いものだ。
「じゃあルフェイちゃんは家で留守番ね。念のためオーフィスもついていてくれるかしら?」
「ん。任せる」
俺はルフェイちゃんを所謂お姫さまだっこで抱き抱え、一階のソファーに寝かせた。
「それじゃあ黒歌、行きましょうか」
「早くするにゃ!」
急かすなよ。準備といっても服を変えるくらいなんだから。後は正体がバレないように小物を持っていくくらいだ。
さてと、レーティングゲームを見守りにいきますか。
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レーティングゲームの会場は次元の狭間にある。そこで一つ問題が起きた。
「次元の狭間ってどうやって行けばいいのかしら・・・・・・?」
「そんな大事なことを今言わないでほしいにゃ!」
「仕方がないわね。黒歌、猫繋がりで頼むわ!」
「猫繋がりってまさかドラ○もんかにゃ!?私は便利猫じゃないにゃ!」
「どのみち黒歌の空間仙術で入るのだから変わらないわよ」
「結局そうなるのかにゃ!」
というわけで、空間仙術で次元の狭間に入って、後は俺の『天翼』の高速移動で会場に行くことにしました。
「白音~、怪我しないでね~」
「間違っても介入しちゃダメよ?」
とんでもなく不安なんだぜ。
後書き
ちょっと短いです。
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