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機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~

作者:setuna
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第七話 居場所

 
前書き
地球に降下したミネルバ。
 

 
医務室のベッドで寝ているアレックスをシン、ルナマリア、レイの三人が見守っていた。







































アレックスは夢を見ていた。
知らない人物。
だが、どこかで見覚えのある人物。

パトリック『撃…て…ジェネ…シ…我…ら…の世界…を奪っ…報い…』

そしてその人物の夢は途切れ、先程、戦ったジンのパイロットの言葉…。

『此処で無惨に散った命の嘆き忘れ、討った者等と何故偽りの世界で笑うか!!貴様等は!!軟弱なクラインの後継者どもに騙されて、ザフトは変わってしまった!!何故気付かぬか!!我等コーディネーターにとってパトリック・ザラの執った道こそが唯一正しきものと!!』

何故?
何故その名前を聞くと心が痛むのだろうか?











































アレックス「う…うぅぅ…」

アレックスがうっすらと瞼を上げるとシン達が安堵の息を吐いた。

シン「大丈夫ですか?ミネルバに着いた途端気絶するから驚きましたよ。」

アレックスはミネルバに着艦した途端に気絶してしまったのだ。
シン達は急いでアレックスを医務室に運んで、今の状態になっている。

アレックス「すまない、心配をかけて…ナオトはどうしたんだ?」

レイ「ナオトは、地球に降下する前に議長がボルテールに移る時の護衛として行きました。今はプラントにいるはずです」

アレックス「そうか…」

アレックスは起き上がると軍服を着始める。

ルナマリア「アレックスさん?大丈夫なんですか?」

アレックス「ああ、外の空気を吸いに行きたいんだ」

レイ「なら、俺達も行きます」

アレックス達は外の空気を吸うために甲板へと向かう。





















































甲板に出ると、地上の状況が芳しくないことは、空を見上げているだけで分かった。
戦闘も無く、手隙の者は甲板に出ていた。

ヴィーノ「太平洋って言うんだろ?うわー、でっけー」

ヴィーノが興奮したように、手すりに身を乗り出し、あたりを見回している。
彼に限らず、プラントで生まれて育ち、地上とは縁の無い者が殆どだった。
プラントにも人工的な水場はあるが、海の広大さには及ぶべくも無い。

ヨウラン「ヴィーノ!!そんな呑気なこと言ってられる場合かよ。どうしてそうなんだ、お前は」

ヴィーノ「人のこと言えるのかよ、ヨウラン」

ルナマリア「でもイメージと違うなあ。テレビや写真の海って、もっと鮮やかな青じゃなかった?」

アレックス「それは空の色だ。海の青は、空の青を写しているんだ。だから空が晴れていない時は、海の色も濁って見える」

レイ「…確かにあのような空も見たことはありませんね……」

ユニウスセブンの破片落下の影響で濁った雲が、辺りの空一面を覆っていた。

アレックス「砕いたとは言え、あれだけの質量が一気に大気圏に突入したんだ、地上にはかなりの影響があったはずだ。被害も少なくはないだろうな…ミネルバは…どこに向かうんだ?カーペンタリアか?」

シン「アスハの奴らがいるから、オーブに向かうそうです。あいつらもさっさと脱出してれば…」

ブツブツと文句を言うシンにアレックス達は苦笑する。

カガリ「アスラン」

アレックス「アスハ代表」

苦笑しているとカガリがアレックスの元に向かっていた。

カガリ「大丈夫かアスラン?気絶したって聞いたから心配したぞ?」

アレックス「え?あ、すみませんでした。アスハ代表。」

カガリ「…その呼び方は止めろ」

アスハ代表と言った瞬間にカガリは不機嫌そうな顔をする。

アレックス「他国の軍人である俺が代表を呼び捨てに出来るわけないでしょう?」

カガリ「ふん、まあいい。ほんとにとんでもないことになったが、ミネルバやイザーク達のおかげで被害の規模は格段に小さくなった。そのことは地球の人達も感謝してくれる」

シン「どうだか?」

カガリ「何だと?」

鼻を鳴らしながら言うシンにカガリが噛み付く。
シンは呆れたようにカガリを見ながらそう言う。

シン「あんただってブリッジに居たんだろ?ならこれがどういうことだったか分かってるはずだろ…ユニウスセブンの落下は自然現象じゃなかった。犯人が居るんだよ。落としたのは…俺達と同じコーディネーターさ。」

カガリ「あ…」

シン「あそこで家族を殺されてそのことをまだ恨んでる連中が、ナチュラルなんか滅びろって落としたんだ。それでも地球の人達は感謝するって思ってるのかよ?」

カガリ「……わ、分かってるそれは…でも!!」

シン「…でも何だよ……」

カガリ「お前達はそれを必死に止めようとしてくれたじゃないか!!」

シン「当たり前だ…!!プラントは殆ど地球からの輸入に頼っているんだぞ…。地球が滅んだらプラントも滅びるんだよ!!」

カガリ「………」

アレックス「だが……それでも破片は落ちた。俺達は……止めきれなかった」

カガリ「アスラン……」

ルナマリア「アレックスさん…」

アレックス「一部の者達のやったことだと言っても、俺達、コーディネーターのしたことに変わりない。許してくれるのかな…?…それでも……」

悲しげに呟くと、アレックスは甲板から中へ入って行ってしまった。

シン「奴等のリーダーが言ったんだ」

カガリ「え?」

シン「俺達コーディネイターにとって、パトリック・ザラの執った道こそが唯一正しいものだってさ。それを言われた時、セイバーの動きが止まった…。記憶は無くしても深く刻まれたのは消えないんだ。」

カガリ「ぁ……アスラン……」

シン「あんたは本当に何も分かってない。何も分かってない奴が下手な気休めなんかするな。あの人だって人間だ。傷ついたりするんだよ」

そう言うとシンは無言で甲板を後にした。
















































しばらくして、外で射撃の訓練をやることにした。
アレックスとレイは正確に的を撃ち抜いていく。
シンもアレックスやレイ程ではないが、射撃の腕はかなり高い。
ルナマリアは…何も言うまい。

ルナマリア「何で当たらないの~!?アレックスさん。ご指導お願いします!!」

アレックス「え?あ、ああ…前にも言ったように君はトリガーを引く瞬間に手首を捻る癖がある。だから着弾が散ってしまうんだ。そこさえ直せば良くなるよ、頑張って」

ルナマリア「はあい…」

シン「アレックスさん。後でシミュレーションに付き合ってくれませんか?」

地上戦での戦いのシミュレーションでは何度もしてきたが、実際にやるのは初めてだ。
やはりコロニーや宇宙とは勝手が違うだろうから、やっておくに越したことはない。

アレックス「勿論だ。シンだけではなくルナマリアとレイも地上戦に慣れていないはずだから、ある程度慣らしておかないとな」

全員【はい。】

カガリ「………」

遠目でアレックスとシン達のやり取りを見ていたカガリとキラは微妙そうな表情でそれを見ていた。
彼は今まで見たことがない穏やかな表情を彼らに浮かべていたから。












































おまけ

アレックス、シン、レイ、ルナマリアがシミュレーションをするが、結果は当然ルナマリアが全敗である。

ルナマリア「何で勝てないのよ~?少しくらい手加減してくれてもいいじゃない!!あんた達にはか弱い小鹿を思いやる優しさは無いの!!?」

アレックス、レイ「「(小鹿…?)」」

シン「手加減したら訓練にならないだろ。後、ルナ。お前のどこが小鹿なんだよ。どちらかと言うと女豹だろ?」

ルナマリアの小鹿発言にアレックスとレイが首を傾げる中、シンがズバッと言う。

ルナマリア「何ですって!!?」

アレックス「言い過ぎだぞシン」

シン「じゃあ否定出来るんですか?」

アレックス「……」

否定しようとしたが、即座に言葉が出て来ないアレックスであった。

ルナマリア「何で黙るんですか、そこは否定してくださいよ!!」

シン「あー、はいはい。」

シンは誤魔化すように話題をすり替える。

シン「あー、ルナ。全敗したんだからオーブに着いて、許可が出たらシュークリーム買ってこいよ。店の場所教えるし金出すから」

手土産がわりとでも言いたげな顔をして、何を言い出すかと思えばコレである。
ルナマリアは半ば呆れながら台詞を反芻した。

ルナマリア「な、何いきなり?シュークリーム?」

シン「オーブしかない新鮮なベリー系フルーツをふんだんに使ったベリーシュークリームにベリーソースがかかってる奴…。一勝も出来なかったルナに罰だ」

アレックス「甘そうだが、美味しそうだな」

シン「どういうわけか、あのシュークリームはオーブにしか売ってないんですよね。」

ルナマリア「わ、分かった…私とナオトさんと、レイとアレックスさんとシン…5つ買えばいいの?」

シン「6つだ。せっかくだからメイリンにも買ってこいよ」

レイ「ナオトは喜びそうですね」

アレックス「ああ、ナオトは甘い物が好きだからな」

オーブに行くまでの間、和やかな空気が彼らに流れていた。 
 

 
後書き
地球に降下してオーブに向かうまでの話。
この小説のシンはアレックスやナオトがいるために精神的に余裕があるため、ルナマリアをパシリに。 
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