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機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~

作者:setuna
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第八話 激戦

 
前書き
オーブでの一時、そして戦闘。 

 
翌日、ミネルバはオーブに着いた。
軍事島だと言うオノゴロ島へ案内された。
オーブは幸いユニウスセブンの被害は少なかったそうだ。
修理には数日はかかるらしい。
進水式もまだだと言うのに、まるで歴戦の艦みたいになって複雑な気分になる。
カガリはアレックスを連れ戻そうとしたが、アレックスは丁重にお断りした。
ルナマリアはシンとアレックスを探していたが、どこにも見当たらない。

レイ「どうしたルナマリア?」

ルナマリア「あ、レイ。シンとアレックスさん知らない?頼まれたシュークリーム買ってきたんだけど」

レイ「シンならアレックスと一緒に街に出たぞ」

ルナマリア「え?アレックスさん、街に出て大丈夫なの?」

レイ「大丈夫だ。シンもいるから大事にはならないはずだ」

問題もあったが、アカデミーで優秀な成績を出していたシンだ。
アレックスやナオトの指導もあり、今やザフトでも上位に位置する実力を今のシンは持っているのだから、オーブの軍人が絡んでこようとしても難なく逃れられるはずだ。

ルナマリア「でも、せっかくシンにオーブの案内をしてもらおうと思ったのにな」

レイ「仕方ない。ここは、シンの故郷と言っても、家族を亡くした場所でもある。そのままオーブにいても良かったものを、わざわざプラントに移住して来たんだ。辛かったろう」

ルナマリア「そっか。上陸だって、浮かれる気分にはならないよねぇ」

レイ「恐らく今は、家族の墓参りだろう。アレックスはその付き添いか」

ルナマリア「じゃあ、シンには悪いけど私達は楽しみましょうよ。せっかく出てきたんですから」

オーブは、前大戦時結構な被害を蒙ったと聞いていたが、復興振りは凄かった。

ルナマリア「随分、早いのね、復興するの」

レイ「前大戦時は、最後は一応連合側だったからな。現在宰相を務めているウナト・エマ・セイランは大西洋連邦寄りの政治家だ。かなりの大西洋連邦の復興資金が流れ込んだらしい」

ルナマリア「そうなの?」

レイ「ああ、大西洋連邦と言う大国のコネと金の力で復興を成し遂げたんだ。オーブは一度滅んだからな、自力だったらまだマスドライバーを再建するのが限界か。その代わり、国の結構な部分が大西洋連邦の紐付きになってしまった。表向きは中立でも、国全体として見るならもうこの国は中立じゃない」

ルナマリア「……気を抜かない方がよさそうね」

レイ「ああ」

誰もが上陸に浮かれる中、ルナマリアとレイは気を引き締めた。










































シンの家族の墓参りの付き添いでついて来たアレックスが、助手席に座って外の景色を眺めていたシンに尋ねた。

アレックス「シン…。オーブはお前の故郷なんだろう?シンはオーブのこと、どう思っているんだ?」

景色を眺めていたシンは少しの間を置いて口を開いた。

シン「理念だけの国…ですかね。オーブの理念は嫌いだけど…この国自体は嫌いじゃないです。学校に通っていた時に出来た友達や、小さい時からの知り合いがいますから…」

アレックス「そうか…」

そこから二人に会話は無かった。
シンは花屋で買った花束を握り締める。
シン車から降りると歩いていく。
少しだけ、目を閉じた
二年前、この道を慌てて下っていった。
オーブは連合軍の攻撃を受け、悲惨な状態となり、シンの家族は避難することになる。
しかし避難の最中、シンと少しだけ離れた家族に、流れ弾が。
それが家族の運命を変えた。
シンを残し、父も母も妹も死んだ。
しかし戦闘中のため、その遺骸を葬ることさえ出来ずに。
プラントへ移住することとなった。
そしてシンは軍人になった。
あの日、守れなかった自分の無力さが許せなかったから。
家族が亡くなった場所につく。
焼け焦げた木々はそのままで、しかし新芽がところどころ芽吹いていた。
アレックスはシンの家族に黙祷をするために目を閉じた。
シンは花束を置いた。

シン「父さん。母さん。マユ…俺、少しの間だけオーブに帰ってきたよ。ザフトの軍人になったから、父さんや母さんは怒るかもしれないけどさ…。でも、もう誰も守れないのは嫌なんだ。だから許してくれるよね?」

ふっと、シンは悲しげに微笑みを浮かべる。
それからまた口を開いた。

シン「俺、今…楽しくやってるよ。軍の仲間と馬鹿やったり、アレックスさんや皆と一緒に訓練したり、それから、大切な子に会えたよ。連合のエクステンデッドなんて言われてるけど、素直で…とてもいい子なんだ……俺、今はまだまだ弱いけど、いつかは皆を守れるくらいに強くなる……俺は戦うよ。手に入れた力で、皆を守ってみせるから…。だから、見守っててよ。俺が正しい道を進めるように。もう二度と、あんな悲劇は繰り返させはしないから。」

二年間溜まっていた想いを吐き出す。
海風が鳴っている。
あの日は昨日のようであり、しかし遠い昔のようだった。

アレックス「もう…いいのか?シン」

シン「はい。伝えたいことは全て伝えましたから」

アレックス「そうか…」

アレックスとシンは車に戻ると乗り込み、ミネルバに戻るのだった。








































数日後、宇宙で驚愕することが起きた。

メイリン『コンディションイエロー発令、コンディションイエロー発令。艦内警備ステータスB1。以後部外者の乗艦を全面的に禁止します。全保安要員は直ちに配置について下さい』

ユニウスセブンの件で連合がプラントに宣戦を布告したのだった……。

ルナマリア「で、状況はどうなの?人の行き来は禁止になっても情報はまだ大丈夫でしょう?」

アレックス「ああ、メイリンから聞いた話では、プラントに核攻撃が行われたらしい」

シン「……ニュースでプラントが破壊されたってないってことは無事に撃退したんですよね?」

アレックス「どうやらニュートロン・スタンピーダーが使われたらしい。核攻撃艦隊は全滅したようだ」









































そしてしばらくしてオーブが連合と同盟を結ぶことになった。
それを聞いたミネルバは明朝出航することになったのであった。

メイリン『発進は定刻通り。各艦員は最終チェックを急いで下さい。砲術B班は第三兵装バンクへ。コンディションイエロー発令。パイロットはブリーフィングルームへ集合して下さい』

シン「……けど、ザフトの降下作戦ていつ?」

ルナマリア「知らないわよ私も。しっかしこれでオーブも敵側とはね。けっこう好きだったのになこの国。……あ、ごめん。シンには辛いね」

シン「別に」

アレックス「ん?あれはアスハ代表じゃないか」

シン「え?」

カガリ「あ……」

カガリはシンを見て思わず言葉を詰まらせる。

シン「あの時オーブを攻めた地球軍と今度は同盟ですか?」

カガリ「え…?」

シン「何で地球軍と同盟なんかしたんです。」

カガリ「そ、それは…オーブを焼かないために…」

シン「だったら他に方法があったはずだろ!!中立を保つなら前にオーブを攻めた地球軍の落ち度を突くとか、プラントとの同盟をちらつかせて周りを黙らせるとか方法は沢山あっただろうが!!」

カガリ「だ、だが、オーブを復興したのは大西洋連邦で…」

シン「国を焼いたんだからそれぐらい当たり前だ!!場当たり的な対応ばかりしやがって!!」

その痛烈な言葉に思わずと言った風に顔を背けるカガリ。

シン「敵に回るって言うんなら、俺があんた達を討ってやる!!」

そういうとシンはそのままその場を去っていく。

カガリ「あ…シン!!」

アレックス「失礼します。アスハ代表。この処分は後ほど必ず。」

アレックスがカガリに頭を下げるとルナマリアとレイもそれを追い掛けた。

カガリ「あ、待ってくれ、アスラン!!」

カガリが呼び止める声にアレックスはピタリと足を止める。
そして静かにカガリの方を向いた。

アレックス「俺はアレックスだと何度言えば分かるんです?」

アレックスはそういうと振り返ることもせずシンを追い掛けた。










































ミネルバがオーブから出ると、すぐにコンディションレッドが発令される。

シン「何だ!?」

ルナマリア「一体なんだって言うのよ!?」

そう思っていると、艦内放送によって艦長から現状が告げられた。

タリア『現在、本艦の前面には空母四隻を含む地球軍艦隊が、そして、後方には自国の領海警護と思われるオーブ軍艦隊が展開中である。地球軍は本艦の出航を知り、網を張っていたものと思われ、またオーブは後方のドアを閉めている。我々には前方の地球軍艦隊突破のほかに活路はない。これより開始される戦闘は、かつてないほどに厳しいものになると思われる。本艦はなんとしてもこれを突破しなければならない。このミネルバクルーとしての誇りを持ち、最後まで諦めない各員の奮闘を期待する』

この報告を受け、艦内にいたミネルバクルーは全員驚愕する。

ルナマリア「そんな…ナオトさんがいないこんな時に…」

レイ「仕方ない。今いる俺達が退けるんだ。艦隊はアレックスとシンに任せるしかない」

ルナマリア「そうよね、ザクは飛べないし。」

アレックス「シン、怒りに囚われるな。冷静になれ。」

シン「分かってます。シン・アスカ、コアスプレンダー。行きます!!」

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク。出るわよ!!」

レイ「レイ・ザ・バレル、ザク。発信する!!」

インパルス、セイバー、ザクが出撃する。

シン「数ばかりゴチャゴチャと!!」

アレックス「シン、左側に敵を追い込んでくれ!!」

シン「はい!!」

セイバーとインパルスが突っ込むと敵MSは鳥が逃げるように散開する。

シン「墜ちろ!!」

インパルスのビームライフルからビームが放たれ、二機撃墜する。
セイバーもMA形態に変形し、グリフォン2ビームブレイドのビームを展開して、敵MSを撃墜していく。
しかし、インパルスとセイバーが撃ち漏らした敵MSがミネルバに攻撃を加える。

アレックス「しまった…!!」

シン「こんなところでやられてたまるかーーーっ!!!!」

アレックス「ええい!!」

MS形態に戻したセイバーを敵の密集した所へと突っ込ませ、ビームサーベルを抜き、脚部のビームサーベル、シールドのビームクローを展開しながら敵を薙ぎ倒し、離れている敵機には背部のアムフォルタスビーム砲改を肩部に展開し、アムフォルタスビーム砲改に内臓されているスーパーフォルティスビーム砲とライフルによるフルバーストを放つ。
しばらくして、左前方から何かが発進し、近づいてくる。

シン「大型MA!?」

アレックス「何だあれは…あれに取り付かれたらミネルバは終わりだぞ!!?」

セイバーとインパルスが迎撃に向かおうとするとミネルバから通信が入った。

メイリン『タンホイザーで敵大型MAと共に左前方の艦隊を薙ぎ払います!!アレックスさん、シン。気をつけて!!』

メイリンからの指示に、セイバーとインパルスはタンホイザーの射線から離れる。
敵大型MAは、前傾姿勢を取ると何か力場を発生した。
タンホイザーの光が射線上の物体を包んで行く。
閃光が晴れた時。

シン「あぁ……タンホイザーを、そんな……跳ね返した?」

アレックス「あれは…陽電子リフレクターか?厄介なものを…」

シン「アレックスさん!!あいつをやらないとミネルバが!!」

アレックス「ああ、分かっている!!今から敵MAの対空防御に穴を開ける。シン、止めは任せたぞ!!」

シン「はい!!」

セイバーがMA形態に変形し、大型MAが突っ込む。
大型MAが砲撃を放つが、MA形態のセイバーには当たらない。

シン「ミネルバ!!デュートリオンビームを!!それからソードシルエットを射出してくれ。MAと敵艦隊を叩き斬ってやる!!」

メイリン『は、はい!!』

ミネルバからデュートリオンビームが放たれる。
それを受け、インパルスのエネルギーが補給される。
そしてソードシルエットに換装するとフラッシュエッジを抜き、大型MAに向けて投擲する。
セイバーに気を向けていた大型MAの陽電子リフレクター発生装置が破壊された。

シン「アレックスさん!!」

片方のエクスカリバーをセイバーに投げ渡し、セイバーもエクスカリバーを受け取ると、構える。
陽電子リフレクターを失った大型MAはインパルスとセイバーのエクスカリバーにより、コクピットを貫かれ、爆散する。

アレックス「シン、次は艦隊をやる!!空母が沈めば戦闘は終わる!!」

シン「了解!!」

敵の艦にインパルスとセイバーが取り付くと、エクスカリバーで空母を切り刻み、撃沈させていく。












































セイバーとインパルスが連合艦隊を撃沈させると艦内がこれまで以上に湧き上がる。
艦長のタリアも流石にこの歓声を止めようとも思えず、疲れも溜まっていたことから椅子にもたれかかる。

タリア「コンディションオレンジに警戒を下げて。その後、オーブ近海から離れたらイエローに切り替えるわ」

アーサー「それにしても凄いですねアレックスとシン。空母2隻を含む敵艦6隻ですよ6隻!!」

タリア「そうね……あれが前大戦を生き残ったクルーゼ隊の赤服の力というわけなのね」

アーサー「え?」

タリアの小さい声にアーサーが首を傾げる。

タリア「何でもないわ…」









































アレックスとシンはミネルバに帰還に帰還すると手荒い歓迎を受けた。

ヴィーノ「すっげーや、アレックスさんやシン!!ほんと正直助かんないと思ってたもん」

ルナマリア「ほんと、二人共スーパーエース級の活躍じゃない」

シン「いや、アレックスさんが援護してくれなきゃ、出来ていたか分からないさ」

レイ「それでも見事だシン。それにアレックスも…二人が艦を守った。生きているということはそれだけで価値がある。明日があるということだからな」

レイもシンやアレックスに惜しみのない称賛を言う。
ミネルバクルーにも犠牲者はいないようだからよかった。













































プラントのアプリリウスにて、ナオトはこれからの行動に対する命令を、議長から受けるために議長の執務室にやってきた。

デュランダル「では、これからナオトと彼女には、ミネルバに合流してもらう。ナオトはフェイスにとはいえ、ミネルバ所属だからね。いつまでも席を離れているのはいけないだろう。オーブの情勢も気になるところだろうから、君達はオーブに向かってくれ」

ナオト「分かりました。ステラも大丈夫?」

ステラ「うん…じゃなくて、はい。」

ナオトが振り向いた先にはザフトの赤服を身に纏うステラの姿があった。
何故ステラが赤服を着ているのかというと、開戦したとナオトから聞かされ、シンも戦うことになると知ったステラが自分も戦うと言い出したのだ。
ナオトも最初は渋ったのだが、いくつかの条件をいれて、許可した。
議長の説得も彼女がした。
議長が納得したのはナチュラルであるステラがコーディネイターと共に戦うのは非常に意味があるとのことだった。
ステラの能力を考えて赤服が彼女に支給されたのである。
ナオトとステラはMSデッキに向かう。
ナオトはグフイグナイテッドに、ステラはミネルバから搬送された改良されたガイアに。
ガイアは地上で使うには、足りない機能がある。
本来ならそれをカオスが補う予定だったが今、ここにはカオスはない。
ガイアはスラスターの能力が強化され、ビーム砲とブースターの能力を兼ねるフライトユニットを両肩に装備し、空戦が可能になり、フライトユニットは向きを変えることが出来るために、MS形態の時も使用出来るため、火力も上がっている。

ナオト「それじゃあ行くよステラ!!」

ステラ「うん…ガイア…空飛べるの…?」

ナオト「ナオト・フジワラ、グフ。出るよ!!」

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

ナオトのグフとステラのガイアが地球にいるミネルバを目指して地球へと降下したのだった。 
 

 
後書き
オーブ海戦終了。
ナオトがステラを連れて戻ってきます。
ガイアが空戦が可能になりました。
 
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