ソードアート・オンライン~十一番目のユニークスキル~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
唯一無二の不確定因子
第十話 赤と黒の犯罪者
前書き
最近とても忙しく、更新が遅れてしまいました。
午前十時。
俺は現在の最前線である、七十四層の迷宮区へと続く森の小路の道外れを歩いていた。小路を通らなかったのは、景色を楽しみたいのと他のプレイヤーと鉢合わせになるのが嫌だからである。
木々の隙間から差し込む朝日が作り出す、無数の光の柱を眺めながら歩いていると、索敵範囲内に複数のプレイヤーの反応があった。メインメニューからマップを呼び出し確認すると、プレイヤーを示す緑の光点が五つ。その内の一人はアリスだった。
(アリスか・・・・・・だったら残りはKoBのメンバーだな)
挨拶でもしようかと思ったが、昨日言われた事もあるので、近くにある手頃な木に登り、<隠蔽>スキルを使用して身を隠した。
「さて、適当に時間をつぶすか・・・・・・」
そう呟き、俺は<索敵スキル>による接近警報をセットし、木の上で寝転んだ。
◆
二十分後。
「ふわぁ~」
俺は欠伸をしながら、上体を起こした。
(そろそろアリス達とも離れたろうし、行くとするか・・・・・・)
木から飛び降り、俺はのんびりと森の中を歩いて行った。
道中、モンスターと何度か遭遇したが、なんなく切り捨てて行く。そして森を抜けると、そこかしこに水色の花が点在する草原が広がっていた。道は真ん中を貫いて西に伸び、その先には七十四層の迷宮区が見える。アリス達の姿は見えないので、すでに内部に入ったのだろう。
(うーん、ここで寝たら絶対気持ちいいだろうなー)
そんなことを考えながら歩き、俺は不意に立ち止まった。そして、何もない空間を見据えながら声を発する。
「――誰だ? そこに隠れている二人、出てこい」
数秒後、俺が見ていたところの輪郭が揺らぎ、二人のプレイヤーが出てくる。それを見た途端、目を見開いた。カーソルはオレンジ、犯罪者である。だが、そんなことよりも、そこに現れたプレイヤーに俺は驚いた。
「・・・・・・赤眼のザザ、ジョニー・ブラック・・・・・・」
「・・・・・・よく見破ったな。さすがは<白き死神>」
<白き死神>それは俺の二つ名だ。二か月前のラフコフの討伐作戦時にオレンジプレイヤーによってつけられたもの。
「・・・・・・なんでお前らが最前線のこんなところにいるんだ?」
「お前に言うぎりはねえな」
「まあいい・・・・・・」
それだけ言って、俺は小太刀を抜き、ザザに斬りかかった。
「どんな理由にせよ、お前らを牢獄に叩き込むことには変わりはねえ!!」
しかし、それはステップで回避され、逆に右手のエストックを突き出してくる。それを俺は切っ先が届く前に軌道に割り込み弾く。カウンターをしようとすると、横からジョニーがナイフを構え、突進してくるのが目に入ったため、俺は後ろに飛び、回避した。
「フン・・・・・・あれだけ、殺して、おいて、俺たちは、牢獄に、叩き込むだけ、とはな・・・・・・ずいぶんと、いい、性格を、してるな!」
そう言い、今度はザザが一直線に突っ込んできた。それを今度はパリィし、反撃しようとするが、その前にジョニーが割り込んできたので、やむを得ず後ろに飛んだ。しかし、それを読んでいたのかザザは俺を追うかのように前に大きく踏み込んできた。
(まずい、ソードスキルがくる・・・・・・)
そう判断した俺は、地に足がついた瞬間、必死にザザの横に向かって飛んだ。エストックは刃を持たず、貫くことに特化した武器。そのため必然的にソードスキルも突き技のみなので、正面に立たなければ、攻撃は当たらないはず。しかし、予想に反し、ザザはソードスキルを放ってこなかった。
(――! フェイク!? やられる・・・・・・)
そう思ったが、ザザはこちらを一瞥だけをして、俺と距離をとった。なにか来るのか、と警戒したが、ジョニーもザザもただ武器を構え、こちらの出方を見ているだけだった。
(・・・・・・? どうして攻撃してこない・・・・・・いや、その前になぜソードスキルを使ってこないんだ・・・・・・まるで時間を稼ぐような戦い方・・・・・・時間・・・・・・)
そう考えた瞬間に俺の脳裏に、数十分前のことが甦った。
(・・・・・・アリス・・・・・・?)
そして二人の後ろを見た。そこには迷宮区があるだけだ。だがしかし
「きさまら・・・・・・まさかアリスを・・・・・・」
俺は声を震えさせながら絞り出した。そう。アリスは先に迷宮区に行っているはず。俺が会わないように木の上で寝ている間に。
「・・・・・・クク、なんだ、もう、気づいた、のか?」
「ヘッドは中だ。そろそろカタがついてるころだろーぜ」
二人は楽しむかのように笑いながらそう言った。
それを聞き、俺は全てを悟った。
(こいつらの目的はpohがアリスを殺すのを邪魔させないための足止め・・・・・・)
次の瞬間、俺の脳から理性が吹き飛び、迷宮区の入り口を守るように立ちふさがる二人に向かって走り、叫んでいた。
「そこをどけええええええええええええええっ!!!」
「ク、ク、ク。通すと、思って、いるのか」
「もっと遊んでもらうぜ、<白き死神>!!」
手前にいたザザに剣を振り下ろしたが、当然頭に血が上っている攻撃はあたらず、逆に腹を蹴り飛ばされ、後ろに転がった。それを見たザザは楽しそうな声を上げる。
「どうした? 姫様を助けるんじゃないのか?」
それを聞いた瞬間に、俺の頭は急速に冷え、思考がクリアになる。
そして決意した。
(あれを使おう)
俺はゆったりと立ち上がり、小太刀を鞘に納め、ある言葉を呟いた。直後、足元から赤いオーラが立ち上り全身を包み始めた。
武器を納めたことに怪訝そうな顔をしていた二人はその突然の出来事を見て、驚きの表情を浮かべた。
俺はその二人をよそに両手を腰に構え、物をすくうかのように上に振り上げた。
その瞬間、ザザとジョニーの背後の地面から一本の大剣が斜めに飛び出て、二人を串刺しにした。
「がはっ!」
「な、なんだ・・・・・・これは・・・・・・」
「五封剣」
俺はそう呟き、両手を頭上に物を持ち上げるかのように構えた。すると二人の上に赤いオーラが集まり、そこから四本の剣が生み出される。そしてその構えた手を交差させるように振り下ろした瞬間、その剣はすさまじい速度で二人の手足に一本ずつ刺さった。
「「ぐっ」」
俺は身動きができなくなった二人の脇を走り抜け、迷宮区の中に向かうべく敏捷力全開で走る。
「くそっ! たのむ、間に合ってくれ!!」
後書き
十一話目です! この後はさらに忙しくなるのでいつ出せるかわかりませんができる限り、早く出したいと思っております。
誤字脱字の指摘、感想お待ちしております!
ページ上へ戻る