戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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十一章
朝食×登城
「お待たせー。机出したな?今回の朝食はこれだ」
そう言って空間から取り出したのは、ご飯と味噌汁に卵に海苔とお浸し、最後に鮎の焼き魚を一人一人のとこに置いた。
「では、箸も置いたな。いただきます」
『いただきます!』
「はー。やはり焼き魚は最高です。一発屋もですが、一真様の焼き魚より美味しい何て。それに何と香ばしい香りでしょうか。功ある家臣に畏き所より下賜されるという、蘭奢待もこの香りには勝てないでしょう」
「何か知らん用語が出てきたな。らんじゃたいって何?」
「九重の内にましますお方がお持ちの、昔から伝わる香木の事です。とっても良い香りがするらしいです」
ふむそうなのか?今でいう香水とかのあれかな。詩乃は焼き魚で嬉しがるし、リアクションもワンパターン化して来たくらいに美味しそうに食べている。
「あと、味噌汁も美味しいよねー。尾張のとは味噌が違うようだけど」
「鞠、こんな美味しいの、初めて食べたの!いつもご飯は冷めているけど、このご飯はまるで炊きたてのようなの」
「そりゃよかった。作ったかいがあったよ」
「そういえば、お頭の朝食はいつも真っ白なご飯何ですけど、毎日白いご飯を食べてたんですか?」
「ん?そりゃそうだろう。玄米で食べる人はあんまりいないよ。ここではあれか?身分の低い者は白米じゃなくて玄米とかなのか?」
「んー、炊き立てでホカホカだからおいしーい」
「そういえばこの卵は何に使うのですか?」
「これはこう使う」
俺は海苔で少し食べた後に、卵を器に入れた後に混ぜてからご飯にかけた。卵かけご飯だ。これは美味いぞと言った後に皆も真似してたけど。ちなみに詩乃は、最近よく喋るようになったというより馴染んだというのが正解。食い終わった後、全員で井戸の前で集まり歯磨きをした。ちなみに皿とか箸は、トレミーの返却口に置いた。
歯磨きした後、散歩に行こうとの事で全員井之口に来た訳だが、人が多すぎる。やはり出陣前なのか、畿内中のあぶれ足軽達が戦の匂いを嗅ぎつけて美濃に集まってるらしい。足軽達は商品を提供するために、どこからともなく行商人が集まってきたけど。血気盛んな足軽と、それに負けないぐらい商魂逞しい行商人の喧噪は、どこか乱暴であったが、活気に満ち溢れている。
「人がたーくさんなのに、この町は何だかとても安全そうなの。すごいねー」
「我らが主である久遠様は、公権力を持つ者が、その権力を笠に着て、弱い物イジメをする事が、大嫌いなんだよ」
「一銭斬りって言って、庶民から一銭でも盗んだり、脅し取ったりしたら死罪って、きびしーい刑罰があるの。だから乱暴者が少ないんだよ、鞠ちゃん」
「ふぇぇ、怖いの~。・・・・でも鞠平気なの!だって鞠は泥棒さんではないもん!」
「だな。どれだけ厳しい規律や法律があったとしても、自分は反しないって思うなら、平気だな」
「うん!」
「事実、織田領は、夜、戸を開けて寝ていても、野盗が来ないと言われる程、治安抜群ですからね」
安全ならそれでよし。こちらも規律を乱した輩は、減給するなり牢屋に入れたりとかだけど、我が隊は規律通り。現代人が盗みを働いただけで、死罪は厳しいと思うがここにとっては、それが当たり前何だろう。この世界には、人種が大きく二つに分かれている。現代で言うなら、アメリカは銃とかは普通に持っているが、日本だと持ち歩いてはいけない事。特に現代日本は、銃砲刀剣類所持等取締法で略称が銃刀法違反と言う。
「そういえば一真様、評定っていつぐらいから開くんでしょうか?」
「さあな?俺達が散歩してた後にでもやるんじゃねえの」
「そうですか。いよいよなんですね・・・・」
まあなと言いながらも、歩きながらそう言う。六角氏の抵抗はどんなものなのかとか、三好・松永の勢力とか。越前の鬼はどうなっているとかな。
「織田衆、松平衆揃っての大評定になるからな、もう準備はいつでも出来てるけど」
「一真隊からは誰が出ます?」
「俺ところ、それに詩乃と考えている。あと黒鮫隊代表として副長劉零と誠と沙紀が出るそうだ。鞠はひよと一緒に長屋にて待機」
「分かったの!」
と言ったら早馬が来たな。そういえば前にもこんな感じなのが、あったな。
「早馬が来たという事は、何かあったらしいな。鞠とひよは長屋に戻っていてな?俺ところと詩乃で登城する。あと劉零達も呼ばないとな、ちょっと待ってな」
俺はケータイを取り出して、劉零に電話をかけた。出たら、トレミーが早馬を発見したとの事で、もう既に準備完了の事。切った後に、空間から劉零と誠と沙紀が出てきた。登城するメンツが揃ったので、俺達は稲葉山城に登城した。
「おーい、一真!」
「おはよーございます」
「おっはよーですよー♪」
「おー。三若ー」
「誰が三バカだっ!」
「言ってないだろう、三若って言ったの。それにしても三人一緒で、いつも仲良しだな」
「まぁ、ボクら、昔なじみだかんなー」
「雛は途中で転入って感じだけどね~」
「出世も同じくらいの早さだし、いつもどこかで競ってるもんねー」
「幼馴染みたいなもんか」
そんな感じとか言ってたら久遠が寂しがっていたと。別にそんな感じではなかった感じはするが、とりあえず謝っておいたとな。
「経験豊富な俺や森親子がいた方がいいだろう。森一家の扱いも何となくだが理解した気がする」
「それは凄い」
「うわー、それって凄い経験ですよ」
「あいつら、何考えてんのか分からないから、ボク苦手なんだよなー」
「ああ、それね。まあそれについての気持ちは分からんでもないが、俺達黒鮫隊も数々の修羅場を潜ってきたようなもんだ。それに俺も半分戦闘狂になる事があるからその気持ちは分かるんだよな」
「隊長のは、半分じゃなくて全部でしょ?何せ鬼相手に血祭りあげたと聞きましたが、笑いながら戦っていたと」
とか言っていたが、実際は俺達が使っている兵器だし。威力もこいつらには知っているし、前に演習で使ったしな。
「そういえば、朝早馬が城に向かったらしいけど、誰か何か知らないか?」
「俺達も知らないが、評定の間に行けば分かるから早く行こうぜ」
大評定に向けて、慌ただしい城内を歩き評定の間に入った。すると既に、壬月と麦穂の二人が端然と座っていた。
「おはようございます、一真様」
「おう。早いな一真様」
「おはよう。で、まだ壬月達しか来てないの?」
「まだ少し時間があるからな。・・・・まぁ森の二人は来ないだろうが」
「でも森一家の代表として各務さんが来るでしょうから、それで事足りると思いますよ」
各務というのは、前言った通り森家の二人を支える、名参謀にして名家宰。黒鮫隊で言うなら、副長の劉零。自由人、森親子を頭に頂く森一家が、何とかかんとかで織田家という組織の中でやれているのも各務の存在が大きい。本人は至って無口な人だけど、やる事は正確にやっているから森家の一員にして欠かせない存在だ。森親子は各務に頭が上がらんと聞いた。
「ところで壬月。朝の早馬が持ってきた報せは何か知ってる?」
「いや、まだ殿から聞いておらん。しかし何か変事が起こったのは間違いないな」
「そうか。上洛に影響が無いのであればいいんだけど、例えば俺らの背後とか」
「信濃に駿府。動きそうな勢力が多いですからね。軍団を二つに分けるとなると、かなり厳しくなりますが」
「まあな。それが動いたとなればマズイ事だ。戦略とかを変える必要がある」
「うむ。しかし今は殿からの話を待つしかあるまい」
「あー!一真様なのです!おはよーです!」
「綾那、それに歌夜も。おはよう」
「おはようございます。本日は宜しくお願い致します」
と言った後、あの二人は?と聞くとエーリカと話があるんだと。エーリカとねぇ、何の話かなと思ったら、葵達が姿を現した。ほぼそれと同時に、上段に久遠が姿を現す。
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