戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
十一章
長屋の朝
「うにゅ~・・・・むにゃむにゃ・・・・」
ん?何だこの声は?何か癒しボイスが聞こえるぞ。トレミーのベッドではないよな、こんなに暖かいから、目が覚めたらいつもの部屋であった。
「すぅー・・・・すぅー・・・・」
「ん?・・・・」
思わず布団をめくりあげてみた。しかも聞いた事のある寝息だったからだ。
「んん~~~・・・・くしゅ・・・」
「何だ鞠かよ~」
「ふぇぇ・・・・?」
くしゃみをした事で目が覚めたようだ。鞠はゴシゴシと目をこすりながら、もぞもぞと起き上がる。
「あふぅ・・・・おはよー、一真ぁ~・・・・」
「はい、おはようさん。ってかいつの間に忍び込んだんだ、鞠」
「ふぇ?鞠、忍び込んでないの・・・・」
「ここは俺の部屋だぞ?」
「ん・・・・分からないの。でも鞠、厠に行った後ちゃんと寝たもん」
あー、なるほどな。トイレに行った後寝ぼけて部屋を間違えたと。
「それじゃ鞠。そろそろ起きて顔を洗おうか?」
「はーいなの・・・・」
俺と鞠は起きて襖を開けて井戸がある場所へ向かった。いつもなのか、二人も起きてきたみたいだ。
「おはよーございます、お頭」
「おはよーございまーす!」
「おはよう」
「おはよーなの!」
「あれ?鞠ちゃんもう起きたんだ?早いね!」
「うん!鞠ね、一真と一緒に寝てたから、一真が起こしてくれたの!」
「「えっ!?」」
鞠の言葉に、場が一瞬凍りつく。
「二人の想像してるもんじゃねえぞ。鞠は厠に行った後、間違えて俺の部屋に来て、布団に入ったそうだ」
「なるほど。確かに寝ぼけてると間違いますよね」
「おはよう・・・・ございます」
「おはよう・・・・って、まだ寝てるな詩乃」
「どうにも朝が弱くて・・・・むにゃむにゃ」
普段とは正反対のふんわりとした声で、応えた詩乃。目をこすりながら井戸端に近寄るが、まだ睡眠と覚醒の間のようだ。
「そのままだと危ないから、ひよ。盥に水を入れてくれるか」
「あ、はい!お頭、準備できましたー!」
「ありがと。ほら、詩乃」
「・・・・うー。水が掬えません」
まだフラフラとした状態なのか、詩乃が甘えるような声で言ってくる。
「しょうがない。詩乃、しゃがめ」
「・・・・はい」
盥の水で自分のフェイスタオルを濡らして固く絞った。しゃがませた詩乃の顔を拭く。
「うにゃうにゃうにゃ」
「よし、綺麗になったぞ。目、覚めたか?」
「・・・・おお。この世は何と美しいのでしょう」
さっき使ったのを、空間の先にあるトレミーの洗濯籠に入れといて新しいタオルを出す。そして俺も顔を洗った後に洗顔剤で塗ってから、再度水で洗い落とした。拭いた後に再び空間にしまう。
「さてと、目が覚めたし。鞠もちゃんと顔洗った?」
「洗ったのー!」
「了解。じゃ、飯を作りに行きますか」
「一発屋ではないのですか?」
「そ、一発屋もいいけど俺が作るものもいいが、何がいい?」
「久々に焼き魚がいいです。長久手は海より離れてましたし、田舎故干物しか食べられなかったです」
俺は分かったといってから、俺の部屋で待っていろと言ってついでに机を出してろとも言った。その後に、俺はトレミーの食堂に入る前に自動販売機で缶コーヒーを買った。飲みたかったしね。飲んだら食堂の厨房に入っていった。えーと、確か鮎があったような気がしたから冷凍庫を開けてみると、ちょうど5匹いたので冷凍庫から取り出した。そしてそのまま解凍してから、味噌汁を作り始めた。味噌汁はなぜか知らんが俺が作るようにしている。何でも隊員全員が俺に作ってほしいのだと。なので作っている。最後に白味噌を入れてと。完成後、鮎をグリルで焼いた。お浸しもあるので、あと卵も。作り終わったので、全品を空間に入れると、俺は厨房から出た後に手を洗ってから長屋のとこに戻った。
ページ上へ戻る