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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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九章
  鬼の巣へご案内

「綾那、何か用?」

少女は、綾那の周囲にたむろする俺達を、不思議そうに見つめながら綾那に尋ねる。

「あのですね、この辺りに鬼の巣はあるのです。いっちょ殺っちゃうです?」

「鬼の巣?」

今一状況が飲み込めないのか、歌夜は首を捻りながら口を開く。

「それよりこちらの方々は?」

「あっ!えへへ、すっかり忘れてたです!ええと・・・・詩乃は知ってるです?」

「そりゃ使いに来てくれて、先導もしてもらってるから当然知っているわよ」

「ならこっちです!美濃出身で、織田家中の森三左殿と森勝蔵殿!」

「誰だてめぇ?やんのかこら?あんっ?」

「いつでも喧嘩上等だ、小娘がぁ!」

「誰が喧嘩腰で挨拶しろと言ったのか!この馬鹿者共が!」

喧嘩腰で言った桐琴と小夜叉にハリセン一発。そしたら静かになったけど、殺気も込めてたからだと思う。

「いってぇ!ついやっちまうんだよな、母」

「うむ。一真のあれは最早畏怖だ。ここは静かにしてようぞ」

と反省モードに入ったけどね。そしたら、歌夜は普通に自己紹介してたけど。俺の殺気一瞬だけ出したんだけど動じないとは。

「それでそれで、ですね!こちらが詩乃のご主人様であり、織田の殿さんの彼氏さん!それに歌夜と二人で見た、あの田楽狭間の・・・・」

「もしかして織斑一真様?」

「ですですですーっ♪」

「まあ・・・・これは失礼致しました。まさか本物の一真様にお会いできるとは思いもよりませんで・・・・」

穏やかに答えた歌夜が、ゆっくりと頭を下げる。

「我が名は榊原小平太康政。通称、歌夜と申します。一真様はお気軽に、歌夜とお呼び捨て下さいませ。そして綾那ともども。お見知りおきを」

「あーうむ。俺の名は織斑一真だ。よろしくな。ところで俺らは鬼の巣に行くのだが綾那と歌夜は一緒に行くか?そろそろ森親子もイライラしてる所だから」

「来たばかりの私には良く分からない事なのですが、鬼の巣とは何の事なのでしょう?」

「んとですね、一真様が仰るには、この辺りに鬼の巣があるらしいのです。だから殺りますか!です!」

「・・・・話の繋がりが無さ過ぎて、今一意味が分からないんだけど。つまり、この長久手周辺に鬼の巣を発見したから、戦の前に小手調べをしておきたいって事ね」

「です!」

「味方の規模は?」

「規模はー?」

「無論俺・桐琴・小夜叉のみだ。元々俺ら三人だけで行くはずだったのだから」

「敵である鬼は何匹程なのでしょうか?」

「先ほど調べた結果、小物が三十から五十と結果が出た」

「一真、こちらでは物見の報告では三十と聞いたが」

「こちらには調べるものがあるからな。五十いたとしても桐琴二十、小夜叉十五、俺十五で倒せばいい」

「さっすが!分かってるじゃねえか!一真」

まあ、森一家に任せるのもいいけど、近接格闘でどのくらい有効かを調査するためでもある。聖剣エクスカリバーでやっちまえば、すぐ終わらせるけど。

「はぁ~~~~・・・・三十から五十の鬼を、たった三人でどうしようと思っていたのですか!」

「「「ぶち殺そうか/死なそう/と思っていた」」」

「はぁ~~~~!全くこの三人は!と言っても無駄だけなので武運位は祈ってあげます。これから皆で討伐に行きましょう」

「ガキに言われんでもその気であるわい」

「ふむー。三十から五十を五人なら肩慣らしぐらいにはなるですねー。・・・・殺っちゃうですか、歌夜!」

「そうね・・・・ではその鬼退治、我ら松平衆も参加させて頂いても宜しいでしょうか?」

「ああんっ!?駄目に決まってんだろ!てめぇらが参加したらオレがぶっ殺す鬼が減っちまうじゃねーか!」

「その通りだ、元々この三人で行こうとしてた所何だ。今回は松平衆は見学で頼む。それに俺も鬼をぶっ殺せるいい機会だしな」

「一真、今回は松平衆の実力も把握するいい機会だとワシは思うが」

「そうか?桐琴が言うんだったらいいだろう。それに鬼何ぞ、これからいくらでもぶっ殺せるからか?」

「おうよ、その通りだ。この日の本中にいる鬼はこれからでも駆逐できるからな。くくっ・・・・くっくっくっくっ」

という事で話が決まった。俺と森親子は笑っていたようだけど。詩乃は、特に森親子の事はキチガイだと納得したようだ。

「では、鬼の巣とやらに向かいましょう。・・・・三左殿、先陣をお願いしてもよろしいですか?」

「うむ。譲る気など毛頭ない。が、ここは一真に先陣を譲る。一真の方が鬼の巣がある場所は、正確に分かるからな」

「任せな。全員、俺について来い!」

と言って先陣になった俺は、鬼の巣がある場所に馬を走らせた。馬=ゼロだからトレミーとリンクしているから、どこにあるかは聞かなくても分かる。一応通信機はめてるけど。一番は俺で二番三番は森親子だったけどね、小夜叉何か文句言ってた。俺は冷静に考えながら先導して行き、周囲一帯警戒しながら、山の中に分け入り、やがて目的地である洞窟に到着した。

「何とか夜になる前に到着したな」

「ここが鬼の巣ですか・・・・」

「ああ。鬼は今眠っているよ。あいつらは基本的に夜行性だからな、それに小物の鬼は日が高い内は、結構動きが鈍いんだ」

「そんな事まで分かっているんですか?」

「まあね。数々の鬼の巣を駆逐してきたからな。鬼の生態はよく分かっている方だ」

俺は言いながら、懐に入れてあった手榴弾=スタングレネードを手にする。

「それは一体?」

「一種の爆弾だよ。これを洞窟の中に爆破させると、爆音と閃光により一時的な失明・眩暈・難聴・耳鳴りなどの症状となり、寝起きの鬼は混乱してしばらく隙だらけになる」

「一真!こっちはいつでも準備完了だぜ!」

「分かってるよ、・・・・これを手榴弾と言う。これを障害物とかに投げてから数秒経つと、ドカンと爆発する仕掛けだ。桐琴、準備は?」

「いつでも出来ておる。おいガキ共、準備は良いか?」

「いつでも行けんぞ、母ぁ!」

「同じく」

「です!忠勝が槍、蜻蛉切りの斬れ味、鬼達に味わわせてやるです!」

「待てクソガキ。蜻蛉切りだと?」

「へ?そうですよ。綾那の槍は蜻蛉切りと言って、穂先に止まった蜻蛉がシュパッと切れたって謂われがあるですよ」

「待てぃ!我が愛槍の真似をするな!」

「むー。綾那、真似何てしてないです!」

「しておる!我が槍の名は蜻蛉止まらず!蜻蛉が止まろうとしても身を切断されて止まれないという、日の本一の斬れ味を誇る名槍ぞ!」

「綾那の蜻蛉切りだって日の本一なのです!絶対、絶対負けないです!」

「むぅ・・・・ならばどちらが多くの鬼を殺せるか、勝負するぞ!」

「です!」

「二人共、そろそろいいかな?これじゃ投げても爆音で耳やられても知らないよ?」

「あ、ああ。頼む一真」

と言ってから、松平衆も森親子も詩乃も耳を塞いだ。俺はスタングレネードの安全ピンを抜いた後に素早く空間に入れて洞窟の中に置いた。数秒経ってから物凄い爆音が響いた事で混乱する鬼が出てきた。 
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