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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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九章
  戦闘狂

「一真の思っている通りさ。百段は普通の馬ではないからな。瓢箪にでも封印しとかんと、誰でもかれでも喰らって手がつけられん」

「なるほどな。中を見たが凶暴だなと思ったぜ」

「ほう、中が見えるのか。さすが神と言ったところか」

「まあな、そういえば小夜叉。いつもの槍と違うな」

「おー。めざといなお前!お年玉を貯めて、ようやく手に入れたんだよ、之定の十文字槍!」

之定・・・・美濃国・関で活躍した刀工、二代目和泉守兼定の通称。

「のさだ?」

「二代目兼定。通称、之定だ」

「へへー、良いだろ!この前、長島で坊主どもを撫で切りにしてやったらさ、すげーんだぜこの槍。骨何て無いも同然の斬れ味でさー、坊主の頸がスッパスッパ飛んでいくし、五人ぐらいなら軽く串刺しにできるしで、もう最高だぜー!」

「そうか。まあ俺の武器だって斬れ味は抜群だしな」

「だからな、人間無骨って名付けてみた!・・・・どうだ一真、格好良くないか?」

「いい名前だな」

「だろー!いやぁやっぱオレってば、典雅に精通したおしゃれ武士だなぁ!」

ケタケタと笑いながら、結構ひどい事を平気で言っている所の小夜叉が可愛く見える。これで小さい体で、家中じゃ並ぶものがいない程凶暴凶悪、最強ではないが。最強は俺だけどね。前に小夜叉と仕合したけど、俺が勝っちまったからな。だから織田家中で最強は決まったも同然。あとは壬月か麦穂くらいかな。三若はただ怖いという理由だけで、手合せはしないそうだ。

「まあその調子で鬼相手もよろしくな」

「おう任せとけ。一真も程々にな」

「・・・・ん~??」

「どうした、桐琴?」

「おう。向こうに砂埃が見えてな。・・・・何やら、前から馬が何頭か、駆けてくるようだぞ」

俺は双眼鏡で見ると、まだ遠いが見えるな。でもさすが桐琴と言った所か。俺には何も見えなくて精々双眼鏡でやっと見える距離。肉眼で確認できるとは、さすが戦闘民族だなと思ったけど。

「今川の野郎かっ!?それとも美濃のボケナスが隠れていたのかっ!?何にせよ、いつでも殺ってやんぜ!」

「小夜叉、美濃のなら皆殺ししたからいないだろう?それに龍興の頸は俺が取ったんだし。さて、桐琴。他に何が見える?」

「んー・・・・あれは一真隊の奴だな。確か詩乃とかいう小娘だ」

「ホントだ。詩乃だな、確か三河に使いを行ったからその帰りか。後ろからは見た事ない武士がいるが」

「うむ。後ろに十人程度騎馬武者がおるぞ。・・・・追われているのではないか?」

「やっろう!ウチのもんに手ぇ出したらどうなるか、思い知らせてやんぜ!」

と言ったら小夜叉は行ってしまった。でも、確かに追われてるような気がしたが、あれが三河武士だったらまずいな。俺はとりあえず照明弾を空に向けて撃った。詩乃がいるなら、分かるはずだ。照明弾には色分けされている。緑だったら、味方はここにいるとか赤だったら敵がいる。黄色は、そちらに味方が向かうとの事。紫は味方が勘違いしてそちらに行ったとかな。ちなみに撃った照明弾の色は紫だから、たぶん詩乃が何とかしてくれると思うが無理だろうな。小夜叉だし。

「ふふふっ。はーっはっはっはっ!酔い覚ましに丁度良く、一暴れできそうだな。たまに嘘を吐くのも面白いの」

「何言っているんだか。とりあえず小夜叉の勘違いを解くために照明弾撃ったから、たぶん大丈夫かもな。あれは三河武士だし」

「そうだな。あれは三河武士だな。さてはてどんな奴か。ガキに負けるようでは馬を並べる事は許さんぞ」

という事で、小夜叉突撃中の時に冷静に話してた俺と桐琴だった。一方、詩乃は空に上がった照明弾を見たら紫である事を知った。

「皆さん!味方ではありますが、後ろの方を敵と判断した者が突っ込んで来ます。一応防御態勢でお願いします」

「おっらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!ウチの若い奴に手ぇ出す奴ぁどいつだぁ!この森勝蔵様がぶったぎってやらぁ!」

「どの方が来ると思ったらよりによって森一家ですか」

「おい、ひょろっ子!織田家中にその人ありと言われる予定の、森小夜叉が助けてやるから安心しとけ!うららららららぁぁぁぁーーーーーーーーー!」

ぐるんぐるんと頭上で槍を回しながら、小夜叉は一騎駆け状態で私の後方にいる三河武士達に突撃をかけていますね。しかもあの照明弾を見る限り、あそこには一真様がおりますのでしょうか?まあ、三河武士も戦闘狂でありますから手合せには持って来いだと思いますが。三度の飯より喧嘩好きですもんね。

「「ひゃっはーーーーーーーーーーー」」

な、何ですかこの声は!と思ったらそこにいたのは一真様と森一家の棟梁がいた。一真様も乗り気何ですね。

「美濃に名高い森家が当主!蜻蛉止まらずひっさげて、喧嘩上等、ただいま参上ぉ!」

「織田家中にして最強の存在とは俺の事、田楽狭間の天人とは俺の事だ!」

「お前らの取るべき道は二ぁーつ!背中を向けてワシと一真に殺されるか、正面からワシと一真に串刺される事だぁ!」

俺と桐琴は堂々と名乗りを上げて、敵味方判断せずに突っ込んだ。さてと、三河武士がどのくらい強いか確かめさせてもらうぜ。

「か、一真様。一真様の戦闘狂ですか!?」

「ちょいと実力を見てくるだけだ。では行ってくるぜ。行くぜ行くぜ行くぜ!!!」

で行ってみたら、小夜叉と相手しているのが見えたのでそいつは任せて俺は他の三河武士がいたので、馬を下りて相手するのみ。

「ひゃっはーっ!てめぇ、チビのくせにやるなー!」

「貴様もクソガキのくせによくやるです!」

憎しみの籠った声と、余裕のある笑み。場にそぐわない、チグハグなテンションで、大振りの槍を旋風させながら打ち合っている。俺も近くにいた三河武士を相手に、刀を抜いて次々と相手にする。無論峰打ちだけど。あの少女は小夜叉以上か?少女の背丈は小夜叉より少し小さく、体の作りは華奢に見えるが、持っている槍は、小夜叉の人間無骨より長いな。5メートルはある。穂先も同様、人間無骨より大きく、人間無骨も不気味ではあるけれど、武器の威圧感はあの少女の方が上だな。  
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