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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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九章
  森一家

ふむ、今日もいい天気だな。天候を操る事もできるが今日もいい天気だ。このまま雨にするのはもったいないな。小谷から戻ってきて数日か。時間が経つのが早いな。それにしても久遠の上洛宣言があってから美濃は上も下も大騒ぎだ。

壬月や麦穂の指示で、武器弾薬、兵糧、と言ったモノが集められたり、和奏達母衣衆が足軽募集やら鍛錬やら部隊編成やらで、追われる日々を送っている。そして一真隊も同じなんだが、詩乃は久遠の依頼で三河に向かったし、ひよところは一真隊の増強に忙しいようだ。

黒鮫隊はいつでもOK。毎日のように、トレミーで訓練や鍛錬をしている。トレミー3番艦は、黒鮫隊の寝泊りや鍛錬や食事といった事になったので前より機能拡大。鍛錬できるような場所もできて、大浴場からシャワー室に食堂や狙撃室。ストレス発散のため、カラオケボックスや料理とかで。主に女性隊員だけど。

とまあ、一真隊はひよところに任せっきりなのだが、暇でしょうがない時にある親子と知り合いになった。最初は警戒心あったけどな。名は森三左衛門可成と森勝蔵長可って言う、織田家中でも名の通った親子だった。ころが言うには、森家は河内源氏の棟梁、八幡太郎源義家の六男・源義隆を祖とする由緒正しき家柄だそうだ。由緒正しき家柄の人には見えないっていうか、世紀末救世主伝説森一家、とでもいう位ぶっ飛んでいる人達だ。一文字で表現するなら狂だな。戦闘民族で戦闘狂はさすがの俺の驚いてしまう程度だ。満月を見たら狼になりそうな勢いで、火炎放射器でこの世の汚物を消毒する勢い。ああいうのを、この時代では傾奇者って言うらしい。

傾奇者・・・・・常識破りな人の事。一般常識から逸脱した行動を取る人の事。

「おーい一真!遊びに来てやったぞー!」

「小夜叉か。よく来たな。おや、今日は桐琴も居るんだ?」

「おう。昼酒も飽きてきたからな、狩りにでも行こうではないか」

「昼酒ねえ。まだ飲んでるようだけど、森一家の出陣準備はできてんのか?」

「当然だ。各務がやっとるから心配ない」

「各務って・・・・森一家の副長だったか」

「おうよ。出が出の癖に、優秀な奴でな。奴に任せておけば万事問題ない」

「優秀って話は知っているが、二人の手綱を握って操縦しているだけでも充分尊敬に値するが」

で、今日はどうした?と聞くと東の方で巣を見つけたそうだ。なのでそこをぶっ潰しに行くそうだけど俺も行くけどね。巣というのは、鬼の巣の事。何故そんなものを見つけられるかと言うと、森一家は対鬼戦に関してはスペシャリスト集団でだいぶ前から鬼を狩っているそうだ。

尾張・美濃で蠢動していた鬼のほとんどは、森一家が密かに狩りをしていたそうだ。まあ、俺達も似たようなもんだけど。レーダーで発見したら野郎隊を率いて、巣に行って駆逐してる。素早さはあるけど動体視力とかは、こちらの方が上だし。と密かにやっている事で、狩り損なったのがたまたま表に出てきたという事だ。家中は俺や森一家に対し、もっと早く言えよと言ってきたが俺と桐琴で黙らせた。桐琴はこう言ったけどね。

『教えたら、ワシらが狩る得物が減るだろうが。貴様らは馬鹿か?』

とね。俺は俺の部隊のために鍛錬としてやったと言った。そしたら、俺と桐琴と久遠以外のメンツは開いた口が塞がらなかったと言う。あと久遠が珍しく爆笑してたのも、良かった。とまあこんな感じで尾張・美濃周辺の鬼の巣を的確に探しては、森親子と俺が暇潰しに殲滅するという日課が出来た事には、大いに喜んでる俺だけどな。知り合った時は、小谷から戻ってきた後で、出会いも普通ならトラウマクラスだが俺は普通に接して来たのかとても気に入られている。森親子は森家の奥内の事も、森一家の事も全部各務元正という人に丸投げして、自由気ままに生きている。

各務元正・・・・森一家を影から支える優秀な副官。実はお嬢様なのだが・・・・・。

そしてその暇潰しの道楽が、酒と喧嘩と鬼退治という訳だ。初対面以降、暇そうにしている俺を鬼退治に行く事も常連になってしまったが。

「で、東の巣はどれくらいの規模な訳?どの辺りにあるの?」

「この辺りの巣はおおよそ潰したが、長久手の方にまた小さいのが出来おってな。それを殺る」

「・・・・小さいのか。あいつはいるのか?」

「鬼子か?まぁ大丈夫じゃねーの?つか、オレは居てくれた方が嬉しいけどな。殺りがいがあって」

「まあいたとしても。大丈夫だと思うけどな」

鬼の子、というのは、鬼に犯された女性が生んでしまった、鬼と人のハーフの事だ。こいつは成長も早く知恵もあって力も強い。けど普通ならな。前に出会って、俺と桐琴と小夜叉で1時間ぐらい戦っていたな。殺りがいはあったし、本当は剣だけで倒そうとしたけど、中々倒れないから銃で足を撃ってから動きを止めた後に桐琴と小夜叉で倒した。あの一件以来、国産の鬼は見てない。鬼の子が大量生産されたら、流石に武士でも無理と判断して、IS部隊で駆逐するつもり。だから、俺は森親子の鬼退治に付き合っている。少しでも国産のが生まれる確率を抑えるためにな。

「長久手・・・・って矢作川の近くだな。馬で行くか」

「おうよ。とっとと行くぜ」

空間から馬を出してから桐琴達と共に長屋を出発する。道中走っていると疑問があったので聞いてみた。

「そういえば森家には、有名な馬がいると聞いたがそれか?」

「これは普通の奴だぜ。有名な馬ってーと、百段か」

百段・・・・森家に伝わる名馬。本丸に続く階段を百段飛ばしで登るぐらい早かったらしい。

「そうそう、そういう名前だった気がする」

「百段なら、ほら、ここにいるぞ!」

言いながら、小夜叉は腰につけている瓢箪を指差す。ふむ神の目で見るといるな。凶暴なのか封印でもしているのか。 
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