こんな私(俺)の物語
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第二十話 後輩ですか竜殺しですか
前書き
ギャスパーキャラ崩壊注意。
えっ!天人って全滅してんの!?
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「『停止世界の邪眼《フォービトゥン・バロール・ビュー》』?」
「そう。それがギャスパーの持っている神器の名前。とても強力なの」
咲夜さんの方がすごいです。咲夜の能力が神器になったら、『月時計』ってとこかな?
「時間を止めるって、それ、反則に近い力じゃないですか?」
「ええ、そうね。でも、あなたの倍加の力も、白龍皇の半減の力も、紫の空間操作も反則級なのよ?」
その基準でいったら俺はどれだけチートなんだよ・・・・・・・。因みに、俺の能力は空間移動から空間操作にランクアップしました。まあ、勝手にそう見られているだけだが。
「問題は、それを扱えないところ。それゆえギャスパーは今まで封じられてきたのよ。無意識に神器を発動してしまうのが問題視されていたところなの」
自身の能力が暴走するって・・・。まあ、子供の頃の幽々子と同じか。どっちも甚大な被害を出すが。
「しかし、そんな強力な神器をもったやつをよく部長は下僕にできましたね。もしかして、変異の駒《ミューテーション・ピース》』ですか?」
「ええ。紫にも使った駒ね」
ああ、そうだったな。よく考えてみれば、今まで一度もプロモーション使ってない。
「『変異の駒』はね、元々『悪魔の駒《イーヴィル・ピース》』のシステムを作り出した時に生まれたイレギュラー、バグの類いらしいんだけど、それも一興としてそのままにしたらしいんだ。大体上級悪魔の十人に一人は一つ持っているよ。部長はうんよく二つ持っていたんだ。ギャスパー君はその駒を使った一人なんだよ」
ああ、変異の駒は複数の駒が必要な転生体を一個で済ませる便利アイテムだ。つまり、強いやつを転生させるのに使う。
「問題はギャスパーの才能よ」
話は戻る。
「部長、どういうことっスか?」
「彼は類希な才能の持ち主で、無意識のうちに神器の力が高まっていくみたいなの。そのせいか、日々力がましていってるわ。ーー上の話では、将来的に『禁手』へ至る可能性もあると言う話よ」
それじゃあ引きこもりにせずに能力制御の練習をさせろ。制御できない力は不幸を呼ぶ。その結果の一つが、幽々子だった。
「それは、危険じゃないのかしら?」
「そう。危うい状態なの。けれど、私の評価が認められたため、今ならギャスパーを制御できるかもしれないと判断されたそうよ。私がイッセーと祐斗を『禁手』に至らせたと上の悪魔たちは評価したのでしょうね」
一応、俺も評価されたらしい。コカビエルを倒したのが結構高いらしい。まあ、一応聖書に載ってるヤツだったしな。
「・・・うぅ、ぼ、ぼ、僕の話なんてして欲しくないのに・・・」
大きめの段ボールから声がする。言うまでもなく、ギャスパーである。このへたれ。
「能力的には朱乃に次いで二番目なんじゃないかしら。ハーフとはいえ、由緒正しき吸血鬼の家柄だし、強力な神器も人間としての部分で手にいれている。吸血鬼の能力も有してるし、人間の魔法使いが扱える魔術にも秀でているわ。とてもじゃないけど、本来『僧侶』の駒一つで済みそうにないわね」
ハーフすげえ。あの性格じゃなければかなり強いのに。どこかに欠点はあるんだな。
「ところで、吸血鬼って太陽が苦手じゃなかったかしら?ギャスパー君は大丈夫なの?」
「あ、それ俺も思いました」
「ギャスパーはデイウォーカーと呼ばれる日中活動できる特殊な吸血鬼の血を引いているから問題ないわ。ただ、苦手ではあるでしょうけど」
吸血鬼にも色々あるなぁ。レミリアはどんな吸血鬼なんだろうな?フランは正体不明だろう。U.N.オーエンはアンノウンにかけているし。正体不明はぬえか?
「日の光嫌いですぅぅぅ!太陽なんてなくなっちゃえばいいんだぁぁぁぁぁ!」
「野菜が食べられなくなるじゃない」
「紫さん、そこなんですか?」
死活問題だよ。ビタミンがとれないじゃないか。何より、食卓に色がなくなる。
「それともう一つ、こいつは血を吸わなくてもいいんですか?吸血鬼でしょ?」
「ハーフだから、そこまで血に餓えているわけではないから大丈夫よ。十日に一度輸血用の血液を補給すればいいのよ。元々血を飲むのは苦手みたいだけど」
「血、嫌いですぅぅぅぅ!生臭いのもダメぇぇぇぇぇぇ!レバーも嫌いですぅぅぅ!」
絶叫が段々ムカついてきた。うるさい。
「でもお前、授業に出てないだろ?力を克服してクラスに打ち解けなきゃダメだぞ?」
「嫌です!僕はこの段ボールの中で十分です!外界の空気と光は僕にとって外敵なんですぅぅぅぅ!箱入り息子ってことで許してくださぁぁぁぁぁい!」
「・・・・・・へたれ吸血鬼」
「うわぁぁぁぁん!子猫ちゃんがいじめるぅぅぅぅ!」
「少しは鳴くのを止めてくれないかしら?うるさいわ」
「ごめんなさぁぁぁぁぁい!」
俺が今言ったこと頭に入ってる?耳が痛いわ。
「とりあえず、私が戻ってくるまでの間だけでも、イッセー、アーシア、子猫、紫、ゼノヴィア、あなたたちにギャスパーの教育を頼むわ。私と朱乃は三竦みトップ会談の会場打ち合わせをしてくるから。それと祐斗、お兄様があなたの禁手について詳しく知りたいらしいから、ついてきてちょうだい」
「部長、紫さんについてはいいんですか?」
「ええ。今はいいらしいわ」
なんか嫌な予感がするな・・・・・・。
「イッセー君、紫さん、悪いけどギャスパー君の事、お願いするね」
「ああ、任せろ木場。まあ、アーシアも子猫ちゃんもゼノヴィアも紫さんもいるし、なんとかなると思うぞ、多分」
「少なくとも、面と向かって話せるようにはしたいわね」
このままじゃ話が進まない。
「ギャスパー君、そろそろお外になれないといけませんわよ?」
「朱乃お姉様ぁぁぁぁぁ!そんなこと言わないでくださいぃぃぃぃぃぃ!」
「あらあら、困ったわね。イッセー君、お願いね」
「はい、朱乃さんにお願いされたら、俺も頑張っちゃいます!」
さて、どうしようかねぇ。
「うん。では、イッセー、こいつを鍛えようか。軟弱な男はダメだぞ。それに私は小さい頃から吸血鬼と相対してきた。扱いは任せてほしいね」
と、ゼノヴィアがギャスパーの入っている段ボールにくくりつけてある紐を引っ張りだした。滅するなよ?
「ヒィィィィ!せ、せ、せ、聖剣デュランダルの使い手だなんて嫌ですぅぅぅぅ!ほ、滅ぼされるぅぅぅぅ!」
「悲鳴をあげるな、ヴァンパイア。なんなら、十字架と聖水を用いて、さらにニンニク、次いでに緋想の剣も使ってあげようか?」
「ゼノヴィア、残念ながらあなたに緋想の剣は使えないわよ」
天人しか使えない剣だからな。
「ヒィィィィィィッッ!死ぬぅぅぅぅぅぅ!滅されるぅぅぅぅぅぅ!」
ああ、まずは生き残ってくれ。
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「ほら、走れ。デイウォーカーなら日中でも走れるはずだ」
ブゥゥゥゥンッ!
「ヒィィィ!デュランダルを振り回しながら追いかけてこないでぇぇぇぇぇ!」
夕方に差し掛かった時間帯、旧校舎近くで吸血鬼が聖剣使いとおいかけっこをしていた。鬼と逃げる方が逆だと思うんだけどね。
大丈夫かな?ゼノヴィア曰く健全な心は健全な肉体かららしいが、体が壊れたら元もこもないだろう。
俺はその辺に落ちている石を軽く宙に放り投げ、その石の目を手のひらに移し握り潰す。
『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』だ。以前、『創造と破壊の境界』を操った時の副産物だ。無機物にしか使えないけどさ。
俺の能力は反復練習すると負担が少しずつではあるが減っている。実際、スキマは楽に使える。それでも消耗は大きいが。
俺の周りには砕け散った石が散乱している。
「紫さん、何をしているんですか?」
「能力の応用よ。それと、ストレス解消かしら?」
なんかあそこまで喚かれると嫌になってくる。ごめん、ギャスパー。嫌いなわけじゃないのさ。喚きに耐性がない俺が悪いんです。
「私と同じ『僧侶』さんにお会いして光栄でしたのに、目も合わせてもらえませんでした・・・グスッ」
ちょっと涙目のアーシア。相変わらずスパルタなゼノヴィア。命懸けですね。
子猫はニンニクを持ってゼノヴィアと一緒にギャスパーを追いかけていた。
「・・・ギャー君、ニンニク食べれば健康になれる」
「いやぁぁぁぁん!子猫ちゃんが僕をいじめるぅぅぅぅ!」
聖剣、ニンニク、日の光、次いでに銀の弾丸もプレゼントしましょうか?
「おーおー、やってるやってる」
「おっ、匙か」
「よー、兵藤。解禁された引きこもり眷属がいるとか聞いたからちょっと見に来たぜ」
おお、匙君。君の力が必要です。
「匙君、あなたも協力してくれないかしら?」
「すいません、今花壇の手入れ中なんです。今度魔王様がここにいらっしゃるから、学園を綺麗にしてるんです」
「・・・・・・死なないでね」
「・・・・・・はい、頑張ってきます」
「花壇の手入れくらいでなんでそんなに命懸けなんですか?」
USCがいるところに行くんだぞ?幻想郷では太陽の畑にいくのと同じだ。覚悟を決めろ。
「兵藤、世の中には、知らなくていいこともあるのさ・・・ところで、その眷属ってどこにいるんだ?」
「ああ、あそこだ。ゼノヴィアに追いかけ回されているのがそうだぜ」
「おいおい、ゼノヴィア嬢、伝説の聖剣豪快に振り回してるぞ?いいのか、あれ。おっ、あれが噂の眷属か!」
「先に言っておく。女装野郎だ」
「・・・なんだって?バカな。あんなにもレベルが高い金髪美少女なのにまさかの野郎!?神は死んだのか!?」
神は死んでるって。まあ、知っているだろう。多分。
そんな雑談をしているとき、あいつは現れた。
「へぇ。魔王眷属の悪魔さん方はここで集まってお遊戯しているわけか」
「これでも一応真面目なのよ。それで、何のご用かしら?堕天使総督、アザゼルさん」
全員が構えをとる。ゼノヴィアはデュランダルを構え、アーシアとギャスパーは隠れ、一誠がブーステッド・ギアを出現させる。俺は種族を天人に変え、緋想の剣を取り出す。一応、な?
「ゆ、紫さん!アザゼルって!」
「匙、マジだよ。俺と紫さんはこいつに接触してるんだよ」
匙も戦闘体勢に入る。
「やる気はねぇよ。ほら、構えを解きな、下級悪魔君たち。ここにいる連中が集まったところで俺に勝てないのは何となくでもわかるだろう?俺だって下級悪魔相手にいじめなんかするつもりはない。もっとも、スキマの嬢ちゃんは例外だがな」
俺とはやりあうのかよ!はた迷惑な!
「ちょっと散歩がてら悪魔さんのところに見学だ。聖魔剣使いはいるか?ちょっと見に来たんだが」
「木場ならいないさ!木場を狙っているならそうはさせない!」
「・・・・・・ッたく、コカビエルに苦戦していた癖に俺と勝負なんかできるわけねぇだろう。殆どスキマの嬢ちゃんがやったらしいじゃねぇか。ーーそうか、聖魔剣使いはいないのかよ」
敵意はないな。緋想の剣をしまう。なんで俺に関しての情報がアザゼルに伝わってるのさ!
「そこで隠れているヴァンパイア。『停止世界の邪眼《フォービトゥン・バロール・ビュー》』の持ち主なんだろ?そいつは使いこなせないと害悪になる代物だ。神器の補助具で不足している要素を補えばいいと思うが・・・。そういや、悪魔は神器の研究が進んでいなかったな。五感から発動する神器は持ち主のキャパシティが足りないと自然に動き出して危険極まりない」
そうギャスパーに向かって言うアザゼル。うん。さすが未来のカ○シ先生ポジション。
アザゼルは次に匙を指す。
「それ、『黒い龍脈《アブソーブション・ライン》』か?練習するなら、それを使ってみろ。このヴァンパイアに接続して神器の余分なパワーを吸い取りつつ発動すれば、暴走も少なくすむだろうさ」
「・・・お、俺の神器、相手の神器の力も吸えるのか?ただ単にパワーを吸って弱らせるだけかと・・・」
「力の吸い方にも色々あるのよ。もう少し応用を考えなさい。神器は所有者の想いに応えるのだから」
実際、神器の応用の幅は広い。使い方次第でかなりかわる。
「そういうことだ。全く、これだから最近の神器所有者は自分の力をろくに知ろうとしない。『黒い龍脈』は伝説の五大龍王の一匹、『黒邪の龍王《プリズン・ドラゴン》』ヴリトラの力を宿している。まあ、これは最近の研究で発覚したことだがな。そいつはどんな物体にも接続することができて、その力を散らせるんだよ。短時間なら、持ち主側のラインを引き離して他の者や物に接続させることも可能だ」
「え、それってつまり、俺側のラインを兵藤に繋いだとしたら、兵藤の方にパワーが流れるのか?」
「ああ、成長すればラインの本数も増える。そうすりゃ吸い取る出力も比例して上がっていく」
「・・・・・・すげぇんだな・・・」
「で、スキマの嬢ちゃんの能力、今度こそ教えてくれよ」
「イヤよ」
「紫さんの能力?空間操作じゃないんですか?」
「ふぅん。お前らは空間操作だと思っているのか。嬢ちゃんの神器の能力はそんな生易しいものじゃないかもしれないぜ?その例として、今嬢ちゃんは悪魔じゃない。別の種族だ」
『!?』
「空間操作もあるだろうが、種族変換に石を破壊していた能力、これら全てが一つの神器で行われているとしたら、神滅具級だな。間違いなく」
なんで暴露するのさ・・・。まあ、まだまだできることは沢山あるんだけどね。『可能と不可能の境界』を完全に操れれば、できないことはないと思う。
「・・・・・・仕方ないわね。一つだけ教えるわ。私の神器は、定着型らしいわ」
「定着型?」
「特殊な神器だ。定着型は、簡単に言えば宿主以外に宿ることのない神器だ。持ち主が生まれると同時に現れ、持ち主の死とともに消える。一世一代の神器、それを定着型という」
「そんな神器が・・・」
「だがな、普通の神器と一番違うところは、人間以外に宿る可能性があるんだ。神器は人間の部分がないと宿らないが、定着型は別だ」
マジかよ・・・・・・あれ?じゃあ籃も持ってるのかな?
「まあ、まだまだ知りたいことはあるが、そろそろ帰るよ。じゃあな」
そう言ってアザゼルはこの場から去った。
しばらくの間、沈黙がこの場を支配する。えええええ~。引っ掻き回すだけ引っ掻き回して後丸投げ?
「・・・紫さんの能力の事はさておき、そこの新人君に俺の神器を取り付けて練習しようぜ。その代わり、今度紫さんの能力を教えてもらうぜ」
『どうぞどうぞ』
超アウェー!?と、その前に、
「ギャスパー君」
「は、はいっ!」
「少し幽々子と語ってきなさい」
俺はギャスパーをスキマ送りにした。
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「ただいま帰りました!皆さんのためにも頑張ります!」
『何があった!?』
めちゃくちゃポジティブになって帰ってきたギャスパー。同じ境遇だったからわかりあえると思って幽々子と語らせてきたが、何があったのさ!
「僕は気づいたんです。皆さんの大切さを。こんなにも皆さんが僕のことを思ってくれているんだ!答えなきゃ皆さんに申し訳ない!僕は変わります!」
お前誰だ!?幽々子!マジで何を言ったのさ!ギャスパーがとても前向きだ!
「じゃあ、バレーボールを投げるから、それを『停止世界の邪眼』で止めてみてちょうだい」
「はい!頑張ります!」
変わりすぎだろぉぉぉぉぉ!
ボールを宙に放り投げ、それをギャスパーが視界にいれて止める。なんか、すごい成長してるよ。
「僕は、僕は変わるんだ!」
なんなんだ!このギャスパー誰だよ!既にボールだけを止めることができてる!ギャスパー、マジ頑張ってる!
「ちょ、ちょっと疲れました・・・」
「あ~。常に力を吸われてるからな。少し休もうぜ」
「そうね、頑張っているし、休憩してもいい頃合いだと思うわ」
ギャスパーがすごい頑張ってる。幽々子、何を言ったのさ、マジで。早くも引きこもり脱却できそうじゃないか。
「どう?練習ははかどっているかしら?」
「あ、部長。それが、予想以上に・・・・・・」
「ハグハグモグモグ・・・・・・」
俺が作った鍋をかなりの速度で食べるギャスパー。喉に詰めるなよ。
「ふぅ。体力は取り戻せました。さあ!続きをやりましょう!」
「あなた誰よ!?」
リアスもビックリこの変貌。最早、他人といるだけでビビるギャスパーは影も形もない。
「紫!何をしたのよ!」
「なんで私なのかしら?」
「こんなことできるのは紫ぐらいでしょ!?」
「幽々子と話し合いをさせただけよ」
実際、俺は話し合いの場を用意したに過ぎない。
「ギャスパー、無理しなくてもいいのよ?」
「いいえ、皆さんの迷惑にはなりたくないんです!」
「・・・・・・」
リアスが俺を睨んでくる。いや、俺もここまでするつもりはなかったんだよ。幽々子、何を話したの・・・。
「リアス先輩が帰ってきたし、俺はそろそろ自分の仕事に戻るよ」
「匙くん。わざわざ私の下僕に付き合ってくれてありがとう。お礼を言うわ」
「いえ、俺がやりたくてやったので。俺も結構収穫がありましたし」
おう、頑張れよ。死ぬな。
「じゃ、兵藤。後は頑張れや」
「おう、サンキューな」
匙は花壇(死地)に戻った。下手な悪魔より強いからな、ゆうかりん。
「ところで、神器の応用って誰が教えてくれたの?」
「あ!そうだ、部長!アザゼルが来たんですよ!」
あ、忘れてた。
「ギャスパー、幽々子から何を聞いてきたの?」
「いえ、仲間の大切さです。幽々子さんも同じ境遇だったみたいですから、紫さんに救われたって」
ああ、そんなこと言ったわけね。
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翌日の夜。ギャスパーの引きこもりが再発した。
「ギャスパー、大丈夫?無理してイッセーと一緒に仕事させた私が悪かったわ。イッセーと一緒に仕事をすればあなたのためになると思ったの」
『す、すみません。まだ初対面の人にはなれてなくて・・・』
それでも、結構マシになっている。でも、錯乱すると神器がほんの少しではあるが、暴走してしまったらしい。
『ちょ、ちょっとすれば出てこれます。今は段ボールで落ち着かせて下さい・・・』
一応、引きこもりにならないように頑張っている。
「ねえ、イッセー、紫。もし時を停められたら、どんな気分?」
「・・・少し、怖いですね」
「少なくとも、いい気分ではないわね」
自分の知らない時間で何をしてくるのか?何をされたのだろうか?そんな風に思ってしまう。それゆえに、ギャスパーは不気味がられ、拒絶された。そんなことがあったから、ギャスパーは極度の対人恐怖症になった。
『ぼ、僕は、本当はこんな神器いらないです!だ、だって、皆停まっちゃうんです!怖がる!嫌がる!拒絶する!僕も嫌だ!と、友達やな、仲間を停めたくない!』
「・・・ごめんなさい、紫。折角前向きになっていたのに、また引きこもらせてしまって・・・『王』失格ね、私」
「いいえ、ギャスパーは前に進もうとしているわ。それを応援してあげて」
「・・・そうね」
「部長、紫さん、後は俺に任せてくれませんか?部長だって打ち合わせがあるじゃないですか。大丈夫です。折角できた男子の後輩です!俺がなんとかします!」
まあ、こういう熱いのは一誠の役目だ。
「・・・イッセー。わかったわ。お願いできる?」
「はい!」
リアスは打ち合わせに向かった。さてと、俺はどうしようか?
静かに見守るか。
「ギャスパー、大丈夫か?」
『は、はいぃぃ、なんとか』
「無理はしないのよ。体を壊したら元もこもないわよ。そこのところは自分で調節しなさい」
『は、はいぃぃ。わかりましたぁ』
仲間のために頑張るのはいいが、無理はするな。
「ギャスパー、お前は自分の神器は嫌いか?」
『は、はい。皆の害にしかならなかったから・・・。でも、幽々子先輩と話して、大切な人を守れる力でもあるって気づきました』
「そうなのか?そうか。・・・実はな、俺、お前の神器が羨ましいんだ」
ゴソゴソ。
段ボールに入ったままだが、ギャスパーが部屋から出てきた。
「そうなんですか?」
「ああ、だって、時間が停められたら最高じゃないか。俺がその神器を持っていたら大変だったな。きっと、学校中の女子に如何わしいことをしていたにちがいない」
コイツ、俺がいること忘れてるのか?
「廊下を匍匐前進しながら女の子のパンツを覗き見していただろうなぁ。あー、その神器だったら部長を停めてお、お、おっぱいを・・・ッ!あ、あのおっぱいを好き放題できるなんて考えただけで涎が止まらんぞ!そうだ、あ、朱乃さんのおっぱいでもいいなぁ!寧ろ、パンツを覗いたっていいし!うあー、妄想が止まらん!」
「い、イッセー先輩、紫先輩が・・・」
「はっ!」
「別にいいわよ。私と幽々子と籃にしなければ。あなたが性欲旺盛なのは知っているわよ。ただ、ひとつ言うなら、時間停止状態だと胸の柔らかさは感じられないわよ」
「ガッデム!」
固定されちゃうから、基本変形させることはできない。だから永遠化した俺の剣は壊れないのさ。
「羨ましいなんて言われたのは初めてです。先輩方は、楽しい方たちですね」
お前本当に男ですか?全く、ロリコンが見たらすごいことになりそうだ。
「紫さん、ちょっとここからは席を外してもらってもいいですか?」
「はいはい、好きなだけ語りなさい」
どうせ語るのはエロに関することだろうけどさ。俺は少し離れ、廊下の角を曲がったところで暫く待つことにした。
「(籃。籃は仙術を使える?)」
「(あ、はい。使えます。今度教えましょうか?)」
「(察しがいいわね、頼むわ)」
「(ところで紫さん、別に取り繕わなくてもいいんですよ?)」
こ~の~駄狐が!最近弄るのが多くなってきた!上下関係は俺の方が上なのに!これが年の功か!?
「(誰が年増ですか?)」
いえ、なんでもありません。やっぱり女性に歳の話は禁止らしい。
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次の休日。俺は一誠とともに神社の石段の前に来ていた。朱乃が呼び出したのだが、朱乃自身は俺に用はないらしい。大方、緋想の剣のことだろう。なんでも、緋想の剣は謎が多い聖剣らしい。聖剣じゃないんだが。
本来はこの世界にはない剣だから、謎が多いのは仕方がない。
因みに神社だが、奉っている神がいない神社は、聖域ではないから、悪魔がダメージを受けることはない。裏で特別な制約定がある場合もある。ただし、妖が入り込んで来ることもある。
「いらっしゃい、イッセー君、紫さん」
巫女服姿で迎えてくれる朱乃。おおう、普通の巫女服。今まで見たのは脇がなかったりしたからな。
「ごめんなさいね、イッセー君、紫さん。急に呼び出してしまって」
「あ、いえ。俺もやることがなくってヒマだったので。でも、何の用ですか?それと、部長は後から来るそうですけど・・・」
「リアスは会談の件でサーゼクス様と最終的な打ち合わせをしなければいけないから、遅れるのよ。私は、この上でお待ちしておられる方をお迎えしなければならないの。リアスの方はグレイフィア様がフォローしてくださるから、大丈夫ですわ」
なんでこう銀髪メイドは高性能なんだ。神社に近づく。まあ、種族が弄れる俺に聖域の有無は関係ないのだがな。
「紫さん、俺たちって神社に入っても大丈夫なんですか?」
「大丈夫でしょう。そういうことには配慮されているはずよ。そうでなければ神社に呼び出したりなんてしないわよ」
「確かにそうですね」
ちょっとは頭を働かせたらどうだよ?そう思いながら、鳥居をくぐる。壊れている様子はない。結構整備が行き届いている。
「彼と彼女が赤龍帝と緋想の剣の使い手ですか?」
第三者の声が響く。そちらに振り向くと、輝く金色の羽と、頭の上の金色の輪。天使の特徴。
そしてイケメン。くそったれ。イケメンなんぞ爆発しやがれ!
「初めまして赤龍帝、兵藤一誠君。緋想の剣使い、八雲紫さん」
六対十二枚の翼が展開される。翼多すぎね?邪魔にならないの?
「私はミカエル。天使の長をしております」
ああ、知ってます。とりあえずもう一度、イケメン爆発しやがれ!
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俺達は朱乃の先導の元、本殿に入っていく。確かここでアスカロンを貰うんだったよな?実は取り外し可能な。
「実は兵藤君にこれを授けようと思いましてね」
そう言って指を指した方にあったのは、聖なるオーラを待とう剣が浮いていた。
「あの・・・これって聖剣じゃないですか?」
「ええ、そうです。これはゲオルギウス、聖ジョージと言えば伝わりやすいでしょうか?彼が持っていた龍殺し《ドラゴン・スレイヤー》の聖剣『アスカロン』です」
「はあ、ゲオル某やら聖ジョージとか全く持ってしらないんですけど・・・」
「少しは西洋の伝説を調べなさい・・・」
もうちょい知識を吸収しろや。いつでも説明役がいるわけじゃないんだからさ。あ、ドライグがいたっけ。
「特殊儀礼を施しているので、悪魔のあなたでもドラゴンの力があれば使えるはずです。あなたが持つと言うより、ブーステッド・ギアに同化させるといった感じでしょうか」
神器って便利だね!
「何故、これを俺に?」
「私は今度の会談、三大勢力が手を取り合う大きな機会だと思っているのですよ。既に知っているから話しますが、我らが創造主、神は先の戦争でお亡くなりになりました。敵対していた旧魔王も戦死。堕天使の幹部たちは沈黙。アザゼルも戦争を起こしたくないと建前上は口にしています。これは無駄な争いを無くす絶好のチャンスなのですよ。このまま小規模な争いが断続的に続けば、いずれ三大勢力は滅ぶ。そうでなくても、横合いから他の勢力が攻めこんでくるかもしれません。その聖剣と緋想の剣は私から悪魔サイドへのプレゼントです。もちろん、堕天使側にも贈り物をしました。悪魔側からも噂の聖魔剣を数本いただきましたし、こちらとしてもありがたい限りなのですよ」
あっさりと緋想の剣を渡したのはそういう思惑があったのか。一応、最強の聖剣と言われていたくらいだしな。
『聖書の神』は死んだが、他の神話の神は生きてるからなにが起こるかわからないらしい。
て言うか、長々と話すなよ。和平したいってことだろ?
「朱乃さん。私への用はなんなのかしら?」
話が長くてかなんで~。
「さあ、私は何も聞いていませんから」
ああ、俺はいつまで待てばいいんだよ・・・・・・。
「あ、あの、ミカエル様」
「ミカエルさんでいいですよ」
「あ、はい。ミカエルさん。紫さんを呼んだ理由はなんなんですか?」
おお!一誠がいいタイミングで話題を向けてくれた!
「ああ、紫さんには、緋想の剣について聞きたいことがあるのですよ。実は緋想の剣は最強の聖剣なんて言われていますが、謎の多い剣なのですよ。それについて何か知っていないかと思って、聞きに来たんです。何か知っていることはありますか?」
あー、これは正直に話した方がいいのかねぇ。
「今のところわかっていることだけ話すわ。まず、緋想の剣は聖剣ではなく気質を見極める剣よ。他には、天人しか使えない剣ということぐらいかしら」
「天人・・・大昔の戦争で全滅した種族ですね」
えぇぇぇ!?天人って全滅してたの!?じゃあ天子は唯一の生き残り!?非想非非想の娘は伊達じゃねぇ!
「では、気質を見極めるとはどのような能力なのですか?」
「天候をある程度操る力ね。あくまで天候を作り出す程度だから、雷雲を作ることはできても、雷を操ることはできないわ」
「なるほど・・・・・・実に不思議な剣ですね。1つ聞きたいのですが、あなたは天人なのですか?」
「『今』わね」
緋想の剣の全てを話す必要はないだろう。弱点をつく剣なんて、チートもいいとこだ。さてと、話すことも話したし、帰るか。
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自宅、仙術修行中。
「紫さん、なんでもう自然との同化ができるんですか?それ奥義みたいなものですよ?」
美鈴が教えてくれたのは、どうやら極地だったらしい。
こんな日常
後書き
文才が欲しい!オリジナリティを増やしたい!アドバイスお願いします!
作者はBLには進みません。
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