こんな私(俺)の物語
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第十九話 授業参観ですかレヴィアタンですか
前書き
お気に入り登録500突破!感動!
籃、何作ってるのよ・・・
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どうも、起きたら目の前にピンク色の蝶がいた八雲紫です。生きた心地がしなかった。
今日は授業参観。まあ、正確には公開授業だ。親御さんだけでなく、中等部の学生も来るのである。
一応俺たちの学力はかなり高いから、間違えることはない。
教室について、席に座る。まあ、変に緊張する歳でもないんだけれど。主に精神の話だが。
「イッセーの所は両親来るのか?」
「ああ。て言うか、父さんも母さんもアーシアを観に来るんだと」
「あー、わかる。アーシアちゃんが娘だったら是が非でも観に来たくなるよな」
「私、こういうの初めてなので、すごく楽しみです」
一誠達は和気あいあいとお喋りしている。
「イッセー」
「なんだ、ゼノヴィア」
あ、アレを出す気か。流石に公衆の面前で出していいものではないので、ゼノヴィアのポケットにスキマを繋いで、アレを回収し、スキマの中で消し飛ばす。存在も残さん。勿論、誰にも気づかれん。
「先日は突然あんなことを言ってしまって申し訳なかった。私は君のことを考えずに突っ走り過ぎたようだね」
「ああ、本当にビックリしたよ」
「やはりいきなりそんなことは難しいと思う。だからこそーーあれっ?どこにいった?」
「ん?どうした、ゼノヴィア」
「いや、ポケットにいれておいたコン○ームがなくなっていてね」
『・・・・・・・・・・・・・』
クラスの音が消えた。クラス全員の視線がゼノヴィアに集まった。
「・・・・・・はっ!ば、バカかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああっ!何を公衆の面前で言ってるんだよ!」
「私のいた世界では、コン○ームの使用に一悶着があったが、やはりつけた方が日本のお国柄的にも、お互いのためにも都合がいいと思う」
「何を言ってるのよ・・・」
あー。消したことが裏目に出たかねぇ。俺もゼノヴィアのこと言えねぇ。もう少し後先考えろって。
「あの、イッセーさん。コン○ームってなんですか?」
「アーシアァァァァ!?アーシアは知らなくていいんだよぉぉぉぉ!」
「アーシアちゃん、教えてあげよっか?」
「桐生も止めろぉぉぉぉ!」
「皆、純粋なアーシアちゃんを守るんだ!」
『応!』
「あっ!ちょっ!こら!なにするのよ!」
変態紳士がなんかやってる。
「ゼノヴィア!もう少し時と場所を考えろ!」
「?」
ゼノヴィアはイマイチわかっていない。
「ゼノヴィア、少し世間を学びなさい。いらぬ勘違いを招くわよ」
「そうなのか?うーん。日本というのは難しい国だ」
いや日本が特殊ってわけじゃないと思うぞ?
「ねえ紫、コン○ームってなに?」
幽々子ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!??
「幽々子、知らなくていいのよ!お願い、幽々子はそのままでいて!」
ここにも純粋な子がいたよ!何てこったい。過保護過ぎたか?
「幽々子さん、教えてあげよっか?」
桐生復活!
「止めなさい!」
「皆、純粋な幽々子さんを守るんだ!」
『『応!!』』
「あっ!ちょっと!またなの!?」
再度フェードアウトする桐生。悪は去った。
「ゼノヴィア、まずは近くの女性に相談することをおすすめするわ」
「いや、周りの女性は・・・・・・」
ああ、皆ライバルなわけね。
「まあ、それはともかく、イッセー。性行の予定だが・・・・・・」
「少しは学習しなさい!」
なんかストレス加担な日になりそうだZE。
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まあともかく授業が始まり、開け放たれている後ろの扉からクラスメイトの親御さんや、このクラスの美少女のファンが入ってくる。ただ、俺の記憶が正しければ、あの制服文月学園の制服だよね?召喚戦争の。
この学校美少女多いからな。軽く二桁はいる。
授業科目は英語。前世では苦手だった科目だが、今世ではスポンジに水が染み込むように覚えられる!まあ、悪魔は全ての言語が話せるらしいけど。
しかし、机に置かれたのは紙粘土。何故?
「いいですかー、今渡した紙粘土で好きなものを作ってみてください。動物でもいい。人でもいい。建物でも、二次元でもいい。自分が今脳に思い描いたありのままの表現を形作ってください。そういう英会話もある」
なんの授業さ!?完全に小学校の図工だろ!英会話全く関係ない!
「レッツトライ!」
何がレッツトライだぁぁぁぁ!ちゃんと表には出ていません。
「む、難しいです」
「難しいわ~」
アーシアと幽々子が既に制作し始めてる!純粋過ぎるだろ!疑うことを知らないの?それとも人を信じることを知ってるの!?
「アーシアちゃん、ファイトよ!」
「アーシアちゃん、かわいいぞぉ!」
一誠の両親がアーシアに向けてエールをおくる。しかし、俺は気づいてしまった。他の親御さんの影に隠れ、幽々子を四方から撮影しまくっている、我らのマザーの姿を!おいおい!仕事どうしたんだよ!だがしかし!グッジョブ!
しかし、一誠じゃないけど、娘そっちのけで幽々子撮るんだね。まあ、幽々子は可愛いから撮りたくなるだろうけどさ。
とりあえず、俺も作り始めるか。何作ろう?俺の脳内メモリで一番記憶に残っているのは、やっぱり幽々子。うん。一誠みたいなこと言っちゃってる。まあ、裸体なんざ作らないが。
よし、幽々子は決定事項だ。じゃあ、東方projectの幽々子を作ろう。桜をバックに立っている幽々子を作ろう。
フハハハハ!創作意欲が湧くぜ!アハハハ!帽子の@すら手を抜かねえ!アハハハ!アハハハハハハハ!最高にハイってやつだ!
「ひょ、兵藤君・・・・・・」
『おおっ!』
クラスから歓声が沸く!一誠が芸術的なリアスを作り上げた。流石は性欲の塊。性欲が絡むとすげえ。
「す、素晴らしい・・・。兵藤君、君にこんな才能があったなんて・・・。やはりこれはこの授業は正解だった。また一人、生徒の隠された能力を私は引き出したのです・・・」
・・・・・・ああ、一誠の将来が激しく不安だ。
ふと、籃の方をみる。そこにあったのは、とんでもなく繊細なキャス狐像だった。なにを作ってるんだよ?
「何故か作らなければいけない気がして・・・」
なんか変な電波でも受信したか?
「紫~紫~フフフフフ・・・」
なんかちょっと不気味な笑いを浮かべて俺の像を作り上げている幽々子。
「兵藤!それ六千出すからくれ!」
「なら、私は七千出すわ!グレモリー先輩のお体を堪能するの!」
「ふざけろ!俺が買うんだ!八千!」
授業参観そっちのけで競りが始まる。因みに、籃のは五万で売れた。
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昼休み。
「良くできてるわね」
無駄に良くできているリアスの像を賞賛するリアス。いやいや自分の裸体を作られたんですよ?
「あらあら、流石毎日部長のお体を見て触っているイッセー君ですわね。私も今度作ってもらおうかしら。再現するためなら脱ぎますわよ。お触りアリで」
「マジですか、朱乃さん!」
「ダメよ!」
「ダメです!」
「好きにしなさい」
もう、こいつの更正は諦めた。強く生きろ。ただし、幽々子に手を出したら潰す。
「ところで部長。サーゼクス様はいらっしゃったんですか?」
「ええ、父も一緒に来たわ」
因みに俺がここにいる理由は、俺と幽々子が作った像がなんか高値がついちゃって。逃げてきた。因みに幽々子は、
「紫~フフフフフ・・」
ってずっと言って何個もポーズが違う俺を作っていた。何がお前をそこまでふるいたたせるんだ?
「あ、部長。それに皆」
「あら、木場くん。何故ここに?」
「いえ、なにやら魔女っ子が撮影会をしていると聞いたもので、ちょっと見に行こうかなと思いまして」
木場。お前にそんな趣味があったとは・・・!
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カシャカシャ!
フラッシュがたかれ、カメラを持った男と、一分若干肥満な人たちが廊下の一角で魔女っ子とやらを撮影していた。魔王っ子の間違いだろう?
人垣の外から見ると、そこには、アニメキャラのコスプレをしている美少女(多分年増)がいた。確か、『魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブ』だったっけ?ミルたんがこれ好きだっけ?
これは魔法少女であって魔女っ子じゃないだろ。似合っているのが悲しい。
「なっ!」
リアス、驚愕。まあ、魔王だしね。残念美人なんだろうけど。
「オラオラ!天下の往来で撮影会とはいいご身分だぜ!ほらほら、解散解散!今日は公開授業の日なんだぜ!こんなところで騒ぎを作るな!」
匙、参上。若干不良だよね?
「あんたもそんな格好をしないでくれ。ってもしかして親御さんですか?そうだとしても場に合う衣装ってものがあるでしょう。困りますよ」
「えー、だって、これが私の正装だもん☆」
おいおい、歯ぎしりするなよ。そういうやつはもう放っておいた方が楽だ。まともに相手をするな。
「あ、これはリアス先輩。ちょうどよかった。今魔王様と先輩のお父さんをご案内していたところなんですよ」
匙の後ろには、生徒会長ソーナ・シトリー先導のもと、紅髪の男性二人が近づいていた。
「何事ですか?サジ、問題は簡潔に解決しなさいといつも言ってーー」
「ソーナちゃん!見つけた☆」
魔王様が生徒会長に抱き付く。魔王って言うより残念魔王じゃん。
「ああ、セラフォルーか。君もここへ来ていたんだな」
「・・・セラフォルー?・・・どこかで聞いたような・・・」
「イッセー。レヴィアタン様よ」
「・・・・・・・・・・・・・・・へ?」
「あの方は現四大魔王のお一人、セラフォルー・レヴィアタン様。そしてソーナのお姉様よ」
耳栓結界を張る。これぞ才能の無駄遣い。
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッ!!??」
「一誠、うるさいわよ」
俺は手刀を脳天に当てる。
「あたっ!?え、え、え?レヴィアタン様?」
「セラフォルー様、お久しぶりです」
「あら、リアスちゃん☆おひさ~☆元気にしてましたか?」
ああ、無関係を装いたい。なんで俺の周りの悪魔は変態と変人と残念しかいないんだ。アーシアと子猫と木場だけがまともだ。
「は、はい。お陰さまで。今日はソーナの授業参観に?」
「うん☆ソーナちゃんったら、酷いのよ。今日のこと、黙ってたんだから!もう!お姉ちゃん、ショックで天界に攻め込もうとしちゃったんだから☆」
それ完璧な八つ当たりですよね?天界大迷惑。
「(紫さんの幽々子に対する過保護っぷりも負けてないと思いますが)」
ん?籃からの念話だ。式神になった籃と俺はお互い喋らずとも会話できる。因みに、心が読めるわけではない。プライバシーはしっかり守られているのである。
「(籃、過保護なのは薄々感じていたけれど、無関係の人に八つ当たりなんてしないわよ)」
流石にそれはない。無駄な争いまで起こりそうだしさ。
「イッセー、紫。ご挨拶なさい」
「は、初めまして、兵藤一誠。リアス・グレモリー様の下僕『兵士』をやっています!よろしくお願いします!」
「同じく、『兵士』の八雲紫です。よろしくお願いします」
「初めまして☆私、魔王セラフォルー・レヴィアタンです☆『レヴィアたん』って呼んでね☆」
軽っ。なんなんだよ。このコスプレ残念美人。ああ、知ってても実際に会うと・・・なんていうか・・・軽っ。霊夢よりは浮いてないけど。
「ねぇ、サーゼクスちゃん。この子が噂のドライグ君?」
「そう、彼が『赤い龍《ウェルシュ・ドラゴン》』を宿す者、兵藤一誠君だ」
ああ、プライベートで軽すぎる魔王。しかもシスコン。ああ、原作知っててよかった。魔王のイメージが根底から崩壊していく。
「あらあら、グレモリーのおじ様」
「ふむ。セラフォルー殿。これはまた奇抜な衣装ですな。いささか魔王としてはどうかと思いますが・・・」
「あら、おじ様☆ご存じないのですか?今この国ではこれが流行りですのよ?」
「ほう、そうなのですか。これは私が無知だったようだ」
「HAHAHAHA、父上。信じてはなりませんよ」
リアスの父。詐欺に引っ掛かるんじゃね?大丈夫?
「ゆ、紫さん。想像を絶する軽いノリじゃないですか?」
「ええ。それには同感するわ。軽すぎるわね」
「部長、あの、とんでもなく軽いノリじゃないですか?その、レヴィアタン様・・・」
「ごめんなさい。言うのを忘れていた・・・と言うより、言いたくなかったのだけれど、現四大魔王様方は、どなたもプライベート時、酷いくらいに軽いのよ」
会長顔真っ赤。幽々子も俺に関して顔真っ赤にすることってあったのかな?
「(いえ、ないと思いますよ)」
「(・・・・・・なんで心が読めるのよ)」
「(天狐になると神通力が宿りましてね。六神通の一つ、他心通です。これは他者の心を読むことができるのです)」
籃がえらいハイスペックだった。
「(因みに、私は六神通は他心通と天眼通しか習得していないんです。それで、天眼通なんですけど、これは他者の『前世』を見ることができる神通力です)」
前世を見る?マジで?と言うより、心が読まれてたって、俺、嫌われるのかな?
「(なんでか紫さんの前世は靄がかかったように見えないんですけど。にしても、心の声は意外とがさつなんですね。大丈夫ですよ。嫌ったりなんてしませんから)」
「(勝手に心を読まないの!)」
「(わかりましたよ~)」
籃に弄られた。心を読まれないようにプロテクトを強化しておくか。因みに、念話は脳の思考速度が早ければ早いほど時間がかからない。この間約一秒。
「ソーナちゃんどうしたの?お顔が真っ赤ですよ?折角お姉様である私との再会なのだから、もっと喜んでくれてもいいと思うのよ?『お姉様!』『ソーたん!』って抱き合いながら百合百合な展開でもいいと思うのよ、お姉ちゃんは!」
会長、完全にひきつっている。
「・・・お、お姉様。ここは私の学舎であり、私はここの生徒会長を任されているのです・・・。いくら、身内だとしてもお姉様の行動は、あまりに・・・。そのような格好は容認できません」
「そんな!ソーナちゃん!ソーナちゃんにそんなこと言われたら、お姉ちゃん悲しい!お姉ちゃんが魔法少女に憧れているって、ソーナちゃんは知っているじゃない!煌めくステッキで天使、堕天使を纏めて抹殺なんだから☆」
「お姉様、ご自重下さい。魔王のお姉様が煌めかれたら小国が数分で滅びます」
あれは魔法少女じゃない。魔王消女だ。そして自重しない。
「なあ、匙。先日の堕天使幹部が襲来してきたとき、会長がお姉さんを呼ばなかったけど・・・これを見る限り、中が悪いからってわけじゃないよな?」
「逆だ、逆。話ではセラフォルー・レヴィアタン様は妹を溺愛し過ぎているから、呼ぶと大変なことになるってさ。妹が堕天使に汚されるとわかったら、何をしでかすかわからなかったらしいんだよ。即戦争だよ。あそこはセラフォルー様を呼ばずにルシファー様を呼んで正解だ。しかし、俺も初めてお会いしたけどこれは・・・・・・」
「匙、やっぱり思うところはあるか」
「ああ」
溺愛するのはわかるけど、度が過ぎれば嫌われるぞ?
「うぅ、もう耐えられません!」
あ、走っていった。
「待って!ソーナちゃん!お姉ちゃんを置いてどこに行くの!」
追う魔王消女。
「ついてこないで下さい!」
「いやぁぁぁぁん!お姉ちゃんを見捨てないでぇぇぇぇぇぇっ!ソーナたぁぁぁぁん!」
「『たん』付けはお止めになってくださいとあれほど!」
「うむ。シトリー家は平和だ。そう思うだろう?リーアたん」
そういう解釈?
「お兄様、私の愛称を『たん』付けで呼ばないで下さい・・・」
「そんな・・・リーアたん。昔はお兄様お兄様といつも私の後ろをついてきていたのに・・・。反抗期か・・・」
orzの体勢になってショックを受けるサーゼクス・ルシファーさん。なんか、見事なorzですね。
「もう!お兄様!どうして幼少時の私のことをーー」
パシャ!
「いい顔だ、リアス。よくぞ、ここまで立派に育って・・・。ここにこられなかった妻の分まで私は今日張り切らせてもらおうか」
「お父様!もう!」
苦労してんだなぁ~。さてと、そろそろ教室に戻るか。
俺は気配が一切ない母さんの隠密術を考えないようにして教室に戻った。
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授業も無事終わり、俺たちは家に帰ってきた。
因みに、何故か鞄に幽々子の写真が大量にあった。byマザーだそうだ。
「あ~疲れたわ~」
「幽々子、なんでそんなに疲れているの?」
「紫を30程作っちゃって・・・」
「作りすぎよ・・・」
そんだけ作ったら疲れるわ。幽々子のセンスって皇帝特権なのか?なんでもかんでも上手くこなす。
「それじゃあ、ご飯を作るから自由にしてて」
「は~い」「はい」
籃は早めの宿題を、幽々子はパソコンを。ん?なんで幽々子パソコンしてるんだ?検索ワードは
『コン○ーム』
嗚呼アアああああああああああ!!
「幽々子!本当にそれについては知らなくていいから!」
「え~、気になるわよぉ~」
「好きな人ができたらその人に聞きなさい!」
「じゃあ紫、大好きだから教えて?」
「好きな異性ができたらその人に教えてもらいなさい!」
「じゃあ性別変えて。それなら問題ないわよね?」
俺の能力が初めて裏目に出た!幽々子、恐ろしい子!どうしよう。どうすればこのピンチを切り抜けられる!
あ、
「籃が説明してくれるって」
「えええっ!?」
「そうなの?」
丸投げってやつさ。
「(紫さん!卑怯ですよ!責任もってしっかり答えてあげて下さい!)」
「(何を言っているのよ!アレは幽々子には早いわよ!)」
「(過保護過ぎます!幽々子だって高校生なのですから色を知ってもおかしくない年頃なんですから!)」
「(そうかも知れないけど!)」
ああもう!どうすりゃいいのさ!
「えっと・・・・・・(ボンッ!)」
「幽々子!」
俺たちが言い争っている間に、幽々子は検索してしまった。反応はとっても初でした。
「紫・・・」
「幽々子・・・」
「昔言ったよね?『知るは一時の恥、知らぬは一生の恥』って」
「言ったわね・・・」
「私、頑張ったよ?」
「ええ、頑張ったわ」
幽々子!お前は頑張った!うん!色々な意味で!ただそれは知らなくてもいいと思うよ!
「なんでしょう、この空気は・・・」
折角感動しているのだから水差すんじゃない。
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一騒動あったあと、ご飯を食べ、辺りが闇に包まれているこの時間。俺は籃を呼んでいた。
「それで、なんですか?話したい事って」
「私自身の事よ」
そう、俺のことだ。転生したということと、前世が男だったということ。
「まず、私は転生というものをしたわ」
「知ってます」
・・・・・・へ?
「何を言うかと思えば、輪廻転生は当たり前じゃないですか」
・・・・・・ああ、そっちなのね。
「少し言い方を変えるわ。私は、前世の記憶を持っているのよ」
「・・・・・・」
無言になる籃。流石に予想外だったか?
「前世の私は男性でね、心の声はその名残なのよ」
「・・・・・・終わりですか?」
「えっと・・・終わりね」
「はあ、前世が男性だというのもわかりましたし、心の声がアレな理由もわかりました。だからなんですか?紫さんは紫さんでしょう?前世の記憶があろうと、中身ががさつだろうと、料理上手で頭がよくてなんでもかんでもできて胡散臭くてどこか抜けていて」
あれ?途中から貶されてる?
「それでも、私達にとって大事な紫さんであることには変わりありません」
ああ、いい家族をもったものだ。
「・・・ありがとう、籃」
俺は、どこかで怯えていたのだろう。拒絶されるんじゃないかって。ははっ、一誠のこと言えねえな。
そうだな。俺はここにいる。それだけでいいじゃないか。
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八雲籃Said
「さて、紫は行きましたよ。そろそろ出てきたらどうですか?幽々子」
私は別の場所にいる幽々子に声をかける。
「・・・いつから気づいていたの?」
「最初からだ・・・と、言えればいいのかもしれないが、紫がここを離れた時だ」
実際、殆ど気づかなかった。流石、天性の才を持つ幽々子だな。
「紫の言っていたことは、本当なの?」
「紫が私達に嘘をつく理由はないからな。本当のことだろう」
恐らく、私に言ったのが初めてだったのだろうな。
「紫は、なんで私には言ってくれなかったのかしら・・・」
「紫はああ見えて臆病なんだよ。だから、幽々子に拒絶されるかもしれないと思って話せなかったんだろう。それに私はとある切っ掛けがあったからな」
多分、私が他心通を使わなければ私にも言わなかっただろう。それこそ、死ぬまで言わなかったかもしれない。自分が天狐でよかったよ。
「別に気に病むことはないさ。紫は幽々子のことが大事だからな。仲間外れにしたわけじゃない」
「言ってくれればいいのに。私は紫がどんな存在でもいいのだから」
本当に、紫は身内に甘い。だから、全てを背負い込もうとする。自分さえも。だけど、これで少しは重荷がとれるだろう。そして、これからも支えてやろう。
紫の知らないところで、二人は語る。
Saidout
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次の日の放課後、俺は一誠達と共に旧校舎の「開かずの教室」前に来ていた。なんでも、もうひとりの『僧侶』がここにいるらしい。ギャスパーだな。
能力が危険視されたため、上から封印するように言われていたらしい。が、フェニックスとコカビエルとの一戦で高評価を得て、解禁されたらしい。
目の前の扉には、呪術的な刻印と、無数の『KEEP OUT』のテープが張られている。
「ここにいるの。一日中、ここに住んでいるのよ。一応深夜には術が解けて旧校舎内だけなら部屋を出てもいいのだけれど、なかにいる子自身がそれを拒否しているの」
「ひ、引きこもりなんですか?」
「中にいる子は眷属の中でも一番の稼ぎ頭だったりするのですよ。パソコンを介して、特殊な契約を人間と執り行っているのです。直接私達と会いたくない人間というのもいるのですよ。その手のタイプの人間とは別の形で交渉をして、関係を持つのです。それを、パソコンを介して解決しているのよ。パソコンでの取引率は新鋭悪魔の中で上位に入るほどの数字を出しているのです」
と、朱乃談。
「さて、扉を開けるわ」
またもや耳に耳栓結界をはる。全く聞こえなくなるのではなく、一定以上の音のトーンを落とすのである。
「イヤァァァァァァァァァァァァァッッ!」
すごい絶叫ですね。対人恐怖症ここに極まれりってか?リアスと朱乃は気にすることなく、なかに入っていった。
『ごきげんよう。元気そうでよかったわ』
『な、な、何事ですかぁぁぁぁぁ?』
『あらあら。封印が解けたのですよ?もうお外に出られるのです。さあ、私達と一緒に出ましょう?』
『やですぅぅぅぅぅぅ!ここがいいですぅぅぅぅぅぅ!外に行きたくない!人に会いたくないぃぃぃぃぃっ!』
引きこもりじゃねえよ、これは。
一誠とアーシアは顔を見比べ、ゼノヴィアは疑問符を浮かべ、木場は苦笑し、子猫はため息を吐く。
一誠が部屋を覗く。そして、それに続くように皆も入る。
そこにいたのは、金髪赤眼の美少女。見た目だけは。
「おおっ!女の子!しかも外国の!」
「イッセー。・・・・・・見た目、女の子だけれど、この子は紛れもない男の子よ」
詐欺だよ。まあ、その手のマニアには受けそうだけど。
「いやいやいや、どう見ても女の子ですよ、部長!・・・・・・え?マジで?」
「女装趣味があるのですよ」
「レベル高いわね。十分女の子として通じるわ」
素直にそう思う。
「ええええええええええええええええええええっ!?」
「ヒィィィィィィッッ!ごめんなさいごめんなさぁぁぁぁぁい!」
「うわぁぁぁああああああああああああああッッ!神は死んだ!」
「もう死んでるわよ」
「こんな残酷なことがあっていいものか・・・!完全に美少女の姿で・・・男だなんて・・・男根がついているだなんて・・・」
「・・・・・・卑猥な単語禁止」
「女装趣味ってのがさらに残酷だ!似合っている分、余計に真実を知ったときのショックがでかい!引きこもりなのに女装癖かよ!誰に見せるための女装ですか!?」
「だ、だ、だ、だって、女の子の服の方が可愛いもん」
「可愛いもん、とか言うなぁぁぁぁぁ!クソッ!野郎の癖にぃぃぃ!俺の夢を一瞬で散らしやがってぇぇぇぇぇっ!お、俺は、アーシアとお前のダブル金髪美少女『僧侶』を瞬間的にとはいえ、夢見たんだぞ!?返せよぅ!俺の夢を返せよぅ!」
「・・・・・・人に夢と書いて、儚い」
「子猫ちゃぁぁぁぁぁん!シャレにならんから!」
人に儚いと書いてアララギだっけ?ここではヒョウドウだな♪
「と、と、と、ところで、この方は誰ですか?」
「あなたがここにいる間に増えた眷属よ。『兵士』の兵藤一誠、八雲紫、『騎士』のゼノヴィア、あなたと同じ『僧侶』のアーシアよ」
「よろしくね」
「「「よろしく」」」
「ヒィィィ、人が一杯増えてる!」
大丈夫かしら?情緒不安定過ぎるぞ?一瞬女性になっちまったじゃねえか。
「お願いだから、外に出ましょう?ね?もうあなたは封印されなくてもいいのよ?」
「嫌ですぅぅぅぅぅ!僕に外の世界なんて無理なんだぁぁぁぁぁっ!怖い!お外怖い!どうせ、僕が出てっても迷惑をかけるだけだよぉぉぉぉぉっ!」
なんてマイナス思考。そのとき、一誠がギャスパーの腕を引っ張る。
「ほら、部長が外に出ろってーー」
「ヒィィィィ!」
その時、不思議な違和感がしたあと、ギャスパーは消えていた。今のが時間停止の感覚か。覚えた。
「おかしいです。何か今一瞬・・・」
「・・・何かされたのは確かだね」
アーシアとゼノヴィアが驚く。目に見えないもんな、時間停止は。俺も一回使ったけど。
「怒らないで!怒らないで!ぶたないでくださぁぁぁぁぁい!」
「大丈夫よ、何もしないから」
気休め程度にしかならんが、少しは効果があるだろう。感情の境界を操れば手っ取り早いが、そんな非人道的なことはしたくない。
「その子は興奮すると、視界に写した全ての物体の時間を一定の間停止することができる神器を持っているのです」
「・・・時間停止?マジで?」
「彼は神器の制御ができないため、大公及び魔王サーゼクス様の命でここに封じられていたのです」
「この子はギャスパー・ヴラディ。私の眷属『僧侶』。一応、駒王学園の一年生なの。ーーそして、転生前は人間と吸血鬼のハーフよ」
フランを思い出すZE。
「紫さん、あの女装、何点ですか?」
「75点ぐらいかしら?」
後書き
ギャスパー登場!籃しゃま超ハイスペック。
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