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ヘタリア大帝国

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TURN134 ジブラルタル会戦その五

 軍人達は右翼だ、そして貴族達は左翼だ。セーラはその左翼を見て難しい顔で言った。
「彼等は私の統率を受けないつもりですか」
「全くという程ではないですが」
 イギリス妹がセーラに述べる。
「ですが」
「ああしてですね」
「はい、完全に分かれています」
 軍人達の正規軍からというのだ。
「これがよくないことにならなければいいですが」
「そうですね、本当に」
「はい」
 だからだとだ、イギリス妹は言う。
「貴族艦隊の質は」
「よくありません」
 セーラも難しい顔で言う。
「実際のところ」
「旧式艦で職業軍人で編成されておらず」 
 傭兵、若しくは私兵で構成されている。言うならば領内の自警団に毛が生えた様な戦力でしかないのだ。
「しかも指揮官は」
「貴族達ですから」
「あの人達は戦争を知りません」
 ただ利権を貪るだけの連中だというのだ。イギリス妹は言葉の中にそうしたものを入れてセーラに述べる。
「ですから」
「戦力にはなりません」
 セーラも言う。
「数はありますが」
「烏合の衆です、艦隊編成も酷いものです」
「実際あれはないな」
 イギリスもその艦隊を見て言う。
「戦艦も巡洋艦も駆逐艦もな」
「ばらばらに配置しています」
「エネルギー反応がまちまちじゃねえか」
 イギリスはその反応も見て言う。
「これじゃあな」
「戦力にはなりません」
「ああ、俺達がフォローっていうか指揮下に置いて戦うべきだがな」
 だが、なのだ。それが。
「言うこと聞かねえからな」
「最近では女王である私の命令も」
 セーラ、国家元首である彼女のそれもだというのだ。
「あまり聞こうとしません」
「今彼等の権益は殆どなくなっているわ」
 エリザも言う。
「だからそれを取り戻そうということばかり考えているから」
「他のことに目がいかず」
 それでだった。
「私達の言うことも」
「聞かなくなっているのよ」
 エリザはイギリス妹に難しい顔で話した。
「おいそれとはね」
「由々しき事態ですが」
「今すぐにはどうも出来ないわ」
 戦場に向かっている、そうした緊急時ではだ。
 何も出来ない、それでエリザもぼやくのだ。
「この戦いもね」
「負けると」
「陣の左翼があれよ」
 全く戦力にならない状況だというのだ。
「だからね」
「それに気付かない枢軸軍でもありません」
 ロレンスも彼等を見て浮かない顔だ。
「必ずや」
「そこから攻められてね」
 エリザはまた言った。
「負けるわ」
「こちらの備えは用意しなければ」
「備え?」
「はい、左翼が破られた時には」
 既に貴族達が敗れることは念頭に置いてあった、セーラにしても。
「その時には我が軍は円陣を組みです」
「左から来る敵にも備えるか」
「そうしようと考えています」
「そうだな、けれどな」
 イギリスはセーラの話を聞いてから彼女に難しい顔で述べた。 
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