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ヘタリア大帝国

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TURN134 ジブラルタル会戦その六

「貴族の連中を助けないとな」
「潰走した時にですか」
「連中は助けなかったとか言うだろ」
「確かに」 
 言われればその通りだった、彼等の身勝手さを考えれば。
「そう言い出しますね、彼等は」
「だろ?だからな」
「ここはですね」
「ああ、そうなった時は連中のフォローに回らないとな」
「それだと勝てないわよ」
 エリザがイギリスに話す。
「この戦いは」
「連中が逃げるのを援護したらか」
「ええ、彼等は逃げるのも遅いわよ」
 撤退にも訓練が必要だ、しかし彼等はそもそも軍事訓練自体をしていない。軍事についても完全に素人なのだ。
 だからだ、彼等の撤退の後詰に回っていると。
「それだけで枢軸軍の攻撃を受けて」
「攻めるよりも守ってな」
「ええ、それで負けるわよ」
 枢軸軍相手には攻めていかないとならない、それで言うのだ。
「ここはね」
「攻めないと駄目なのはわかってるさ」
 イギリスでもだ、そのことはわかっていた。
 だが、だ。それでもだというのだ。
「けれどな」
「彼等をフォローしないと後で何を言い出すかわからないからなのね」
「そうだよ、そのことを考えるとな」
 どうしてもだというのだ。
「敗因になってもな」
「そういうことね」
「ああ、連中を助けるしかないんだよ」
「正直なところそれでは」
 ロレンスがここでまた言う、それも難しい顔で。
「今度の戦いは」
「負けるな」
「そうなりますが」
「それでもそうするしかないからな」
 だからだと言ってだ、イギリスは今度はセーラに問うた。
「これでどうだよ」
「そうですね、彼等の性格を考えますと」
 セーラもそうすればどうなるかわかっている、だがだ。
 貴族達の後の反発を考えるとイギリスの言葉を受け入れるしかなかった、それでこの決断を下したのだった。
「それしかありません」
「そうだよな」
「はい、それでは」
 こう言ってだ、そしてだった。
 エイリス軍正規軍は貴族艦隊への対応も決定した、彼等は友軍であっても最早敵よりも悪質な者達だった。
 エイリス軍が出陣したことはすぐに枢軸軍にも伝わった、日本はそのことを聞いてすぐに東郷に言った。
「すぐにこちらも出撃しましょう」
「ああ、迎撃にな」
 東郷もすぐに日本に応える。
「出るか」
「では」
「しかし妙だな」
 ここで言うのは山下だ、丁度東郷と二人で作戦会議をしていてそこに日本が報告に来たのである。それで彼女もいるのだ。
 その山下がだ、首を傾げさせて言うのだ。
「今ここで動くことはだ」
「そうだ、今は動いた方が負けだ」
 戦線が膠着しているからだ、東郷も言う。
「それで動くのはな」
「愚だ、セーラ女王も他のエイリス上層部もそこまで愚かとは思えないが」
「女王達はな、しかしだ」
「貴族の連中か」
 山下もすぐにわかった、このことは。
「連中が騒いだか」
「そういうところだろうな、エイリスでは貴族及び貴族院の発言力も大きいからな」
「腐り果てた特権階級だな」
 山下は実に彼女らしく述べた。 
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