こんな私(俺)の物語
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第十八話 停止教室のヴァンパイア
前書き
総合評価1900突破!
いざ、南無三!なんてね。
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どうも、ただ今自転車に並走している八雲紫です。深夜の悪魔の仕事だよ。普段は一誠だけが呼ばれるのだが、何故か今回、俺も呼ばれた。
美鈴に教わった気による肉体の内側の強化と、霊夢に教わった霊力による外側の強化により、俺はあっさり並走している。
「一誠、少し遅いわよ。道案内は一誠なのだから、速くしなさい」
「紫さん・・・なんでそんなに早いんですか・・・!」
「日頃の成果かしら」
日々精進。これに尽きる。
ほどなくして、依頼者の元には着いた。着いたのだが・・・。
「おー、来たな。悪魔君たち。今日も悪いねぇ」
黒髪の悪そうな風貌の男。・・・・・・何故あんたが依頼者なんだよ・・・。
「ねえ一誠。本当にこの『存在』が依頼者?」
「はい。そうなんです。毎度毎度悪魔を呼び出す必要があるのかわからない依頼が多いんですよね・・・」
「まあ、とりあえず上がってくれ」
とりあえず依頼者の自室にお邪魔する。ああ、どうしてこうなった・・・。
「悪魔君たち。今日はゲームでもやらないか?昼間にレースゲーム買ったんだ。さすがに相手がいないと寂しいし、大人数でやった方が楽しいからな」
・・・・・・ちょっと共感した自分が憎い。確かにパーティゲームで一緒にやってくれる人がいないって寂しいよね!
「わかりました。宜しくお願いします」
「よし、じゃあ早速プレイだ。日本って国は暇潰しのアイテムが多くていいな。悪くないところだ。ほら、コントローラー」
「あ、どうも。俺、この手のゲームに強いですよ?」
「私は初めてなのだけれど・・・・・・」
「まあ、俺も初心者だからな。軽く頼むよ」
レースゲームなんて何年ぶりだろうか。前世っきりだと思うな。ただ、あんまり楽しむ余裕はない。
『GO!』
とまあスタートした。操作すら覚えていない俺は当然、他のプレイヤーの手元をみて覚えるしかなかった。
そして、何回かレースを繰り返した。
よし、大体覚えた。
「よし、一通り覚えたぜ。そろそろ、勝ちにいくぜ」
と依頼主がいう。そして宣言通り一誠の操作する車を軽々と追い抜いていく。えらい上達が早いな。
「うおおお、マジかよ!」
とか言っている間に俺の車も一誠を追い抜く。
「ええええ!紫さんも!?」
あ、こんくらい楽勝ッス。
結果は二位。まあ、妥当な線だ。
「どうやら、俺が1位だな。悪魔君たち」
「まだまだ!」
「気合いが入るのはいいのだけれど、いつになったら正体を表すのかしら?堕天使さん」
「・・・・・・え?」
「そうだな。そろそろ名乗るとするか、赤龍帝、それとスキマのお嬢ちゃん」
「・・・・・・あんた、誰だ?」
男はニヒルに笑いながら、名乗った。
「ーーアザゼル。堕天使どもの総督、まあ頭をやっている。宜しくな、赤龍帝の兵藤一誠、スキマの八雲紫」
背中から十二の漆黒の、闇のような黒い翼が展開される。
情報の早い奴だ。ていうか、スキマ覚えてたのかよ。
「ついで、嬢ちゃんの能力、今度こそ教えてくれよ」
「イヤよ」
即答
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「冗談じゃないわ」
「なにがよ。契約相手としてはいい方よ」
確かに堕天使が契約相手なのは問題があるかもしれないが、払いはいいんだ。敵意も無いんだし、友好的にいけばいいものを。
時は夏。暑い季節である。半袖ってなれないんだよね。
「なにを言っているのよ紫。堕天使よ?営業妨害に決まっているじゃない。確かに悪魔、堕天使、天使の三竦みのトップの会談がこの町で執り行われるとはいえ、堕天使の総督が私の縄張りに侵入していたのよ!?しかも私の可愛いイッセーにまで手を出そうとしたのよ!万死に値するわ!」
「あなたが一誠を大事に思っていることは知っているわよ。けど、あっちは面白いから接触しただけだと思うわよ?」
「アザゼルは神器に強い興味を持つと聞いているのよ!?私のイッセーがブーステッド・ギアを持っているから接触してきたのよ!あなたの神器だって興味を持たれている可能性もあるのよ!?大丈夫よ、イッセー。私がイッセーを絶対に守ってあげるから」
「既に興味を持たれているわよ」
俺は守らんのかい。まあ、最初から守ってもらおうとは思っていないが。一誠が大事なのはわかるが、私の私のうるさい。リアスは自分の所有物を他人に触られたりするのを酷く嫌うタイプだ。単純に言えば独占欲が強い。
「・・・やっぱ、俺と紫さんの神器をアザゼルは狙っているのかな。神器に強い興味があるんだろ?」
「確かに、アザゼルは神器に造詣が深いと聞くね。そして、有能な神器所持者を集めているとも聞く」
俺も一応有能な神器所持者なのかねぇ。
「でも、大丈夫だよ。僕がイッセー君を守るからね」
わー。全国の腐女子が大興奮な告白(?)ですよー。おえぇぇぇぇぇ。吐きそう。
「・・・いや、あの、う、うれしいけどさ・・・。何て言うか、真顔で男にそんなことを男に言われると正直、気持ち悪いぞ。そういうのは女に向かって言ってくれ」
「ははは、真顔で言うに決まっているじゃないか。君は僕を助けてくれた。僕の大事な仲間だ。仲間の危機も救えないようじゃ、グレモリー眷属の『騎士』は名乗れないさ」
なんて口説き文句。恐ろしい。下手すれば男でも落ちるんじゃね?
「問題ないよ。『禁手』となった僕の神器とイッセー君のブーステッド・ギアが合わさればどんな危機でも乗り越えられる。そんな気がするんだ。・・・ふふ、ついこの間まではこんな暑苦しいことを口にするタイプじゃなかったんだけどね。君といると心構えまで変わってしまう。けれど、それが嫌じゃないんだよ・・・。胸が熱いんだ」
「木場!マジでキモい!気持ち悪いぞ!止めろ!近寄るな!触れるな!」
「そ、そんな、イッセー君・・・・・・」
「よかったわね、一誠。男子から恨まれなくなるかもしれないわね」
「それってBL疑惑に拍車がかかるってことですよね!?全然よくないですよ!それと木場!気落ちするな!居たたまれないじゃねえか!」
あはははは。おもしれえ。やっぱ一誠の周りおもしれえ。
「しかし、どうしたものかしら・・・。あちらの動きがわからない以上、こちらも動きづらいわ。相手は堕天使の総督。下手に接することもできないわね」
「アザゼルは昔から、ああいう男だよ」
「お、おお、お兄様!?」
リアスの疑問に答えるように、この場に新たな声が聞こえた。こうしてお会いするのは二度目だな。リアスと同じ紅髪の男性、サーゼクス・ルシファー。
跪かなきゃいけないの?まあ一応、見よう見まねで。
「先日のコカビエルのようなことはしないよ、アザゼルは。今回みたいな悪戯はするだろうけどね。しかし、総督殿は予定より早い来日だな」
おおう。後ろに銀髪メイドが。いかん。ちょっとトラウマが・・・・・・。メイド長のトラウマが・・・・・・。
「くつろいでくれたまえ。今日はプライベートで来ている」
と、その言葉に全員が従い、立ち上がる。こういう時はちゃんとしないと。
「やあ、我が妹よ。しかし、この部屋は殺風景だ。年頃の娘たちが集まる場所にしても魔方陣だらけとはどうだろうか」
「お兄様、ど、どうして、ここへ?」
「なにを言っているんだ。授業参観が近いだろう?私も参加しようと思っていてね。ぜひとも妹が勉学に励む姿を間近で見たいものだ」
シスコンだ!まあ俺もユユコンなんだがな!俺たちは親は来ないから授業参観とか完全に頭の中から消え失せてた。
「グ、グレイフィアよね?お兄様に伝えたのは」
「はい。学園からの報告はグレモリー眷属のスケジュールを任されている。私のもとへ届きます。無論、サーゼクス様の『女王』でもありますので主へ報告もいたしました」
「報告を受けた私は魔王職が激務であろうと、休暇を入れてでも妹の授業参観に参加したかったのだよ。安心しなさい。父上もちゃんとお越しになられる」
「そ、そういうことではありません!お兄様は魔王なのです!仕事をほっぽり出してくるなんて!魔王がいち悪魔を特別視してはいけませんわ!」
「いやいや、これは仕事でもあるんだよ、リアス。実は三竦みの会談をこの学校で執り行おうと思っていてね。会場の下見に来たんだよ」
つまりは、仕事の一環のついでに授業参観と。公共施設を使うってのはいいかもしれない。
さすがに口を挟めない。
「ーーっ!ここで!?本当に?」
「ああ、この学園とはどうやら何かしらの縁があるようだ。私の妹であるお前と、伝説の赤龍帝、聖魔剣使い、デュランダル使い、緋想の剣使い、魔王セラフォルー・レヴィアタンの妹が所属し、コカビエルと白龍皇が襲来してきた。これは偶然で片付けられない事象だ。様々な力が入り混じり、うねりとなっているのだろう。そのうねりを加速的に増しているのが、兵藤一誠君ーー赤龍帝だと思うのだが」
おおう。俺は赤龍帝のおまけか。まあ、べつにいいんだが。
「あなたが魔王か。初めまして、ゼノヴィアという者だ」
「ごきげんよう、ゼノヴィア。私はサーゼクス・ルシファー。リアスから報告を受けている。聖剣デュランダルの使い手が悪魔に転生し、しかも我が妹の眷属になるとは・・・・・・正直、最初に聞いたときは耳を疑ったよ」
「私も悪魔になるとは思っていなかったよ。今まで葬ってきた側に転生するなんて、我ながら大胆なことをしたとたまに後悔している。・・・うん、そうだ。なんで私は悪魔になったんだろうか?やけくそ?自暴自棄?いや、だがあのときは正直、どうでもよくて・・・。でも、悪魔で本当によかったのだろうか?」
「もう少し後先考えて行動しなさい」
「・・・確かに・・・」
「ハハハ、妹の眷属は楽しい者が多くていい。ゼノヴィア、転生したばかりで勝手がわからないかもしれないが、リアスの眷属としてグレモリーを支えてほしい。宜しく頼むよ」
「聖書にも記されている伝説の魔王ルシファーに頼まれたら、私も後には引けないな。どこまでやれるかわからないが、やれるところまではやらせてもらう」
「ありがとう。ーーさて、これ以上難しい話をここでしても仕方がない。うーむ、しかし、人間界に来たとはいえ、夜中だ。こんな時間に宿泊施設は空いているだろうか?」
「あ、それなら俺の家に泊まりますか?」
キュピン!
目が光ったような気がした。まるでそれだ!見たいな感じで。
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結局、リアスは抵抗したが、魔王と『銀髪の殲滅女王』を止めることはできませんでした。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「あら、幽々子は寝てるの?」
「はい。筋肉痛です」
「なにをしたのよ・・・・・・」
「とりあえず、身体強化を教えました」
幽々子。無理しないで。マジで。
「ところで紫さんーー私を式神にしてくれませんか?」
・・・今さら?
「何故?」
「式神は、主の力をある程度自身の力にすることができます。ーー私は、紫さんの役にたちたいんです」
「そう・・・・・・じゃあ、やるわよ」
使い魔契約みたいな感じでやればいいのか?実は式神契約のやり方はしらない。じゃ、またもあれ繋がりでやるか。
空中に妖力で『籃』の文字を書く。それを右腕に張り付けるように『刻み込む』。ノラガミのやり方だよ。いいだろ。できたんだしさ。
「これでいいかしら?」
「はい。『境界を操る程度の能力』もある程度使えるようになりました。妖力の総量も増えました」
おお、式神って主の方が強くないとできないんじゃなかったっけ?まだ俺も籃も弱いのかな?
「さて、式神になったところで・・・・・・早速模擬戦闘と逝きましょう」
「ねえ籃。字が違わないかしら?」
「そうでしょうか?」
ニコニコ
こえぇぇぇぇぇ!確実に殺る気を出している!
「さあ、あの空間を作って下さい!早く!」
地獄(フランとの弾幕ごっこ)から帰って来たばっかりなのに、なんでまたやらなきゃいけないのさ。
少女空間制作中・・・・・・
「さあ、始めましょう!」
「なんでそんなにハイテンションなのかしら?」
まさか力に溺れたとか無いよな?そんなの嫌だぞ。
「早く慣れたいんですよ!」
「落ち着きなさい。負担が大きい能力なのだから」
『境界を操る程度の能力』は負担が大きい。いくら籃でもそう簡単に使える代物ではない。
俺は身体強化を二重にかけ、籃に対峙した。緋想の剣は使わないよ?
たださぁ籃。妖力と気力と神力の三段強化って酷くね?最早ドーピングレベルだよ。特に神力の有無が一番の差だ。なんで俺の家族は才能あるんだか・・・・・・。
「いきますよ!」
『幻巣「飛光虫ネスト」』
コピられた。飛光虫がコピられた。マジですか!しかもスキマからちゃんと撃ってる!
「随分と上手に使うじゃない!」
『幻巣「飛光虫ネスト」』
同じスペルがぶつかり合う。違う点は、俺の方がスキマの数がおおく、その分弾幕の量も多い。ただ、籃の方が一発一発の威力が高い。結果、殆ど互角だった。
「埒があきませんね。じゃあ、至近距離でっ!」
右から手刀が振るわれる。それを伏せて避ける。すぐさま膝が俺に向かって来る。それを右手で受け止める。ぐっ、重い。
さらに籃の九本の尾が生き物のように俺を狙ってくる。それを伏せ、翔び、避け、距離を取る。
しかし、籃は追ってこなかった。その代わり、腹に鋭い蹴りが入った。
「かはっ」
肺の中の空気が吐き出される。五メートル以上の距離があったにも関わらず、五メートル先から蹴りをいれてきた。籃に初めて、まともなダメージを与えられた。ていうか、なんで届くんだよ。って、ああ、スキマか。
そして、四方八方から襲いかかる九本の尾。距離無視って怖い。だけど、少し甘いよ。
俺は伴器を取り出して投げつける。その時、スキマを通して距離を短縮して籃に刺す。といっても、非殺傷性にしてるから傷はつかないんだが。
それが刺さると同時に自分もスキマを通って距離を詰め、刺さった伴器を抜きながら後ろに切り抜ける。そして、スキマ転移を利用してあらゆる方向から滅多討ちにしたあと、渾身の蹴りを放つ。
『天符「三千大千世界の主」』
ガンガンいく僧侶のスペル。スキマを使えばナムサンみたいな圧倒的スピードがなくてもある程度真似はできる。
ああ、疲れた。しかも全力でボコボコにしてしまった・・・・・・。
「籃。大丈夫?」
「紫さん。節々が痛いです」
俺は残った妖力やらを総動員して治癒に専念するのだった。
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翌日。プールの時間。
俺は元男だ。だから、女性の水着なんぞ何一つわからん。だから、幽々子と籃に頼んだんだよ。「私の水着を買ってきて」と。一応露出は少なめで。
幼少の頃はつるぺったんだったからスクール水着でよかったんだけど、無駄に胸が大きくなったせいで水着を買う必要性が出てきたんだよ。ああ、もう殆ど自分の体にたいしての羞恥はないよ。
「とりあえず、着てみましょうか」
幽々子と籃が選んだ水着はシンプルな紫色。よかった。変な色じゃなくて。普通のビキニタイプ。うん。今の俺には十分だ。
水着に着替えて、俺はプールに向かった。
そこで見たものは、ムッツ○ー二並みに血を垂れ流す兵藤一誠君。死ぬんちゃうかな!?
なんで揃いも揃って布の面積が少ないんだよ!ロリ組は普通でありがたいです。たださアーシア。名前のところなんで平仮名なのさ!
「あ、紫さブフッ」
俺の名前を言い切る前に鼻血に溺れる一誠。・・・・・・輸血パックいるんじゃね?しかも俺の水着姿みて鼻血出すなよ。少なくともあの二人よか地味やと思うんやけど。
「・・・・・・巨乳は敵です」
「子猫、なんで私だけに言うのかしら?」
なんで俺だけに言うのさ。あの二人より一応サイズはしたなんだが。それでも90あるけど。本当、無駄に育った。因みに、我が家の胸のヒエラルキーは
幽々子>紫>籃
である。栄養が胸にいくは伊達じゃねえ。サイズは秘密。
「一誠、大丈夫かしら?」
「大丈夫です。ありがとうございます!」
何が言いたいんだよ・・・。
「イッセー、悪いのだけれど、子猫に泳ぎを教えてくれないかしら」
「あ、はい。わかりました」
「その前に血を洗い流して来なさい」
血のプールができるじゃないか。
少年洗い中・・・・・・
一誠が血を洗い流して子猫とアーシアに泳ぎを教えてもらっている。
いや、だってさ。子猫が教えてもらっている間私が教えようか?っていったら一誠がいいとさ。恋する乙女は一直線だねぇ。てなわけで、
「紫、ちょっと競泳に付き合いなさい」
とまあリアスと泳いでいる。それでもかれこれこれで5往復ほどほどしたぞ?元気あるなあ。
「さあ!次いくわよ!」
「私は少し休みたいのだけれど・・・」
とか言いつつも付き合う俺ってなんなんだろう。俺は再び水の中に飛び込む。
しかしそのタイミングで、こんな音が聞こえた。
『Transfer!!』
一誠ですね。わかります。俺はスキマを使って一誠を引き上げる。一誠ぐらいなら片手で持ち上げれるよ。
「何するんですか!紫さん!」
「私から言うことはないわ。代わりに子猫、いってあげなさい」
「子猫ちゃん?」
「・・・次はアーシア先輩の泳ぎを見るんじゃないんですか?」
「うぅ、私だって私だって・・・」
アーシア涙目。ほら、涙を拭きなさい。
「う、ご、ごほん!よし、次はアーシアだ。準備はOKか?」
「・・・はい、宜しくお願いします」
とりあえず、俺は休む。結構連続で泳ぐときついんだよ。
時間経過・・・・・・
今は全員が一休みをしている。久し振りに泳いだ。子供の頃以来だな。
アーシアはプールサイドに敷かれたビニールシートでバタンキュー。
子猫は日陰で読書。
あれから20往復はした。距離にして1kmぐらいかな。連続で泳いだよ。種族が人間だから、かなりきついんだよ。
人間だから、俺は日焼け止めを塗っておく。背中はスキマで塗れるからな。ははは、便利便利。
なんでか一誠が残念そうにこっち見るんだよね。もしかして塗りたかったの?俺が嫌だ。
そんな一誠に悪魔の誘惑(誤字にあらず)が舞い込む。リアスが一誠をオイル塗りに誘った。一気に生気が戻ってるよ。確かにこの場の肉体的男子は一人しかいないけど。
一誠は大興奮でリアスにオイルを塗る。普通背中だけでええやろ。なんで前まで頼むねん。一誠気合いで鼻血我慢してる。ティッシュいるんじゃね?
因みに、一誠がヘタレで鈍感なのはレイナーレのことがトラウマになったかららしい。
あ、朱乃が一誠に抱きついた。上の水着を脱いで。だからお前らもーちょい羞恥心をもて!
とりあえず、アーシア寝てるんだから静かにしろや。
官能的な言葉で言い合いをする朱乃。ああ、一誠の鼻から血が出てるよ。
ヒュッ! ボンッ!
ああ、プールの飛び込み台が一つ消し飛んだ。次使う人のことを考えなさい。
「言い争いをするのはいいけれど、学校の備品を壊さないで」
一応注意しておいて、俺は種族を妖怪にして基本能力を底上げして、壊れた、というより消し飛んだ飛び込み台を修復する。ふと、隣を見たら、全身を黄金のオーラで包んだ朱乃と、紅いオーラで包んだリアスがいた。
「イッセーはあげないわ。ーー卑しい雷の巫女さん」
「可愛がるくらいいいじゃないのーー紅髪の処女姫さま」
「あなただって処女じゃないの!」
「あら、そんなこと言うなら今すぐイッセー君に処女をもらってもらうわ」
「ダメよ!イッセーは私の処女がいいって言ったの!」
「その前に二人とも慎みを持ちなさい」
一誠が持たないな。色々な意味で。
「大体朱乃は男が嫌いだったはずでしょう!どうしてよりによってイッセーにだけ興味を注ぐのよ!」
「そういうリアスも男に興味ない、全部一緒に見えるなんていってたわ!」
「イッセーは特別なの!かわいいの!」
「私だってイッセー君はかわいいわよ!やっとそう思える男の子に出会えたのだから、ちょっとぐらいイッセー君を通じて男を知ってもいいじゃないの!」
俺の言葉も聞かずに、魔力の塊を放つお姉さまがた二人。キレてもいいよね?
「二人とも、学校の備品を壊すのはやめなさい!」
俺は結界で二人を隔離した。
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さて、今ごろ一誠はゼノヴィアにアレの申し込みをされているだろう。そんな中、俺は、全員がいなくなったプールに幽々子と籃を呼んで泳いでいた。いやあ、折角だから二人も呼ぼうと思っただけさ。
ちょっと家を見たら、二人とものびかけてたのが一番の理由なんだが。
「気持ちいい~」
「さっぱりしますね。ところで、勝手に使っていいんですか」
「いいのよ。調度誰もいないから」
以外にも幽々子は泳げなかった。ただ、十分くらいで泳げるようになった。こんなところでもセンスが。
「泳ぐって楽しいわね~」
幽々子は幼少の頃はセンスなかったのに、高校生辺りから、センスが出始めた。何があったんだか。
籃は普通に泳げる。綺麗なフォームで泳げている。
「そういえば幽々子、筋肉痛は?」
「治ったわ~」
早!回復が早い。まあ、いいか。
「私が妖術で回復を手助けしました」
ああ、そういうこと。やっぱ妖術って色々な使い方があるよな。因みに、俺は流れ弾でぶっ壊れたプールを直していた。あのバカ『王』とバカ『女王』が。直す身にもなりやがれ!
「そろそろ上がりなさい」
「は~い」
さてと、今日のご飯は何にしようかな。そうだ、久し振りに幽々子の好物の焼き鳥でも作るか。買うんじゃない。作るんだよ。
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二人と一緒に着替え、俺は一旦帰ろうと校門に向かう。そこには一誠がいた。そして、校門の近くにヴァーリがいた。ヴァーリの手が、一誠に迫る。俺は危機感を感じて、スキマ転移を使って一瞬で近づき、雪器を首元に向ける。それと同時に左右から木場の聖魔剣、ゼノヴィアのデュランダルが突きつけられた。
「何をするつもりかわからないけど、冗談が過ぎるんじゃないかな?」
「ここで赤龍帝との決戦を始めさせるわけにはいかないな、白龍皇」
二人がドスの聞いた声で言う。しかしヴァーリは気にもせずに言う。
「止めておいた方がいい。ーー手が震えているじゃないか」
木場とゼノヴィアの手は震えている。まあ、差がありすぎるからな。
「誇っていい。相手との実力差がわかるのは、強い証拠だ。ーー俺と君たちとの間には決定的なほどの差がある。コカビエルごときに苦戦するような君達では、俺には勝てないよ。もっとも、君だけは別かもしれないがね」
俺に向かって言ってくるヴァーリ。まあ、頑張りゃ多分倒せた。
「兵藤一誠、君はこの世界で自分が何番目に強いと思う?そうだな、未完成の禁手状態とした君は上から数えた場合、四桁、千から千五百の間ぐらいかな。いや、宿主のスペック的にはもっとしたかな?」
「・・・・・・何が言いたいんだよ・・・」
「この世界には強い者が多い。『紅髪の魔王《クリムゾン・サタン》』と呼ばれるサーゼクス・ルシファーですら、トップ10に入らない。だが、一位の存在は決まっている。ーー不動の存在がな」
「?誰のことだ。自分が一番とでも言うのかよ?」
一番の存在か・・・あいつかな?多分あいつだ。
「いずれわかる。ただ、俺じゃない。ーー兵藤一誠は貴重な存在だ。十分に育てた方がいい、リアス・グレモリー」
遅いんだよ。今頃かよ。それと、アーシアは離れとけ。
「白龍皇、何のつもりかしら?あなたが堕天使と繋がりを持っているなら、必要以上の接触はーー」
「ーー『二天龍』と称されたドラゴン。『赤い龍《ウェルシュドラゴン》』と『白い龍《バニシングドラゴン》』。過去、関わった者は録な生き方をしていない。ーーあなたはどうなるんだろうな」
「ーーっ」
一誠の近くにいると危機感薄れるよな。
「今日は別に戦いにきたわけじゃない。ちょっと先日訪れた学舎と、あの線を引いていた者に会ってみたかっただけだよ。アザゼルの付き添いでで来日していてね、ただの退屈しのぎだよ。ーーここでウェルシュドラゴンとは戦わない。それに、俺もやることが多いからさ。今日はこの辺で失礼するよ」
それだけ言って、ヴァーリは踵を返して、この場を去っていった。
はあ、また巻き込まれるのか。
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その日の夜。俺たちは庭でバーベキューをしていた。ただし、肉は焼き鳥オンリー。よく飽きないな。
何故バーベキューかと言うと、炭火焼きがいいという幽々子のリクエストだ。
幸せそうに食べる幽々子。完全に食べる専門だ。俺と籃は焼いている。
ご飯も食べるし、本当、よく食べるな。
まあ、幽々子の笑顔が見れるからいいな。
こんな日常が、続きますように。
後書き
自分が大好きなスペル『天符「三千大千世界の主」』。独古の代わりに伴器を使ってぶっぱなします。
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