こんなチートでもありですかい?そうですかい。
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第40話。変人と七つ夜。
電車を乗り継いでシオンと共に三咲町に向かう。
「そう言えばタタリがなんで日本に来たって分かったん?噂とか出てたんか?」
「いえ、まだ現地には行っていませんので噂の有無はわかりませんが、タタリの発生はわかります」
「なんで?」
「変異はしていませんが、私はタタリの『子』ですので・・」
「『子』だとわかるんか?」
「ええ、ある程度は。」
そう言えばシエルもロアが日本で転生を果たしたことを分かった上で探していたな。
さらにシオンは言葉を続ける。
「ですが、私は錬金術を追求する者。親の支配という式を、あちら側はプロテクトし、こちら側から情報だけを取得することが可能です」
・・・・よく分からんが、シオンがすごいってことは分かった。
「シオンはあの後どうしてたんだ?」
「晋吾と別れた後ですか?」
「おうよ。」
「そうですね。各地で死徒に関する情報があればそちらに赴き、タタリが発生の噂を聞いたらそちらに、というところです。」
「?タタリから情報貰ってるんじゃないんか?」
「普通の死徒は血が必要ですから言おうなく『支配』が発生します。」
シオンは俺に分かりやすいように言葉を区切る。
「しかし、タタリは現象ですので、起こらなければ情報は抜き取れません。」
「ふ~ん。そんなもんかのぉ」
しかしよくわからん。やはり魔術とか錬金術とかは俺とは相容れない分野らしい。
しみじみと感慨にふけていると、少し遠慮した様子でシオンが聞いてきた。
「晋吾は・・晋吾はどうしてたのですか?」
「俺?日本では単なる中坊やからの、学校行って遊んで、自分の研究して、そんな感じ。」
「・・・・そうですか。」
「一番自分の時間がある時期やからの。楽しんでるわ。」
「・・少し、羨ましいです。」
「何、とっとと終わらせて楽になりぁええ。俺とシオンでやるんや。瞬殺やろ?」
「・・フフッ。そうですね」
「あれ?晋吾くん?」
「うぬ?さっちんやないの」
「さっちんって言わないでよね!」
三咲町に着いて、情報収集を図ろうとしたところ、さっちんに遭遇。
「ちょうどええ、聞きたいことがあるんや。」
「聞きたいこと?」
久しぶりに会えたんだし、ゆっくりしようよ。とのさっちんの言によりファミレスに移動。
・・・・苦手なのに。
「ホント久しぶりだね~」
「おう。早速で悪いけど聞いてええ?」
「いいけど・・何?」
「アレや。さっちんと出会った時と同様の件。」
「えっ?また?じゃ最近の物騒な噂って・・・・」
「それや!それを聞きたかったんや!」
「晋吾・・・・」
ドンピシャ~と喜ぶ俺を申し訳なさそうに呼ぶ声がする。
「その・・彼女は・・・・」
「おう、そうやった。紹介がまだやったな。さっちんや。」
「さっちんじゃないよっ!えっと・・弓塚さつきです。」
「去年の5月頃にあったロア騒ぎの時に会ったんよ。」
「えへへ、晋吾くんに助けてもらった口です。」
「ッ!?そうでしたか・・仲間だったんですね。」
そう言ってさっちんの手を取るシオン。目がキラリと輝く。
「じゃあ・・」
「ええ、私も晋吾に助けてもらいました。」
「そっか!仲間だね!」
「はい。仲間です。」
共通点から仲間意識が発生した模様です。
「あ~。そろそろ先に進んでもええか?」
「あっ・・スイマセン。」
シュン・・とするシオン。いや、そこまで落ち込まんでもええやん
気を取り直して、最近の物騒な噂とやらを聞く。
「一番聞くのは殺人鬼の再来かなー。殺人事件が多いみたい。」
「殺人鬼か・・」
「でも去年のって殺人鬼じゃなくて吸血鬼でしょ?鬼違いだよね~」
なんだその鬼違いって・・・・
「あんまこういうの聞くのなんやけど・・どんな死体だったとか分かるか?」
「んー。バラバラ殺人だったって聞くいたよ。」
はい。七夜さん参加確定~。
「私、去年みたいなことがあったから、夜遅く出歩かないことにしてるんだ。予備校もあるけど、家から一番近いところにしたし、遅くまで残らないようにしてる。」
「やるなさっちん。命あっての物種っていうし、心構えやな。」
「生命に関する危機管理能力の高さは、生物の有能性を分けるひとつです。誇れるものですよ。さつき。」
俺とシオンに褒められて照れるさっちん。
「えっ・・えっとね!次に聞くのはね!」
照れ隠しのように慌てて話を続けるさっちん。
んー次か~。まぁ順当で教授かな?ホテルの事件の生存者もいっぱいいるし。
次点で暴走アルとか?出力4割とかだった気がするからまぁ楽だろうが・・
「黒塗り釘バットの少年かな?」
・・・・・・なんですと?
シオンの視線を感じる。こっち見んな。
「バットで殴られるらしいんだけど、こっちの被害者は、生きてる人と死んじゃった人とマチマチらしいのよね。」
「・・・・ふ~ん。そうなんか。」
「そういえばさ、晋吾くんなんでゴルフバック持ってるの?見せて!」
「ちょっ・・おま・・・・」
俺、シオンと隣同士に座っている座席の関係上。荷物はさっちんの隣。
つまりゴルフクラブケースもさっちんの隣。待て!待つんだ!!
ジィ~っと開けられるケース。見える黒塗りの釘バット。
「いやな。これには事情があってだな。」
俺の手を取るさっちん。
「じ・・じ・・ジス?・・・・警察に行こ。晋吾くん。」
「自首な。真剣な顔が台無しやがな。」
このあと、結局タタリの細かい説明をするまでさっちんの疑いは晴れなかった。
・・・・これは八つ当たり決定やな。
まぁ、一番有効なのは夜に彷徨くことだろう。との結論に達し、二人で夜の街を徘徊。
「うがー。今日は月が雲で隠れてるわ。」
「晋吾は月が好きなのですか?」
「うん?まぁ嫌いじゃないで。この世界では月は『死んでる』らしいけど、綺麗なものには変わりない。」
「いやはや。」
街灯の届かない暗闇から声がする
「月は『死んでる』から綺麗なのさ。この世で一番綺麗な顔って奴だよ」
「『綺麗な顔してるだろ。死んでるんだぜ?』ですか。達ちゃんか己は」
学ランを着た、遠野志貴によく似た顔をしながら、雰囲気が全く異なる男。七夜志貴。
いきなり厨二語録が入りました。一番綺麗な顔は、死に顔らしいです。流石七夜さん格が違う。
「月が見えぬ夜にこんばんは。その銀色の魂に惹かれて来てしまったよ。」
「会いたく無かったわ。正直、俺らの相性は最悪やろ」
「そうだね。この素晴らしい『眼』をもってしても視ることが叶わない君の死を、その魂の輝きを潰せないなんて、全くダメだね俺。最高の死を創れないなんて」
「そう言う意味やないんやど・・話が噛み合わんのも物語ってるわな。」
クックックと声を殺すように笑う七夜。
「正直、君と会えた時点で終わりだろうさ。でも・・少し殺し合いしてもいいだろ?死ぬんなら、派手に逝きたいんでね?」
「俺は正直ヤル気ないがの・・・・」
いくらなんでもシッキーと、友人とそっくりな顔を持つある意味同一人物と殺し合いなんて、出来ればしたくない。
まぁ、適当に戦闘不能にすればいいか。とりあえず、四肢全部折っとけば大丈夫か?
「なになに。俺には使徒様を本気にさせる魔法の言葉がある。」
何を言ってるんだこいつは?
「音もなく忍び寄る。ただコロシタイその衝動に身を任せ。金色の姫。その美しい首に刃を入れる。その肉の感触に心が焦がれる。その骨の感触が脳を焼く。赴くままに刃を走らせる。赴くままに骨を断ち肉を切る。見下ろした先にはキレイナ17のニクヘン――――」
奴の声が続くたび、血の気が下がる。ただコロシタイ衝動だと?バカを言うな。
俺が貴様をコロシタイ。
「シオン。こいつを持ってろ」
「晋吾?」
シオンに『相棒』をあずける。奴は俺を『本気』にさせると言った。
「・・・・確かに魔法の言葉やな。」
「そうだろう?」
ニヤリと奴が嗤う。
いいだろう。本気の本気だ。相棒も使わん、魔力放出も魔力硬化も使わん。
「ただ、貴様を殴り殺す。」
「弔毘八仙、無情に服す。が、感謝しよう。こんな最高の殺合をさせてくれるのだから―――」
後書き
まさかの偽晋吾(仮)参戦。もうどのような感じで行くかは決めてあります。
さっちんの出番はまだあります。水先案内人役を携わります。具体的にはこんな噂があるよーと教えてくれる一般市民Aです。・・・・モブか。
シッキーは出すつもりですが、シッキーに戦闘させるかは微妙。
そして七夜さんワールド全開の殺人鬼。ヤムチャしやがって・・・・
感想にもありましたが、硬さに定評のある晋吾に魔力硬化させるとワンサイドゲームてか、ジェノサイドゲームになるのでこうしました。
ですので七夜がめっちゃ頑張れば
「痛って、切れたんですけど」
って切れるぐらいです。
・・・・七夜さんめっちゃ頑張るよ!俺、七夜さんの味方っすから!頑張ってください!!
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