こんなチートでもありですかい?そうですかい。
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第33話。変人の使命、姫の夢。
「御降臨お待ちしておりました。」
「あー。・・・・大儀であった?」
「ハッ」
ロアが去った後、シエルさんと絶賛気絶中のシッキーを治療等をしていたのだが、終わったあと、いきなり跪かれて困っています晋吾です。
「もしかして教会じゃ、ガチで父なる神扱い?」
「いえ、主とは厳密には違います。実の話をすると、教会でもこの話は揉めているので・・・・」
「聴きたくないことを聞いたわー」
真面目なシスターさんの返答に困りながら苦笑いを浮かべる。
「そういえば自己紹介がまだやったの。晋吾や。衛宮晋吾」
「名を頂けるとは、感極まる思いです。シエルとお呼びください。」
名前ぐらいで大袈裟な。と思いながらも、おおよ。と返事を返す
「ところで、シエルさんもあいつを追ってんのか?」
「シエルでいいですよ?・・それで?あいつとは?」
「惚けんでもええ。ロアや。」
「・・・もちろん。それが仕事ですからね。」
そういってカソックの胸元を引っ張るシエル。
「じゃ、悪いが俺に任せろや」
「いえ、お手を煩わせる訳にはいきません」
「いや、実際の被害者に会って、余計に思ったわ。あいつの存在は許せん。」
「・・・・分かりますか?」
「違和感は初めて見た時から感じてたが、今分かったわ。可哀想に、魂が撚れてるわ」
「撚れ・・ですか」
「ロアに引っ張られての。奴が居る限り死なんだろうさ。」
唇を噛むシエル。どうやら嫌悪感がぬけないらしい。
「まぁ、安心せい。ロアは綺麗サッパリ消したるさかい。その後数年もすれば、撚れも元に戻るだろうさ。」
「・・・・」
「それとシッキーは頼んだで?俺はもう家に帰らんといかへん」
「・・わかりました」
シエルにシッキーを任せた次の日、授業が終わり放課後。今日は桜ちゃんだけでなく、一成もいます。
「そういえば、噂のご令嬢とはどうなったのだ?」
「ご令嬢?」
「ああ、なんでも商店街のおば様が見たようだ。どこかのお姫様のような金髮美女と会っている姿をな」
「ガチで?商店街のおばはんってどこの?」
「肉屋だ。」
「あいやー。なんという不運」
まぁ、あのときは細かく人の気配に注意するつもりはなかったし。
飯食っていただけで疚しいことしてなかったし。
さすがにキスの瞬間は半径2kmぐらいは、見えないように気を付けたが。
「恐らくだが、まだ知らないのは。晋吾曰く引き篭っているらしい女狐と、鈍感な士郎ぐらいだろう。」
「桜ちゃんも?」
「私はクラスメイトが話しているのを聞いただけですけど、一応は・・・・」
「なんで桜ちゃんのクラスメイトの話題が俺なんよ」
「先輩も学校では有名人ですから」
マジかー。・・・・まぁ、ぶっちゃけどうでもええけどな。
「任せろ。影でうだうだ言われるのは慣れている。」
「そんなのになれるな。」
「ところで先輩!彼女さんとはどこまでいったんですか?」
桜ちゃんがそんなこと聞いてくる。他人の恋愛に興味津々な女の子といった感じだ。
最近の桜ちゃんは普通の女の子っぽくっていい感じです。・・その体からほのかに香る匂いがなければ。
「まぁ、キスはすませたわ」
サラっと答えたら顔を真っ赤にする桜ちゃん。純情やな。・・・・その体からほのかに香る匂いがなければ。
「ほぉ。遠坂が聞いたらなんて言うかな?」
せやからなんで凛ちゃんが出てくるねん
「・・・・もしかして遠坂先輩と付き合ってるんですか?」
「んなわけなか」
「友達以上の関係ではあるな」
「そりゃそうやろ。」
マブやからな。
「そうなんですか。・・・・先輩。」
「おん?」
意を決したかの表情を見せる桜。
「二股はいけないと思います!!」
「なんでやねん」
しばらく桜の説教を受けた晋吾であった。
もちろん、暖簾腕押しどころかなんで怒られているか晋吾は理解していなかったが・・
その夜。いつもの公園に向かう。今回は一番のりらしい。
「あ・・晋吾。」
「ヤッホー。アル。」
「・・ヤッホー。晋吾」
嬉しそうに手を振って近づくアル。
「待った?」
「いや何、今来たところや。」
「ホント?」
「ほんまや。そういえば、この間俺の街に来たときあったやろ?」
「うん。」
「一緒にピクニックしてたの、知り合いに見られたらしくてな。結構噂になっとるらしんや。」
「見られた?」
「おう。」
「・・・・晋吾に食べさて貰った時?」
「おう。」
恥ずかしいのか真っ赤になるアル。純情やのー。
「嫌々った?」
「う・・ううん。少し恥ずかしいだけ。そっ・・それに、し・・晋吾と愛し合ってるのは事実でしょ?」
そんなことを言ってくるアル。こ・・・・これが、萌殺しという奴なのか・・ッ!?
その後。しばらくアルとバカップルやっていたが、一向にシッキーが来ない。
「シッキーどうしたんやろ?」
「サボりかしら?・・私、約束守らないの嫌いなのよね。」
「シッキー貧血持ちっぽいしのー。昨日も倒れたし」
「ホント?」
「おう。ロアに襲われてな。逃げられたけど。」
「・・・・相変わらず晋吾って、さらっと凄いこと言うわね。」
呆れた表情で俺を見るアル。ヤメテッ!そんな顔で俺を見ないでッ!
「とりま、シッキーの家に行くかの。」
「行くの?」
「乗り込みはせんで?様子を聞きに行くだけや。」
「志貴くんおります?」
「・・・・志貴様は体調がすぐれないようなのでお休みになられています。」
シッキーの家に行ったら、いつぞかのメイドさんが出てきた。
「明日も様子見た方がええ感じですか?」
「はい。」
「分かりました。ほな、体調がようなったらこの番号にかけてもらえるように言ってくれますかい?」
そう言って紙に携帯の番号を書き、それを渡す。
「・・・・分かりました。」
「頼んますわ。」
「・・・・貴方がたは、志貴様のご友人ですよね?」
「そうですが?」
「志貴様と仲良くしてあげてください。お願いします。」
「・・メイドさん。良いこと教えてあげますわ」
「なんでしょう?」
「友人はお願いされなくても、仲良くするもんですぜ?」
「・・・・ありがとうございます。」
そう言って、メイドさんは笑顔を浮かべながら礼をするのであった。
「・・・・晋吾じゃないみたい。敬語使っちゃたりして。」
「アホ、礼儀ぐらい弁えるわ。さーてこの後どうすっかのぉ?」
「?死者退治するんじゃないの?」
「そんなの俺がやるんや。もう終わったのとおなじやろ。それより、明日のことや」
「明日?」
「今日で粗方狩ったら明日暇になるしの、シッキー居ないし。・・・・デートでもするか?」
軽いノリでそんなことをほざいたら
「え?・・・・でッ、デッ、デート!?」
「何をそんなに驚いてるんや。」
急に落ち着きがなくなるアル。
「あの、その、晋吾が好きになってから、その、何度も想像したとか、そういうんじゃなくて、やってみたいとか、その・・」
ああ。俺のバカ。勢いに任せてばかりで
「スマン、アル。」
「ふぇ??」
「俺がアホやった。・・明日、絶対デートするわ。」
学校?サボるに決まってるやろがァアアアアア!!
そして次の日。
「お・・・・お待たせ。」
「おはようアル。」
「なんだか晋吾。いつもと違う感じ・・・・」
「そうかの?」
実際、いつもと違い服は選んできたし(いつもは適当なTシャツとGパン)
ワックスとやらも挑戦してみた。ツンツン頭は嫌いなのでしないが
ちなみに補導される心配はない。
例の如く初対面の人には中々気づいてもらえないし、アルの魔眼使えば一発だしな。
「アルもいつもと違う感じがするの」
「そう?」
「おう。いつも以上に綺麗や」
「・・・・バカ」
そんなこんなで映画を見に行くことにした。なんでか?デートと言えばこれだろ?つまり偏見である。
「そう言えば、俺。この世界では映画館始めてやな。」
「そうなの?」
「おう。俺、DVD派やからの」
「ふーん。じゃ私と一緒ね?」
チケットを受け取ると嬉しそうにクルクル回りながら歩くアル。
「映画館自体は始めてやないから俺の勝ちや。」
「むー!ずるい!!」
ぽかぽかと叩かれながら始まるのを待つ。もちろんポップコーンとコーラの準備は完璧だ。
せっかくアルと来たからと言ってラブロマンスに挑戦してみたが、主演俳優が微妙過ぎる。
少し萎えた気分で出てきたが、アルは面白かったようだ。
「面白かったよね。暗くなってさ。あっ!もちろん内容も良かったよ?」
「内容はまあまあやけど、残念ながら俳優が微妙や」
「そうなの?」
「デンゼル・ワシントン、ジュード・ロウ、エドワード・ノートン等と比べたら月とすっぽんや。演技力がダンチよ。今度アルん家で見せてやるさかい」
「ホント!?」
アルは嬉しそうにクルクル回る。どうやら嬉しいと回るのが癖みたいだ。可愛い奴め
「どうしたの?」
「なんでもないさ、姫さん」
「むー。晋吾にそう呼ばれるのなんだかやだ」
「むっ、そうかい。すまんな、アルクェイド」
「・・・・晋吾って、私が名前、ちゃんと呼ばれて喜んでるの分かって言ってるでしょ?」
「さてのぉ?」
そう言って晋吾は、目を瞑り、頭をかくのであった。
電車を乗り継ぎ、次にやってきたのは遊園地。てかネズミの国。なんでか?デートと言えばこれだろ?つまり偏見である。
金?舞弥姉ちゃんにデートしに行くって行ったら軍資金くれた。
ジェットコースター、海賊船、メリーゴーランドと、アルが乗りたいを言ったもの、行きたいと言ったもの、やりたいと言ったものを次々とこなしていくのだが
「・・・・」
「どうしたの?」
「大丈夫だ。問題ない。」
「・・・・大丈夫そうには見えないけど」
「大丈夫だ。問題ない。」
現在並んでいるのはコーヒーカップ。そう、ぐるぐる回るアレである。
昔、息子が大好きでで8回連続で回転地獄に晒された悪夢が蘇る。若干及び腰。
分かってやっているのか、我が息子は回転速度をころころ変えながら回していた。
実は動きと速度が密接な関係にあるコーヒーカップと言う乗り物は、一定の速度で回すより強弱をつけると、不規則な軌道を描くので余計に気持ち悪くなる
いや、今なら、この体ならどんな回転でも大丈夫だ。己の三半規管を信じろ。己の三半規管を信じろ。
「大丈夫だ。問題ない。」
もう一度自分に言い聞かせる。不安げな心配そうな目で見てくるアル。大丈夫だ。問題ない。
自分たちの番になって、アルが動きだす。ゴクリっ、ついに来たか。
「晋吾。止めた方が良かった?」
席に座ってからアルがそんなことを聞いてくる
「いや、俺は過去を打ち破るんや。こんなことで、立ち止まるわけにはいかへん。」
物々しい言い方に不安になるアル。
相変わらずこの乗り物は座ってからの待ち時間がもどかしい。
ビィーというブザーがなる。俺にとっては恐怖の音でしかない。
「アハハッ。晋吾、これおもしろーい」
くるくる回るコーヒーカップを気に入ったのか、嬉しそうに声をかけるアルクェイド。一方晋吾は
「ハハッ。ハッハッハッハッハ!!」
「ふふっ。晋吾も楽しんでるんだ。ソレーッ!」
勢い良くハンドルを回すアルクェイド。そして晋吾だが、気持ちわるくはなかった、三半規管は晋吾の信頼に答えた。
だが、トラウマがそう簡単に消えたわけではなかった。恐怖を誤魔化すかのように笑い声をあげただけであった
その証拠に晋吾の両手は、コーヒーカップの淵を、壊れない程度に強く握っていたのだった。
「晋吾大丈夫?」
「大丈夫だ。問題ない。」
若干疲れた様子の晋吾。少し休憩の意もかねて観覧車に乗り込む。
「ここの乗り物も楽しいわね。どれも同じだと思ってたけど。全然違って」
「まぁ、楽しむための乗り物だからの」
アルは外の風景を楽しみながら言う。
「・・・・ねぇ。どうしてアポストロスになったの?」
「どうして?」
「私、知ってるわ。元々人だった晋吾を、魂の神がアポストロスにしたって」
「どうしてねぇ。俺からしてくれっていったようなもんよ。」
「・・・・」
「俺はの、終わった人生をもう一度くれるって言うんやから。使命をはたさんといかんと思っただけや」
「使命?」
「おう。人をつくることや。機械でな」
そう言うと、アルの、アルクェイドの空気が変わる。ミシリッ。観覧車が悲鳴を上げる。
「あなた本気で言ってるの?人を作るですって?」
「まず、神がどうこう、星がどうこうって話は不要やで?世界を作った神様からのお墨付きや。いい夢やってさ」
「・・・・でも、そんなことをしたら協会や教会が黙っていないわ。」
「正直な話、教会も協会も嫌いや。なんで可能性を制限する?せやから人は成長できへんのや」
アルから睨まれるのは辛い。が、悪いがこれは誰にも譲れない。邪魔はさせない。俺の夢は、邪魔させん
「・・・・はぁー。晋吾は人類を信じてるのね。どこまでもいけると」
「なぜいけないと決めつけるんや?逆に俺はそこが理解できん。」
「私は、人をいらないと決めた星が生んだものだから。なんとも言えないわ。」
両手を広げ、天を仰ぐアル。
「でも、どうしようもないわね」
「何がや?」
「どうしようもないくらい、晋吾のことが好き。星なんかに、邪魔させない。人類は信じられないけど、晋吾を信じてみるわ」
「・・・・アル。」
「私も夢、かな?できたみたい。星に人を、認めさせるの。晋吾が正しかったって。可能性は無限大だって。そしたら、人間を律する存在の真祖はいらなくなる。私は自由だわ。」
「アルクェイド」
「晋吾の夢が私の夢。なんだかそれってすごくロマンチックね」
花のような笑顔を見せるアルクェイド。なんだが眩しくて晋吾は目を閉じた。
後書き
実は派閥抗争が勃発していた教会。
シエルさんはアポストロス派。というよりも直属の上司的存在のナルバレックがアポストロス派。
が、実際問題晋吾とって得は何もない。ちなみにアポストロスと対立しているのはもちろん例のあの人。簡単に言うと、父、子、聖霊か父、使徒、聖霊かのどっちかって話。これ以上深くは話せないよッ><
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