もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
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10,5話 続・お悩み相談室拡大版
前書き
久しぶりに新しいマンガ買った。その名も「かくりよものがたり」。
まだ単行本2巻までしか出てないけど絵が綺麗で好きです。さすがフジリュー。
それはそうとお気に入りが900に届きました。このサイト、多分原作によって評価に対するお気に入り率にばらつきがあるっぽい。
その部屋に漂う緊張感に心臓の鼓動が加速する。
こういった場を設けてもらうのは初めてだったので緊張もあったが今では多少慣れている。むしろ活躍の場を与えられた嬉しさこそ胸の高鳴りの原因だった。手元の原稿・・・よし。尺もしっかり確認した。
機材をチェックしていたすずかちゃんの指示で自分の近くにあるボタンやランプ、スイッチレバーを確認した。
「マイクテスト出来てる?」
「あー、あめんぼあかいなあいうえお・・・おっけ!」
「スイッチの入れ忘れは無い?」
「敢えて言うなら放送をまだ全校に流してない、かな?」
「じゃ、準備は良いね?放送五秒前!四・・・三・・・二・・・」
アリサちゃんのカウントダウンが始まると同時に一度深呼吸をした私はマイクと向かい合った。
始まる。休憩挟んでも30分近くの長丁場になる、私達の舞台が―――
きーんこーんかーんこ~ん・・・きーんこーんかーんこ~ん
『世の中いろんな悩みだらけ!そんな悩みを拾って読んでアドバイスしちゃう『鳳のお悩み相談室』のご時間がやってまいりました!さて、週一と言うペースで行ってきた相談室ですが今日は何と皆様のご声援に応えて拡張版!普段は1人しか呼ばないゲストも2人に増量!先生方の許可を頂いて校内外から様々なご質問を頂いております!!司会はいつも何所でもあなたの斜め後ろに、鳳苗と!』
『最近親の七光りキャラが定着しすぎた所為か近所の子供に『札束ビンタやって!』って頼まれてリアクションに困ったアリサ・バニングスよ』
『この前観光で行った麻帆良学園で八重歯が可愛い金髪の女の子と友達になった月村すずかです。今回もよろしくお願いします!』
『『よろしく~!』』
今日も始まったなぁ、と昼食をする学び舎の生徒達が耳を傾ける。
彼女―――苗が転入してきて暫く経ってから唐突に始まったこの相談室は、昼休みの時間を借りて校内の投票箱に入れられた相談シートを基に苗が解決策を提案し、残りの二人がそれについて駄弁ると言った形式を取っている。
これがなかなか評判で、放送部もこれを推奨しているのだ。なお、ゲストは基本的になのは、アリサ、すすかの3人がローテーションでやっている。
相談その1:
『さて、最初のご相談です!ペンネーム”トイレットペーパー”さんからのメッセージ・・・
「放送いつも楽しみに聞いています。
今回の相談なのですが、最近ご近所のとある一軒家に急に人が増えました。しかも増えたのは何故か外国人の女性ばかり。ついこの前まで足の悪い女の子一人しかいなかったのに、最近は3,4人にまで増えてます。道端で会った時は普通に挨拶するのですが、一体なぜ突然現れて住み着いているのかが気になってしょうがないです。
さりとてそれを直接聞く勇気までは出ません。どうしたらいいでしょうか。その家に何故か頻繁に出入りしている苗さん答えてください。そしてあわよくばあのピンクポニテグラマラスビューティーを紹介してください」
・・・さ、次行こうか!』
『コラコラ、サラッと流そうとしてんじゃないわよ。アンタそんな露骨に面倒くさそうな顔止めなさい』
『これって個人情報だよね?それなら放送で言えるわけないし、下心しか見えないし・・・どうしようか苗ちゃん?』
『次のごそうだ~ん!』
『・・・残念ながらトイレットペーパーさんのメッセージは苗ちゃんの心の何かしらの琴線に触れてしまったようですので愛のシュレッダー行きに決定しましたー』
『愛があるだけ有り難いと思いなさい。あとペンネームをもう少しましなのにしなさい』
相談その2:
『ペンネーム”クマ吉”さんからのメッセージ・・・
「ウオー!苗ー!好きだー!その綺麗な黒髪クンカクンカさせてくれーー!!」
・・・死ねばいいのに』
『露骨に気持ち悪いの来たわね。これ、誰よ?』
『あ、この筆跡見たことある。うちのクラスの大十字君じゃ・・・』
『はーい河川敷で拾ったえっちな魔導書でも読んでてくださーい!ほら次いくよー!』
『それ貸してすずか。あたしがシュレッダーにかけとくわ』
『というわけで大十字君の悪趣味なラブレターも愛のシュレッダー行きでーす』
相談その3:
『ペンネーム”バリバリ最強№1”さんからー・・・
「最近学校内で校内禁煙の意見が強くなっていて肩身が狭いです。この前なんか自販機の近くにある禁煙スペースで煙草をふかしていたらよそ学校の小学生に脛を蹴られました。私が悪いんでしょうか?」
・・・アンタが悪い!』
『即答ね・・・根拠はあるのかしら?』
『臭い!』
『一言で斬っちゃったよ・・・えー、タバコは麻薬に匹敵する中毒性を持ち、有害物質を多分に含むとっても健康に悪いものです。お金もかかるしとっても臭いからやめることを心掛け・・・っていうかうちの学校で喫煙してる教師って小林先生だけですよね?やめましょうよ』
『そーよコバセン。特に夏はちょっとヤバい臭いしてるから』
『・・・では一通り先生の名誉を汚した所で次行ってみよー!』
『基本的に発想が下衆いわね、苗は』
『いや私たち人のこと言えないから・・・』
相談その4:
『ペンネーム”たい焼きの神様”・・・次ー!!』
『いやせめて読み上げなさいよ!』
『いや、だってこれ読むの?』
『卑猥なことが書いてある場合を除いて全部読むって自分で決めてたよね?』
『ううー・・・ええい、読むよ!読みますとも!!
「この前、ずっと喧嘩してた友達に命を救われました。嫌われてるかもってずっと思ってたけど、身体を張って助けてくれました。病院に運ばれて目が覚めた時にはその友達は一足先に家に帰っていて、その後何度も何度もお礼を言おうと思ってたんですが言えないままこの日を迎えました。苗ちゃん、いつものたい焼き屋の前で待てば会えますか?会ってお礼を言わせてください」
・・・もう、そんなの直接言いに来ればいいじゃん!あゆあゆの馬鹿ぁー!!』
『ぷぷ、照れてる照れてる♪』
『苗ちゃん顔真赤だよ?ふふっ・・・可愛い♪』
『おのれ二人ともここぞとばかりにぃぃ~・・・!』
相談その5:
『はい次行くよ次!まったくもう・・・ペンネーム”スペースノア級四番艦メガネ”さんから・・・
「弟が可愛すぎて最近胸が苦しくなります。唯でさえ妹も可愛いのにこれで二人一緒に遊んでるのを見ると鼻から愛が垂れてきそうです。でも弟の事を狙っている女の子がいて、私はその女の子から弟を守る義務があるような気がします。そこでふと思ったのですが、弟と私は血が繋がっていません。と言う事は私と弟がくっつけばすべてが丸く収まる気がします。この名案、どう思いますか?」
・・・これは小学生に答えさせる内容じゃないでしょ・・・』
『それだけアンタに信頼があるって事じゃない?』
『でも自分で名案って言っている時点でもう心は決まってるんじゃ・・・?』
『っつーか自分の家族に欲情とか現実にあり得る訳?』
『えっと・・・分かんないけど、再婚相手の子供に親が手を出すって言うのはあるらしいね』
『うわ、なんか話がドロドロしてきたわね。苗!これ長引かせると脱線するから纏めちゃって!』
『えー・・・愛にはいろんな形があっていいと個人的には思うけど、相手の弟さんの意志を尊重しない選択だけは止めた方がいいと思うな。時には身を引くのも愛ってよく言うし。・・・あとこれ無いとは思うけど実は”お兄さん”なんてことないよね?』
『確かに性別は書いてないけどそれは無いと思うよ。字体もまるっこいし便箋のデザインもそれっぽい』
『いや、でもソッチ系の可能性が無きにしも非ずじゃない?』
『えっ・・・!?』
『・・・・・・弟さんの意志を尊重してくださーい!何卒お願いしまーす!!』
相談その6:
『今日は結構消化速いねー!さって次いきまーす!ペンネーム”タツノコ”さんから・・・
「最近母の友達的なポジションの女性にセクハラを受けています。向こうはこちらが恥ずかしがっているのを分かってこちらの反応を面白がっており、一人の男として正直止めてほしいです。向こうの言い訳曰くこちらに甘えてほしいとのことですが、生憎そういう時期は遠い昔に過ぎ去りました。どうにかあの阿呆にこちらの言い分を分からせてやる方法をご教授ください!」
・・・いたいけな小学生にイタズラですか。いけませんねぇ』
『小学生より上の年齢だったらもっとイケナイ感じになるわねぇ』
『ふ、2人ともなんでちょっと楽しそうなの?』
『そういうすずかも~?』
『ちょっと顔が赤く~?』
『なってないから!』
『ん~・・・方法はいろいろかな。ドストレートに直訴、無視して怒りをアピール、家出で怒りをアピール、母親に助けてもらう、生贄をバリアにする、逆にこっちから強引に責め立てる、そのままちょめちょめな関係になる・・・』
『最後のは駄目だからね!?これ全校放送してるのに何考えてるの本当に!?』
『まぁまぁ座りなさいよ。顔真赤になってるけど何想像してたの?』
『そそそ想像なんてしてないもん!!』
『・・・まぁこんな沢山の人が聞いている場でこういう相談をしてればそれ自体が”こっちは本気だぞ”っていう牽制にもなるから、保護者さん達の井戸端会議力で抑制することは出来るかもね!』
相談その7:
『んん?そろそろ終了の時間かな?いやー6つも答えたの初めてじゃないかな?』
『言われてみればそーね?普段なら多くて5通止まりなのに』
『これじゃ次の人が最後ってことでいいかな?』
『『いいともー!』』
『えーそれでは・・・ペンネーム”お前の血は黄色”さんから・・・
「数日前、親がお話してるのをこっそり盗み聞きしてしまったのですが、もしかしたから私は将来、とても遠い・・・友達と連絡も取れなくなるほど遠い場所へ引っ越さなければならないかもしれません。多分、中学校を卒業したころにはそこへ行くことになると思います。私の周りには面白くて楽しい人たちでいっぱいですが、彼等とも別れなければいけない日が来ると思うとどうしても心が沈んでしまいます。かといって引っ越しは私の家の複雑な事情があるので取りやめには出来ないし、私自身必要なことだと理解できてます。引っ越しまでの間、私はどうするべきなのでしょうか。後ろ髪をひかれないために皆と距離を取るべきなのでしょうか?私には分かりません。」
・・・ほうほう、なかなか深刻な相談だね。先ずは二人の意見を聞こうか!』
『私なら距離は取らない。隠し事もしない。そして私が居なくなってもみんなが忘れられないような思い出をたくさん作ってアルバムにしまうかな』
『私は・・・避けちゃうと思う。仲良くしてると別れが辛くなるっていうのはあると思うし・・・悲しませるくらいなら距離を取るよ』
『うーん二人とも対極の意見だね。私個人としてはアリサちゃんの考えの方が好きだけど、すずかちゃんの意見も結構真理だと思うんだよねー』
『・・・でも』
『ん?』
『でも、やっぱり友達が突然いなくなったりしたら悲しいと思うな。今のこの人にだって友達はいると思うし、何にも言わずに行っちゃったらそれはそれで傷つくよ』
『そだね。今までの信頼がまるで嘘だったみたいに勝手に行っちゃったら、自分とはその程度の関係だったのか・・・って思っちゃうね。嘘つかれたって思われるかも』
『友情の形の表し方って奴かしら?私は自分に嘘付けないからそう言うのは分かんないわ』
『この問題に明確な答えはないね。でもそ-だなぁ・・・うちの学校はエスカレーター式だからそう言うのは無いけど、普通の学校だと中学や高校で進路が違って別れたり、大学やら就職やらで本当にバラバラになっちゃうこともあると思うの』
『そういうもんなの?』
『そうみたいだよ?お姉ちゃんもそんなこと言ってたし』
『みんな子供のままではいられなくなる時が来る。そういう時にも思い出して会いたいって思えるのは大切なことだと思う。それに・・・連絡取れない程遠いってあるけど、死後の世界でもない限り手紙くらいは送る方法があるもんだよ?離れてても繋がれる方法を先に模索するのはどーだろう?』
『・・・と言う訳で、本日の相談は終了です!あとは放送部がチョイスした音楽をお楽しみください!』
『えー本日流す曲はミヅキ菜々さんの”エターナルブレイゾン”です!・・・ってあれ?これって・・・』
『うわっ!サヤエンドウ正明のカヴァーVerじゃない!暑苦しいわよ―これは・・・!』
『みなさ~ん!当相談室は問題を解決はしませんが、解決に到るきっかけを作ることは常に行ってます!身近な相談から深刻な悩みまでどしどしご応募ください!では、また来週~!』
『次のゲストは天然ツインテールのなのはよ~』
『あとあんまり変な相談はシュレッダー行きだからね~』
『『『さようならー!!』』』
来週はどんな相談が聞けるのだろうか?それは相談した人次第だ。
後書き
登場するペンネームとか相談内容とかは深く考えてません。
また、この作品内に登場する人物名、楽曲名は全てフィクションです。
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