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ヘタリア大帝国

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TURN130 プリンセスその六

「キングコアの動きを、頭に直接聞いて」
「後はコア全体に及ぶ学習能力を使ったのね」
「港に行ってシャトルを操ったわ」
 これもコアの学習能力から来るものだ、港のこともシャトルを動かすことも全てだ。
 そのうえでヴァージニアに行った、そしてだったのだ。
「あの人を止めたわ。もう悪いことをさせたくなかったから」
「その老夫婦が君に善悪を教えたんだな」
 ロンメルはこのことを察した、プリンセスの話から。
「そうなんだな」
「ええ」
 その通りだとだ、プリンセスも答えた。
「孤児院ではただそこにいるだけで」
「そうしたことは教わらなかったのか」
「私は。いるだけだったから」
 孤児院にだ、それでだったというのだ。
「全く」
「そしてキングコアには」
 このことはもう言うまでもなかった、彼程の凶悪犯が人の道なぞは。
「そういうことね」
「それで私は夫婦に。機械の身体でも受け入れてもらって」
「それでだったのね」
「そう、育ててもらって」 
 そこで知ったというのだ。
「一ヶ月の短い間だったけれど」
「その老夫婦が救ったのね」
 南雲はここまで聞いて感慨を込めて呟いた。
「あんたも、あいつも世界も」
「そうなるわ」
「けれど何であいつを止めようと思ったんだい?」
 南雲はプリンセスにこのことを問うた。
「それはどうしてなんだい?」
「そのことね」
「ああ、それはどうしてなんだい?」
「彼は確かに悪いことをしてきた」
 このことは否定しなかった、プリンセスも。
「けれど一緒にいた。だから」
「それでかい」
「友達だったから」
 そうだったことがわかったからだというのだ、老夫婦との生活の中で。
「だから」
「止めたんだね」
「そうでしたか」
「そう」
 その通りだとだ、プリンセスは南雲と小澤に答える。
「それで一緒だったの」
「成程ね、わかったよ」
「だからヴァージニアの中に」
「もう彼は」
 キングコア、彼はというと。
「一生起きることがないから。私も」
「眠るか」
「今から」
 そうするとだ、柴神にも答える。実際にその機械の身体は徐々にショートが激しくなり言葉もたどたどしくなってきている。
 その中でだ、プリンセスは枢軸軍の将兵達に言うのだ。
「さようなら」
「もう起きることのない様にな」
 東郷がその彼女に話す。
「安らかにな」
「有り難う」
 顔にも言葉にも表情はない、だが。
 プリンセスは東郷に礼を言った、そしてだった。
 目を閉じそのまま動かなくなった、こうしてプリンセスはキングコアと共に永遠の眠りについたのであった。
 プリンセスはすぐに墓場に運ばれた、そしてその中に埋葬された。埋葬されたのは身体ではなく脳だった。
 ドロシーはこのことについてだ、こう言うのだった。
「身体は機械だったから」
「そのまま埋葬してもだな」
「そう、永遠にそのままだから」
 だからだとだ、東郷はドロシーに話す。 
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