ヘタリア大帝国
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TURN130 プリンセスその五
その彼女がだ、一同に自分達のことを話すのだった。
「まず私は」
「名前は何というのだ?」
「プリンセス」
その右目を虚ろにさせているがそれでも平賀に答えた。
「本当の名前はわからないわ」
「そうか」
「親はいないわ」
孤児だったというのだ。
「気付いたら孤児院にいてそこで育てられていたわ」
「そこでプリンセスと名付けられたのか」
「シスターに」
そうだったというのだ。
「そして」
「そしてか」
「私は孤児院を出たその日に目の前で爆発を見たわ」
「爆発?」
「リンカーン、イレブンナインの仕事の現場だったの」
その時の爆発だったというのだ。
「彼が宝石店を狙って店員をマシンガンで皆殺しにして貴金属を持てるだけ奪って最後に店を爆弾で破壊したの」
「その時の爆発か」
「そう」
今にも落ちそうな首を頷かせて答える。
「そうしてその時に逃げる彼と正面から会って」
「殺されなかったな、よく」
その話を聞いてこう言ったダグラスだった。
「そこで」
「彼は私の目を見て言ったわ」
「何て言ったの?」
今度はコアイが問う。
「あいつは」
「私には心がない、人形の様と」
孤児院で常に一人だった、それで心を閉ざしてしまったのだ。
「それで私なら自分のパートナーになれると言って」
「それでなの」
「そう、私をその場で連れて行って」
そしてだというのだ。
「一緒に暮らして仕事をする様になったの」
「じゃああんたもかよ」
田中はプリンセスを睨んで問うた。
「殺人や強盗をしていたのかよ」
「私は囮、子供を見れば誰も安心するから」
彼女をまず見せてだというのだ。
「そこで彼は後ろから行って仕事をしていたの」
「じゃああんたは」
「囮」
人形と言ってもいい、見せるそれだけに過ぎなかったというのだ。
「そして彼の身の回りの世話をしていたわ」
「それだけかよ」
「夜はいつも離れて寝ていて」
愛人ではなかったというのだ。
「そうしていたわ」
「それでか」
「ええ」
田中に応える形でさらに話していく。
「私は彼といつも一緒にいて」
「捕まったんだな」
「共犯ということで、彼は死刑判決を受けて」
その犯した数々の凶悪犯罪を考えれば当然のことだ、しかし自分では何もしていないことがわかった彼女は共犯といえど。
「私は終身刑になって」
「刑務所にいたんだな」
「そのままずっといる予定だったけれど」
ここでだ、ドクツに攫われ機械の身体にされたというのだ。
「ドクツでコアになって」
「どうやってヴァージニアに入ったの?」
このことはクリオネが問うた。
「それは」
「私はコアになった直後に施設から脱走したの」
このことも誰もが知っている。
「そしてそこから一旦街に出てそこで親切な老夫婦に出会って」
「それでお世話になったのね」
「そう、そして」
それにだというのだ。
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