万華鏡
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第五十四話 音楽喫茶その六
「制服に野球帽、半被はいいからね」
「メガホンもですね」
「その格好でのバンドはいいですね」
「ええ、いいわよ」
それが特にだというのだ。
「どんどんいきなさいね」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
こうした話をしてだった、五人は球場に行く様な格好で演奏をすることにした。そうしてなのだった。
五人はその格好で演奏もはじめた、その中で。
六甲おろしを演奏し歌ってみてだ、琴乃はこう言った。
「ううん、六甲おろしはね」
「普通に演奏してもね」
「歌ってもいけるわね」
「ええ、いいわね」
里香と景子にもこう答える。
「この曲は」
「六甲おろしはやっぱり違うよな」
美優もドラムの席から言う、丁度喫茶店の様式を作っている部室の中央にバンドの場がセットされているのだ。五人はそこに入っているのだ。
そのドラムの席でだ、美優は言うのだ。
「普通にバンドでやってもいいんだよな」
「球場やカラオケでもいいしね」
琴乃は美優にも応えて言う。
「いい曲よね」
「何時でも何処でも歌える曲だな」
「そうよね」
「他の野球の曲はどうだろうな」
ここでこうも言う美優だった。
「ドラゴンズとかは」
「そっちも演奏してみる?」
琴乃は美優の言葉にこう返した。
「今から」
「ああ、じゃあ他のチームの曲もな」
「やってみよう」
こうして六甲おろし以外の曲、他のチームの曲も演奏して歌ってみることにした、そうして実際にやってみると。
「いいわね」
「そうよね」
「どのチームの曲もね」
「いい感じよね」
「やっぱり巨人の歌だけは論外としてさ」
禍々しいこの世にあってはならない曲だ、それで美優は最初からこの曲はないとしてそのうえで語るのだった。
「野球の応援歌っていいよな」
「うん、その中でも特にね」
琴乃もここで言う。
「やっぱり阪神よね」
「六甲おろしはダントツだよな」
「名曲よね」
「そもそもそうなんだよな」
いい曲だとだ、美優も笑顔で応える。
「だからバンドで歌ってもいいんだよ」
「そうよね、じゃあね」
「楽しくやるか」
「そうね」
こうした話をしてだ、そしてだった。
五人はこれからはじまる自分達の演奏を楽しみにしていた。しかしそれには順番がありとりあえずはだった。
店のウェイトレスの役をしていた、その五人に店長を務める顧問の先生が備えられたカウンターのところから言って来る。
「順番が来るまではね」
「こうしてですね」
「ウェイトレスですね」
「これもお店の仕事よ」
だから務めてくれというのだ。
「いいわね」
「わかりました、それじゃあ」
「今は」
「順番は必ず来るからね」
待っていればというのだ。
「安心していいわ」
「まずは二年生の人達からなんですね」
五人共自分達のステージ衣装、制服の上に阪神の半被と阪神帽の格好である。そのステージ衣装でウェイトレスをしているのだ。
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