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久遠の神話

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第七十八話 選挙の結果その二

「大躍進政策も文化大革命も昔の話だよ」
「歴史でのことですね」
「少なくとも私は餓えは知らないよ」
 スペンサーに笑ってこう話す。
「それでもね」
「食材がなくなるとですか」
「いやね、広州にいた時ね」
 彼が生まれ育ったそこではというのだ。
「お店で海老が人気なったんだよ。、海老料理が」
「その海老がですか」
「なくなってね、それでもお客さんがそれを頼んでくるんだよ」
「それは大変でしたね」
「本当にね、大変だったよ」
 笑ってその頃のことを話すのだった。
「他のお店に回してもらったり市場に急いで買いに行ってね」
「そうしたことがあってですか」
「食材がないことは嫌なんだよ」
 彼にとっては貴重な経験だったというのだ、そのことをスペンサーに話したのである。そしてこのことから話すのだった。
「国際政治、特に戦争になったら」
「それは私もわかりますね」
「そうだよね、大尉さんだからね」
「軍人は戦争になればまず行かねばなりません」
 何処に行くかはもう言うまでもない。
「ですから」
「戦争は避けるべきだね」
「ないに限ります」
 スペンサーにとってもだ、そうだというのだ。
「まことに」
「そうだね、戦争は誰でも嫌だよ」
「かのロナルド=レーガンも実際は慎重でした」
 レーガンは口ではかなり強硬派だった、しかし実際のところは軍を動かすことについては極めて慎重だったのである。
「それは出来るだけ避けるべきです」
「涜武だね」
 王はここでこの言葉を出した。
「だからだね」
「それはかえって国益を損ねますので」
 スペンサーも王が言ったその言葉を理解していた、その言葉を知っていて理解するだけの教養があるということか。
「ですから」
「そうだよね、迷惑だよ」
「それは貴方にとってもですね」
「相当な変人でもない限り自分から戦争なんてね」
 求めないというのだ。
「そういうものだからね」
「戦争が起こって欲しくないが故に」
「内戦もね」
 対外戦争だけではないのが戦争だ、国内で起こる場合もあるのだ。そしてその内戦も絶対にだというのだ。
「本当にないに越したことはないよ」
「全くです、ではいよいよ」
「選挙、共和党は惨敗だね」
 王から見てもだった、このことは。
「相当な負け方になるね」
「そのことは間違いないですね」
「はい、なります」
 必ずだというのだ、そしてだった。
 スペンサーは注文した豚の角煮、中華料理での定番の一つを食べていた、それの美味しさも楽しみながら言うのである。
「民主党ですね」
「私がアメリカにいてもね」
「民主党に投票されますか」
「差別されそうだからね」
「いや、それは共和党でも」
 白人保守層が多いその政党でもだというのだ。
「あまり」
「いないかな」
「クー=クラックス=クランも最早殆ど力がありません」
 まだ存在しているにしてもだというのだ。
「まだ人種問題があることは事実ですが」
「それでもなんだね」
「共和党でもそうした差別はしません」
「公では、だね」
「裏でもそこまではありません」
 かつての、公民権運動までの様なことはないというのだ。 
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