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魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~

作者:白鳥才牙
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『第十六話』~出会い~

 拓斗side

 忍さんに(一部)を暴露し終わり三人のところに戻ったらなのはの姿が見えなかった。


「バニングス、月村、なのはは何処に行ったんだ?」

「なのは?」

「なのはちゃんなら、どこかに行っちゃったユーノ君を追いかけていったよ?」


 そんな筈はない。ユーノは使い魔だ、逃げるなんてことはしないだろう。
 つまり………


「(ソウル)」

[(ビンゴ。ジュエルシードだ)]


 ジュエルシードが発動したのでユーノを先に行かせ、それを理由に自分も抜け出したということか。
 なら俺のすることは、


「俺も行くか」

「追いかけるの?」


 見守ることだ。
 俺も行くと言った俺を不思議そうにバニングスが見るが。


「なのはは運動音痴だしな。気になるから念のためだな」

「確かにね。なのはとユーノを連れてさっさと戻ってきなさいよ」

「いってらっしゃい」


 すずかとアリサの言葉に軽く手を振りながら奥に向かう。
 しかしこうも樹が多いと裏庭というよりは小規模の森だな。


「ソウル」

[あいよ、このまま進んで行け]


 ソウルのナビに従い森の中を進んで行った。





 なのはside


 ユーノ君の後を追いながら私はジュエルシードの反応がした所へ向かう。だけど、近づいている内についにジュエルシードが発動してしまったようだった。


「発動したの!?」

「ここだと人目が・・・! 結界を作らなきゃ」

「結界?」

「最初に会った同じ空間。魔法効果が生じている空間と通常空間の時間信号をズラすもの。僕が少しは・・・得意な魔法」


 ユーノ君が結界の説明をしてくれた後、目を瞑り魔力を集中している。やがて魔法陣が浮かび上がり、周りの景色が変わっていく。


「あまり、広い空間は切り取れないけど、この家の付近くらいなら・・なんとか」


 魔法が完成し、景色も変わり初めて魔法使いになった日と同じ景色に変わった。思わず、周りを見ていたらふいにジュエルシードの光が強くなり、私はそっちに視線を移した・・・


「にゃあああああ」


 えっと・・・大きな猫さん? ジュエルシードに取り憑かれた生き物は、みんな凶暴になっていたけれど、この子は一体・・・。ユーノ君も驚いているようだ。


「た、多分、あの猫の大きくなりたいって願いが正しく叶えられたんじゃないかな?」


 説明をしてくれたのはいいけど、確証はないみたい。願いが叶ったって事はこの猫は無害なのかな?


「だけど、このままじゃ危険だから元に戻さないと」

「そうだね。願いは正しく叶ったけどこの状態のままじゃ、すずかちゃんのお家もさすがに困っちゃうだろうし」


 猫さんの様子をうかがっても、とくに暴れる事はなく、大きくなった鈴を鳴らしながら辺りを見回している。


「襲ってくる様子もなさそうだし、ささっと封印しちゃおう」


 首にかけてあるレイジングハートを取り、起動をしようとしたその時、突如背後から、金色の光が飛んできて大きな猫さんに命中した。


「なおぉぉぉ!!」

「きゃっ!」


 猫さんが倒れ、苦しそうな鳴き声を出している。私は金色の光が飛んできた方向に目を向けると、そこには・・・


「・・・・・」


 電柱の上に金色の髪をツインテールにして、黒いマントをはためかせた女の子が立っていた。






 sideout





 フェイトside


 偶然、近くにジュエルシードが発動した気配を感じたのでそちらに向かう。しばらくして、緑色の封時結界が眼に映った。


「誰かが発動させたのかな?」


 私は少し不安になった。ジュエルシードの暴走体と戦ったあの夜。迂闊な攻撃を仕掛けた所為で逆に手痛い反撃を食らい、死に掛けたのだ。絶対に油断しないように攻撃魔法の準備をする。今度は全力で暴走体を攻撃する。あの時は死神が助けてくれたけど、今回もそうとは限らない。


「………死神」


 あの時会った男の子の事を思い出す。私と同い年くらいなのに、私なんかよりもずっと力強い後姿。あの日以来、気が付けばずっと彼のことばかり考えていた。
 そのことについてアルフに何度もからかわれてしまったけど………


「………いけない、真面目にやらなきゃ」


 頭を振って、気持ちを戦闘に切り替える。気を抜けばやられるのはこちらの方。しっかりしなければ。そう思い封時結界の中に入る。
 視界に入ったのは暴走体と思われる巨大化した猫。………可愛い。でも、油断できない。


「フォトンランサー、ファイア」


 私は躊躇無く攻撃するが………


「あっ!!」


 攻撃魔法を撃った瞬間、暴走体の猫に近寄ろうとする白い服の女の子が居た。


(危ない、あのままじゃ当たる!!)


 非殺傷にはしてあるけど、今のはかなり本気で撃った。当たったら怪我をする可能性だってある。


「なおぉぉぉ!!」

「きゃっ!」


けれど、幸い白い服の子には当たらず、暴走体にだけ命中する。ほっと胸を撫で下ろして私は近くの電柱の上に降りたった………





 フェイトside





 なのはside

「あれは、魔法の光? そんな!・・」

「レイジングハート、お願い!」

[『スタンバイレディ セットアップ』]


 レイジングハートの光に包まれ、バリアジャケットを身に着けた私は、飛行魔法を使って空へ飛び、猫さんを庇う。さっきの女の子がまた、無数の光を放ってきた。さっきよりも数は多いけど守らなくちゃ!


[『ワイド エリア プロテクション』]


 レイジングハートを前に突き出し、防御する。これで、少しは一安心と思ったけど・・


「魔導師?」


 そう呟いた後、防御が届かない猫さんの足を狙われ崩された。危うく、猫さんの下敷きになる所だったけどなんとか空へと上がる。先ほどの女の子は、木の枝に移りじっとこちらを見ている。


「同系の魔導師、ロストロギアの探索者か」


 話しかけてくれるけど、何の事か分からない。ロストロギア? ジュエルシードの事?


「間違いない、僕と同じ世界の住人。そしてこの子・・・ジュエルシードの正体を?」

「バルディッシュと同型のインテリジェントデバイス」

「バル・・・ディッシュ?」


 あの子が持っている杖の名前かな?


「ロストロギア、ジュエルシード」


 女の子の杖が金色の刃を持つ鎌に変化する。なんで、戦うの? なんで、そんな悲しい眼をしてるの?


「申し訳ないけど、頂いていきます」


 あの子がそう呟いた後、私の方へ斬りかかりにきたけどなんとかそれを避ける。間髪入れずに鎌を大きく振りかざすと、刃がこちらに高速で飛んでくる。


「くっ…!」


 咄嗟の反応が出来ずレイジングハートが守ってくれたおかげで、怪我はしなくてすんだ。


(ちょっと不味いかも)


 私は、煙が広がっている中、更に空へ上がり煙から姿を現す。だけど、あの子はそれを読んでいたのか、すぐ近くまで来ていて鎌を振りかざす。なんとか、それをレイジングハートで受け止め、堪える。


「なんで……なんで急に、こんな!?」

「答えても、多分……意味はない」


 私の言葉に、耳を傾けてくれず、距離を取られる。地面に降り、木の枝に戻ったあの子にレイジングハートを向ける。あの子も杖をこちらに向けている。きっと私と同い年くらいの女の子。綺麗な瞳と綺麗な髪、だけど・・・あの子の瞳は悲しんでる。それが気になって私は集中できなかった。


「にゃぁぁ………」

「えっ?」

「…ごめんね」

 突然の猫さんの鳴き声に気を取られ視線を向けた直後、あの子が謝りながら一瞬で私の頭上まで移動したかと思うと再び杖を鎌に変えて振り下ろしてきた。


「ッ…!」


 思わず目をつむって瞬間に備えた。


――ギィィィィンッ!!


「……え?」


 何かがぶつかり合うような音に目を開けると……。


「直にこうなるとは思ってたが……早くないか?」


 女の子の鎌を鎌で止める死神さんがいた。





 sideout





 拓斗side

「直にこうなるとは思ってたが……早くないか?」


 しかもギリギリだ。まぁ、間に合ってよかった。


[(これからも初めてのところは俺に聞けな?)]

「(だな。ギリでも間に合ったし)」


 士郎の時は病院に着くのにかなりの時間がかかったし。


「し……死神?」

「久しぶりだな、フェイトだな。高町もだが」


 とりあえずフェイトに挨拶をしておく。因みに最初からフェイトを名前で呼んでいるのはテスタロッサと呼ぶより名前で呼んだ方が言いやすいからだ。


「ふぇ!? あ、死神さんその子知ってるの!?」

「あぁ。それよりも、あれか」


 俺は猫を見る。これが捨て猫ならまだ手荒なまねも許されるだろうが、あいにくあの猫は月村の家の猫だ。さらにまだ子供。となると、


「フェレット。ジュエルシードは魔力を帯びているだよな?」

「え、はい。そのとおりです。でもなんで?」

「確認までだ」
 

 なら後は簡単だな。


「ソウル、どっちが有効だ?」

[クロスだな]

「にゃ!しゃっしゃべった!?」

「インテリジェントデバイスだったんだ………」


 突然しゃべったソウルになのはは驚いた。
 フェイトもなのは程ではないが驚いている。
 そういえばなのはの前では声出してなかったな。フェイトはソウル自体見るのは初めてじゃないか?


「とりあえずクロスだな」


 俺はソウルの刃に魔力を纏わせる。以前の『闇黒狩り』と同じように漆黒の魔力刃が覆った。
 だがこれは『闇黒狩り』ではない。
 ソウルを横に構え巨大猫に向かって飛び出し、
 ソウルを





「『魔装狩り』」





 振りかぶった。





 巨大猫からすこし距離をとり見つめる。
 やがて巨大猫の形が崩れ、残ったのは元に戻った子猫とジュエルシードだった。
 これで大丈夫だな。





 フェイトside

「すごい……」


 私は死神の一振りに見惚れてしまった。魔法もすごかったけど鎌の扱いもすごいんだ……
 私も鎌を使うので尊敬してしまう。
 
 そのあと、死神は猫の元へ向かった。


「全く、もう物かまわず触れるんじゃないぞ」



 そういって頭を少し強めに撫でながら、こっちに向かってきていた。猫もいやそうじゃない。むしろ好意的だ。



(う、うらやましいな///)


 すると、あの白い魔法使いの子が私の前までやって来た。


「あの、わたし高町なのは。あなたの名前は?」

「フェイト。フェイト・テスタロッサ」


 なのはっていうんだ。明るい子だな。私とは正反対の子。


「すまないが・・そろそろこれを封印してくれないか」


 そう言って死神が私達の前にジュエルシードを差し出す・・・って!


「「あ! ふ、封印!」」


 ほぼ同時にあの、白い子と封印をしたが、若干私が早かったのかな? バルディッシュに吸い込まれていった。


「お疲れ」

「死神!どうして彼女に封印させたんだ!?あれは危険なものなんだ!!」


 なのはだっけ? その子のそばにいるフェレットがしゃべった。


「フェレット。彼女はそんなよこしまな思いをしていない」

「なんでそんなことがいいきれるの!?」

「簡単だ。俺みたいに汚れた目をしていないし。とてもきれいな魂を持っているいる。それだけで十分信用に値する理由になる」

「え?」


 た、魂?なんのこと?



「どういう意味?」


 フェレットもおんなじことを思っていたみたい。


「いずれわかるよ」


 そういって彼は私の頭に手を置いて撫でてくる。やっぱり落ちつくな。猫があんなに気持ちよさそうな顔をするのも納得できる。
 撫でられながらも私は死神のフードの中を覗き込む。
 フードによる影のせいで顔がうっすらとしか見えないけど、漆黒の瞳だけはよく見えた。
  すると、私が死神を見ているのに気付いたのか彼がこっちに向けて笑いかけてきた。


「ん?(ニコ)」


――ドキッ!!


 え!? な、なに!?

 顔が熱いし、心臓のドキドキが早いし、頭が真っ白になるし、な、なにこれ!?!?


「大丈夫かフェイト? 顔が赤いぞ。風邪か?」

「わ、わかんない! そ、そうかもしれないから私帰るね!!」

「あ、あぁ。無理はするなよ」

「う、うん! じゃあまたね!」

「あ! ちょっとまって! お話を聞かせて!」

「なんでジュエルシードを集めているのか聞かせて!」


 後ろで女の子とフェレットが何か言っているが聞こえない。私はそれだけ気が動転してそれどころじゃない!


「まだドキドキいってる・・・・どうしちゃったんだろ私///」





 拓斗side

 フェイトはなのはとユーノが止めるのも無視してすごい勢いで飛んでいった。
 なんかリンゴみたいに真っ赤だったが本当に風邪だったのか?


[……さすが拓斗。相変わらず鈍感だな]

「鈍感?なにが?」

[はぁ……もういいよ]


 本当になんなんだ?


[それより、もうそろそろ戻らないか?アイツ等はフェイトに気をとられてるし、戻るなら今だぞ]

「そうだな」


 ソウルの言葉に促され、俺はその場を後にした。











「あ!死神がいない!」

「にゃ!?ホントだ!!」


 ソウルを解除してなのは達のいる場所に戻るとレイジングハートを解除したなのはとユーノがそう話し合っていた。
 ってか今気づいたのか?もう15分程経ったぞ?


「おい、なのは」

「にゃ!拓斗君!?」

「ユーノは見つかったみたいだな」

「う、うん」

「なら戻るぞ」

「あ、待って!」


 そう言ってなのははユーノを肩に乗せついてきた。










 戻る途中に偶然ファリンを見つけた。何故か膝を抱えてる…


「あの~どうしたんですか?」


 恐る恐るなのはが聞いてみた。


「ま、迷子になっちゃいましたぁ~」


 泣きながら俺にしがみ付いてきた………
 そんなファリンの頭を優しく撫でてやる。


「…………仕えてる屋敷で迷子になるか?」

「にゃははははは…………」

 なのはは苦笑いするしかなかった。
 タイミングよく月村の所に戻ると言ったら一気に笑顔になって後に付いて行った。良いのかそれで。










 ~屋敷に戻ってしばらく~

「そういえば拓斗君、なんでなのはちゃんだけ名前で呼んでるの?」

「ん?」

「そうよ! なんでなのはだけなのよ!? 私も名前で呼びなさいよ!!」

「は!?」

「あ、私も!!」

「ちょ、ちょっと」

「「名前で呼びなさい(呼んで)!!」」

「あ~……はい」










 というわけでバニングスと月村も名前で呼ぶことになった。
 まぁ、慣れれば大丈夫だろう。
 慣れる………よな? 
 

 
後書き
~あとがき雑談会~

拓「今回はなのはとフェイトが出会う会だな」

作「しかし拓斗はフラグを建ててましたね~」

忍「拓斗くんモテまくりね~」

拓「からかわないでください忍さん!」

忍「初心だね~」

作「ですな~」

拓「いやちがうだろ!」

忍「で?誰選ぶの?」

拓「何の話ですか!?」

忍「恋人の話に決まってるでしょ!」

拓「まだ早いですよ!」

忍「あら?まだってことはいつかはなるんだ~」

拓「なっ!?違います!!」

忍「ならどういう意味かな~?」

拓「それは……」

忍「ほら、どうなの?」

拓「う……」






作「あ~あ、すごいことになってるよ……忍さ~ん。そろそろ予告をお願いします」

忍「はいは~い♪





  ある日、拓斗は学校の帰りにジュエルシードを拾う

  そのときフェイトがデバイスを構えジュエルシードを渡すように言ってきた

  大人しく渡そうとしたとき、橙色の髪をした女性が襲いかかる

  次回 魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~『アルフとの戦闘』」





作「それでは次回に」

作・忍「「トリガー・オン!!(♪)」」





 ブツブツブツブツブツブツブツ……………

 あ、アハハ……やりすぎちゃった?

 ……いったい何したんですか?





 氷河さん、ご指摘&感想ありがとうございます<(_ _)>
 これからもさらに面白くなるように精進しながらも更新頑張ります! 
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