魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~
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『十五話』~月村家の秘密 拓斗の秘密~
拓斗side
JFC翠屋のキーパーが持っていたジェルシードの暴走を未然に防いでから数日。色々あった………
今日も高町がジュエルシードを封印するところを見届け、今はYシャツに着替え、ベットの上に座っている。
「ソウル、今日でジュエルシードはどれぐらい集まった?」
俺は机の上にいるソウルに聞いてみた。
[あー……今回ので6個だったかな?]
6個……あと15個か。
「だとしたらもうそろそろかな?」
[何が?]
「敵だよ、ジュエルシード集める敵」
いくら何でもスムーズ過ぎるしな、それにジュエルシードは危険な反面、願望をかなえる特性がある。これを利用する奴らなんていくらでもいる。
そんなことをするとは思わないがテスタロッサもジュエルシードを集めていたしな。
高町とテスタロッサが出会って戦うということもジュエルシード集めているなら時間の問題だろう。
「高町は実戦経験というものがほぼ皆無だ」
[確かにな。何度もジュエルシードの暴走体と戦ったとはいえたったの三度、暴走体と人間とはかなり違いがある、理性もある、作戦をたてる知能もある……それに、才能が秀でたものを持っても、技術や経験が浅ければ負ける。どうするんだよ?もう助けないって言っちまったし]
「それを今考えているだろうが……」
ホント、どうしたものかな………
「悪党かどうかは魂を見て判断できる」
[後、来ても放って置くって言う手もある……]
「………その理由は?」
[敵が頑張って全部回収した物を横から奪い取る]
「おい待て!!」
何考えてんだコイツ!?
[手段のひとつだろうが]
「そりゃそうだがな………」
ジリリリリ!
「誰だこんな時間に」
突然固定電話が鳴った。因みに家の固定電話は黒電話だ。古い?そこがいいんじゃないか。
「はい、月詠です。」
「こんばんは、拓斗君の友達で高町なのはです」
電話の相手は高町だった。現在の時間は午後10時を過ぎている。何か急ぎの用だろうか。
「俺だ。どうした?」
「あっ拓斗君。明日暇?」
「ん?何かあるのか?」
「実は前に話したすずかちゃんの家でのお茶会が明日なんだけど…どう?」
そういえばそんな話しあったな、明日か………
「大丈夫だ」
「じゃあ一緒に行こう!」
「……ん、了解」
「おやすみなの~」
そう言ってなのはは電話を切った。
「助けることは例外がなければしないつもりだし、できるだけ一緒にいたほうがいいしな」
そう呟いて就寝。
翌日、家を出て翠屋に向かう。月村の家への行き方を知らないので、まずは高町と合流して行く事にした。
翠屋に着くと、なぜか恭也さんも翠屋の前に立っていた。
「おはよう高m「なのは!」……なのは」
「おはよう拓斗君」
「おはようございます恭也さん」
「ああ、おはよう」
「恭也さんもお茶会ですか?」
「ん? ・・・ああ、俺は別の用事でな」
「別の用事?」
「お兄ちゃんは恋人さんに会いに行くの♪」
「恋人?すずかの家にいるのか?」
あっ……話が聞こえていたのか恭也の顔が赤い。
「ほら!もう行くぞ!!」
「わかりました」
「私たちについて来てね」
そう言って歩いて行く高m「なのは!」……なのはについて行く。
というか地の文に突っ込むなよ高m「なのはだってば!!」………なのは。
「拓斗君、着いたよ?」
なのはについて歩くこと数十分、目の前には豪邸が存在した。
「………大きいな」
[でかいな………俺たちの別荘といい勝負だな]
そう思っているとなのはがチャイムを鳴らし中からメイドが出てきた。何とも落ち着きのある人だ。
「恭也様、なのは様、それと・・・月詠拓斗様。いらっしゃいませ」
「あぁ。お招きに預かったよ」
「こんにちは~」
「なのは? この人は?」
「あ、そうか。拓斗君初めて会うんだっけ?」
「失礼いたしました。私の名前はノエル。この月村家でメイド長を務めさせてもらっています。月詠様のことはすずかお嬢様からきいています」
「そうですか。あと、俺の事は拓斗でいいですよ」
「承知いたしました拓斗様。それでは皆様、こちらへどうぞ」
ノエルさんの案内の下、豪邸の中を移動する。外も大きかったが中もそうとう広かった。
ノエルに案内された場所にいたのは月村と、バニングス。それと見知らぬ月村に似た女性が一人いた。
「あ。なのはちゃん、拓斗君、恭也さんいらっしゃい」
「すずかちゃん」
「いらっしゃい。なのはちゃん、恭也さん。それと、月詠拓斗様」
「拓斗で結構ですよ。」
「では拓斗様」
「来たのね。拓斗」
「せっかく誘われたんだし、前から行くって言ってたからな」
「まぁ当然よね。私達が誘ったんだから」
「ふふ、アリサちゃんったら」
言葉とは裏腹になぜか嬉しそうなバニングス。月村も若干声が弾んでいる。
俺は空いている席に座りながら奥で紅茶を飲む女性とその隣にいる女性へと目を向ける。
「(ソウル、どうだ?)」
この二人を見ながらソウルに問いかける。
[(ビンゴだ。微量だが魔力か? 人とは違う何かを感じるな)]
「(そうか)初めてお会いしますよね? 月詠拓斗です」
ソウルからの念話を聞きながら女性に挨拶をする。
すると女性は立ち上がり、俺の近くまで来て視線を俺のところまで下げて、
「はじめまして。私の名前は月村忍よ。すずかの姉」
「ファリンと申します。すずかお嬢様の専属メイドを務めさせもらっています」
「恭也いらっしゃい。あと、すずか。拓斗君を借りて行っていいかしら?」
「え? う、うん」
「それでは三人の御茶はそちらにお持ちしましょう。何がよろしいですか?」
「任せるよ」
「なのはお嬢様と拓斗様は」
「わたしも、お任せで」
「俺も」
「かしこまりました」
そして俺は忍さんと恭也さんについて行き、ある一室に案内された。
そしてそれぞれが席に座る。忍さんが口にした質問に俺は少し驚いた。
「下手な探り合いはしないわ。あなたは何者?」
それはそうだ。いきなり何者と聞かれても、なぁ?というより……
「あの……恭也さんから聞いてないんですか?」
「へ?」
あぁ……やっぱり聞いてないのか………
「「恭也(さん)?」」
「……すまない、忘れていた」
恭也さんを忍さんと二人で見ると恭也さんは素直に謝ってくれた。
「別にいいけど……拓斗君、結局あなたは何者なの?」
「何者と言われても、月詠拓斗。それ以上でも以下でもないですよ」
「あなたからは人の気と異なるものを感じた。だが「忍さんとも違う。ですか?」ッ!?」
すると、恭也さんが立ち上がり、俺の胸ぐらをつかんだ。それでも俺はかまわず喋り続ける。
「おそらくですが、忍さん、いえ。月村家そのものが夜の一族。吸血鬼と呼ばれる存在。違いますか?」
時が止まった感じがした。だが、忍さんが、
「えぇ、そうよ。私たちは夜の一族。吸血鬼の類に入るわ」
「忍・・・・」
「いいわ。それと恭也、彼を放したら?」
「あぁ、そうだな」
そういって恭也さんは胸ぐらから手を離した。
「いきなり胸ぐらをつかんですまない」
「いえ、そうなって当然ですから。想い人ならば尚更です。」
俺がそう言うと二人はほんのり顔を赤くし、照れくさそうに笑った。
「(なんか、いいねぇ)」
[(なんだよ、羨ましいのか?)]
「(ちげぇよ、微笑ましいってことだよ)」
「それで、日光や血などに関しては大丈夫なんですか?」
「日光においては問題ないわ。それに血においても人から吸ったとしても少し貧血になる程度よ。間違ってもホラー映画みたいに血を吸われた人が全員吸血鬼になったりはしないわよ」
なるほど。知識で知っているものとは違う。
血を吸われた人が吸血鬼にならないことは当たり前だ、吸血鬼になるには方法が違うのだから。
それを知識になく、吸血鬼の弱点と言われているものに完全に耐性があるということは混血、ハーフといったところか。
「さて、私たちの秘密は話したわ。次はあなたの番よ」
「知らない。では通してもらえないようですね」
「ええ」
「恭也さんが説明を………」
「本人が話した方がいいだろう」
はぁ、死神の存在を話すのってめんどくさいんだよな。
「簡単に言うと俺は死神という者ですね」
「シニガミ?シニガミってあの死神でいいのよね?」
「ご想像しているのであっているかと」
「はぁ、父さんにも聞いたが何ともにわかには信じられないな」
「まぁ、そうでしょうね。死神をするのは人間です。一般人との違いは魔法の有無くらいでしょうか」
「魔法!?」
「こういうのですね」
そういって俺は手のひらを出し、
「『火よ灯れ』」
-ボッ
そう言うと、私の手の上に10㎝程の炎が現れた。
因みにソウルプロテクトはすでに解除してある。
「『変換 水球』」
-コポッ
そう言うと炎は水に、
「こう言ったものです。理解いただけたでしょうか?」
「「・・・・・」」
沈黙する二人。これは肯定として受け取ってもいいだろう。
「はぁ、父さんの言ったことは真実だったということか」
「恭也さん?それは今まで俺のこと信用してなかったということですか?」
「いや、信用はしてたよ。だが死神だというのが信じにくかったんだ」
そりゃそうだ。自分の常識を外れている存在などそう簡単に理解できるはずがない。
今まで普通に接してきたことを褒めるべきだろう。
「話を戻すわね」
忍さんが真剣な顔で話を中断させる。
まだ聞きたいことがあるのだろう。たとえば……
「死神はあなた一人というわけないわよね。どのくらいの規模いるの?いえ、この海鳴にあなた以外に何人いるの?」
存在規模。
やはりそうか。彼女は俺を警戒をしている。
俺が月村家に害をもたらす可能性を考えているのだろう。
それもいらぬ心配だと思うが。
「かつては約400人程いて一つの村で生活していましたが今現在、知る限りでは俺一人。海鳴にいるのも俺一人です。」
忍さんは戸惑った顔をした。存在する死神が子供である俺一人だと言えばこの反応は当然か。
「あなた一人?他の死神は?」
「死にました」
「なっ!どうして!?」
「今よりも幼い時にある集団に村が襲われて全員」
「その時、あなたは?」
「いましたよ。ですが死神の長に助けられて、今ここにいます」
「すずかやなのはちゃん、アリサちゃんはこのことは?」
「知りません。むしろ一生知らないでおいてほしいですね」
「どうしてだ?」
「アイツ等には重すぎる。三人には純粋でいてほしいんです。俺がいる場所はあまりにも汚れすぎている。出来ればアイツ等にはあのまま笑顔でいてほしいんです。そのためなら俺はどんな罪でも汚れでも背負っていくし、どんな罰も受ける。俺が再び幸せをつかめたのもあの三人のおかげですから」
「・・・・・」
忍side
「アイツ等には重すぎる。三人には純粋でいてほしいんです。俺がいる場所はあまりにも汚れすぎている。出来ればアイツ等にはあのまま笑顔でいてほしいんです。そのためなら俺はどんな罪でも汚れでも背負っていくし、どんな罰も受ける。俺が再び幸せをつかめたのもあの三人のおかげですから」
「・・・・・」
そういって拓斗君はすずかたちがいる場所を見降ろしていた。
彼の目はどこまでも悲しく、どこまでも澄んでいた。なんでこの子が、なんでそんなひどい目遭わなきゃいけないの!彼が何をしたっていうのよ!?
たった9歳の子供が耐えられるモノじゃない。でも彼は今ここにいる。どれだけ重いものを背負い、どれだけ辛い思いを、悲しい思いをしてきたのだろう。
「俺はただ守りたいだけなんだろうな。幸せを教えてくれたアイツ等という居場所を」
彼がそうつぶやいたのがこの静かな部屋ではよく響く。
「あら。その中にはすずかも入っているのかしら?」
そう、彼に聞いた。聞いてしまった。これ以上彼に重い罪を背負わせたくないのに聞かずには居られなかった。
「当然、どんなことがあってもあの三人は護り抜きますよ、絶対に。俺の魂に誓って」
そういってこちらをみる彼の黒い瞳には白い六芒星が光っていた。
後書き
今回は案が出てこなかったためあとがき雑談会はできません。
申し訳ございません<(_ _)>
次回予告だけはさせていただきます。
月村家で突然ジュエルシードが発動した
発動地へ向かうなのはとユーノ
そこでなのははフェイトに出会う
ぶつかる二人
拓斗のとる行動は?
次回 魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~『出会い』
では、次回に
トリガー・オン!!
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