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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第6章:女の決意・男の勘違い
  第16話:久しぶりの船旅と初めての旅

 
前書き
リュカ家の団結力を見よ!
グランバニアに居る時は、何時もこんな感じらしい…… 

 
(船上)
ビアンカSIDE

初めて乗るエピカリス・ネネ号……
一緒に冒険をしているトルネコさんの持ち船らしい。
大金をかけ一からオーダーメイドで仕上げたのだろう……凄く立派で過ごしやすい船だ。

そんな大船の広い甲板の真ん中に、大きな樽を背もたれにしてリュカが座り込んでます。
どうやらそこが彼の定位置みたいで、ウルフ君やシン君達……そして水夫の方々も気にしないで作業をしております。

相変わらず自ら率先して戦う事はないみたいね。
凄く強いのに勿体ないわねぇ……
まぁ好戦的なリュカなんて格好良くないし、私も彼の膝に座って優雅な船旅を満喫できるから、問題ないんだけどね。
でも、別の事で問題が……

「アイツ大丈夫か?」
「船旅は初めてなのかしらねぇ?」
甲板の縁にもたれ掛かり、海へ向かい嘔吐している元緑甲冑……ロザリーに背中をさすられ情けない姿を晒してる。
こんな事になったのもマリーの一言が原因だ。

ロザリーヒルで『この塔の隠し部屋を見つけるのに、お父さんが壁を壊しちゃったから、ルビー目当てで酷い事をする連中から守る為に、連れて行くのが最善だと思います。ロザリーちゃんは私達で保護するべきです!』と、ロザリー同行を提案してきたのだ。
ロザリーが一緒にくると言う事は、彼女を守る役目のピサロナイトも一緒に付いてくると言う事で、私の心配事が一つ増える事を意味する。

勿論最初はピサロナイトから猛反対をされました。
でも『じゃあ置き手紙をしておけば良いんだよ! そうすればロザリーちゃんの彼氏も、驚きはするけど安心して彼女を探せる。手紙の内容には、間違いなく生きている事だけを明記すれば良いんだからね』と、女(特に美女)に甘い男が追加提案してきた。

そしてリュカが書き上げた置き手紙の内容は……
『お前の彼女は預かった。無事に返してほしければ、何か面白い芸を見せろ! 今度会う時までに考えておけよ。面白くなかったら目の前でエッチな事しちゃうゾ♥』だ。

あのムッツリ根暗がこれを読んだら、大激怒するに違いない。
勿論、みんなが手紙の内容に反対したのだが、私とウルフ君は賛成をし、みんなを説得しました。
私としては根暗が激怒する所を見たかったからなんだけど……

『まぁ聞け、みんな。一見するとふざけた内容の手紙だが、この内容だとロザリーさんが生きている事を明確に伝える事が出来る』
『何処がですかウルフさん!?』

『聞けってシン君……“面白くなかったら目の前でエッチな事しちゃうゾ♥”って最後に書いたが、これはデスピサロを更に苦しめる為の言葉になる。既にロザリーさんを殺してたら、デスピサロに再会した時にヤツを苦しめる事が出来ない。だから生きている事の証明になるんだ!』
凄い。私はそこまで深く読み込まなかったけど……

『更に言えば、こんだけ馬鹿にした内容の手紙を受け取ったらどう思う? 頭にきて世界征服の事なんかより、ロザリー探し(俺達殺し)を優先させるんじゃないかな? これって時間稼ぎとしては最良だよね。流石はリュカさんだよ……咄嗟に思い付いた内容なのに、実に理に適ってる!』

言われてみればその通りだわ。
私も感心してリュカの顔を見詰めます。
当のリュカは、優しく微笑んで皆さんを落ち着かせました。

でも……
『そこまで考えてなかったなぁ……』
と、小さな声での呟きは私の耳に入ってきました。
うん。だからリュカ大好き!

まぁ、そんな訳でロザリーも私達と一緒に旅を開始しました。
そうなれば彼女のボディーガードも一緒に付いてくるって訳ですよ。
しかも本名発覚。“ピサロナイト”こと“ラピス”だそうです。

「何で付いてきたのかしら、あの()(ラピス)」
「僕に惚れたかな?」
守るべきロザリーに介護され、甲板の縁で船酔いを爆発させてる美女に、良からぬ思いを募らせる夫が心配だわ。

「部屋で寝てれば良いのに……」
「そういう訳にもいかないのよ。船酔いしないロザリーは、甲板で外の世界を堪能したいのだろうから、彼女を放っておいてラピスだけ寝てられないじゃない」

「でもさ……ロザリーを守る為に付いてきたのなら、縁にもたれ掛かりゲロゲロしてるのは危険じゃね? 敵味方の付かない海のモンスターに襲われちゃうよ、あそこじゃ」
なるほどねぇ……と思ってたら、案の定モンスターが登場!
海のモンスター『プレシオドン』です。

ヘロヘロ(ゲロゲロ?)状態のラピスと、非戦闘員のロザリーに狙いを付けて、大きな身体で攻撃してきました。
慌てて助けようと一瞬身構えたのだけど、私を抱いてるリュカが無反応だったので、問題ないのだと思い身体から力を抜きます。

その瞬間に、私の死角からシン君が凄い勢いで突撃してきました!
ロザリーヒルで買いそろえた『ドラゴンキラー』と言う武器を駆使し、プレキオドンを一撃で倒します。
竜族のモンスターにドラゴンキラーという武器が良かったのかな?

「あらあら……結構強いのね、あの子」
「そりゃそうだよ。勇者なんだし、君とティミーの先祖なんだよ」
そっか……ティミーもシン君も勇者なのよね。リュカが強すぎて忘れちゃうわ。
何か二人とも情けないとこがあるし……

無事助けた美女二人に軽く言葉をかけ、シン君は軽い足取りでこちらの方へやってくる。
「ビアンカさん……お怪我はありませんか? 突然の敵襲でしたし、どこかぶつけちゃったとかありませんか?」

「ねぇよ、僕が抱きしめてるんだから。お前、なに人妻に手を出そうと思ってんだ!?」
「貴方と一緒にしないで下さい。俺は旅の仲間の事を心配し、怪我がないか聞いただけです。下心なんて存在しません……」

「じゃぁビアンカの事じゃなく、あっちで転んでるトルネコを心配してやれよ。敵襲の衝撃で、あの巨体を床に打ち付けたトルネコの方に行けよ!」
「彼は良いんです。天然素材のクッションを体中に巻いてるから、ちょっとの衝撃では何ともないですからね!」

気になる異性へのアプローチ方法が息子に似ているご先祖様ね。
何だか言い訳もソックリな気がする……
あぁ……この血筋が色濃く出てるから、私の息子はアレなのか!

「イヤ~ン、シンちゃんってば禁断の恋? お父さん、シンちゃんてば女々しいのよ! 今は居ない彼女が恋しくて、見た目が似てる女性に女々しく恋慕をしちゃってるのよ」
楽しそうなマリーの言葉に、ウルフ君とリューノ・リューラが集まってくる。

「何“女々しい”のか!?」
「ええ“女々しい”のよ!」
それを合図に私はリュカの上から降り、少し離れた所で見守る体勢をとる。

横に置いてあったギターを手に、立ち上がったリュカが歌い出したのは『女々しくて』……
リュカの前世で流行ってた曲らしいけど、グランバニアに居た頃は『女々しい』のキーワードを発する度に歌ってた。

マリーも知ってたらしく、リュカの歌に合わせて踊ってたのだけど、何時の間にか周囲の者も踊りを憶え、一緒に参加する様になってたわ。
だから今も、マリーを中心にウルフ君・リューノ・リューラが揃って踊りを踊ってる。

勿論シン君は顰め面だ。
その他にも、ライアン君やブライさんは困り顔だけど、その他の人達は概ね楽しそうにしている。
どうやら殆どこっち側の人間らしい(笑)

驚いたのは、見た目こっち側の人間のマーニャちゃんが、妹さんのミネアちゃんの楽しそうな表情に困っている事だ。
あと……ラピスの介護をしているロザリーが、離れた所で楽しそうにリズムを踏んでる事だ。
あの()もこっち側の人種みたいだ。

「俺の事を馬鹿にして満足しましたか?」
一曲歌いきったリュカに、馬鹿にされたと思ってる(あながち間違いではない)シン君が、不機嫌そのもので話しかける。

「ん~……全然満足しないねぇ。よし、もう一曲歌っちゃおう!」
そう言って更に歌い出すリュカ。
この曲は確か『レッツゴーKY』と言ってたわね。

グランバニアに居た時、自室で私とシてたのだけど、緊急事態だと言って入ってきたオジロンに対して歌ってた歌だ。
勿論もう慣れてる身内は気にもせず話を続けるのだけど……

「いい加減にしろコノヤロウ! 人の事を馬鹿にしやがって……」
まだまだ慣れないシン君には、神経を逆なでするだけみたい。
リュカはリュカで歌うのを止めないし、ムード的には険悪ね。

そんな雰囲気を打ち払ってくれたのは、意外にもモンスターだった。
リュカの歌に誘われて現れた『ダゴン』・『バラクーダ』・『マリンワーム』の3匹。
色んな意味で臨戦態勢だったシン君を筆頭に、ライアン君・アリーナちゃん・クリフト君が即座に反応。

チームワークは良い様だ。
リュカより先にウルフ君がパーティーに合流してたらしいから、彼が鍛え上げたんだと推測できる。
彼もリュカに憧れを持ってなければ完璧な美少年なのに……

リュカは特殊なのだ。良い意味でも悪い意味でも……
それなのに憧れるから似た様な道を辿る事になる。
女関係は真面だと思ってたのに、よりによってリューノに手を出すとは……

いや……マリーがもっと真面な娘だったら、根が真面目(ヘタレ)なウルフ君もリューノに手を出さなかったかもしれないわね。
あれ(マリー)は疲れるのよ……可愛いしスタイルも良いから、彼氏としては鼻が高いだろうけど、リュカ以上に常識が欠落してるから……
ああ……母親である私の所為か!

凄い状況のパーティーよね(笑)
シン君には悪いけど、私このパーティーが楽しいわ。

ビアンカSIDE END



 
 

 
後書き
“ピサロナイト”の名前が“ラピス”なのには理由があります。
解った人は矢文で投稿してね。
ヒントはピエールとソックリって事!
※何か余所の作品のキャラから名前を拝借した訳ではありません。 
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