DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第6章:女の決意・男の勘違い
第17話:酔いどれナイト
前書き
みんな~お待たせ~!
リュカさんの時間だよぉ~!
愛しの奥さんと再会できて、毎日ハッスルハッスルなリュカさんだけど、
今日はどんなハッスルを見せてくれるのか……楽しみだねぇ-!
(船上)
ロザリーSIDE
こんなに楽しい経験は初めてだ。
リュカさんが塔の隠し通路を暴いてしまった為、私の身を案じてくれたマリーさんの一言で、私は初めて船旅をしています。
いいえ、初めてなのは船旅だけじゃありません。
旅をする事自体が初めてだし、こんなに大勢と一緒に生活するのだって初めて!
みんなで和気藹々と食事したり会話したり歌ったり……まぁ歌うのはリュカさんだけですけど。
ラピスさんは船旅したことないのですかね?
出港して数十分……普段は甲冑を纏い寡黙に立ち警備している人なのに、突然兜を脱ぎ捨てて船の端へ駆けだし嘔吐してました。
彼女は私を(リュカさん達から)守る為に付いてきたので、私から離れるのは拙いと思います。
だから船の端へ私も行き、鎧を脱がせ介抱する事に……
向こうではリュカさんに抱き締められたビアンカさんが、私達を心配そうに眺めてます。
顔が同じだけで、別人なのは解ってますけど、それでもやっぱり複雑な気分になります。
でもビアンカさんも、私がピサロ様と仲良くしている時は、今の私と同じ気分になってたんだと思います。だから我が儘を言ってはダメですよね。
そんな事を考えていると突然、海の中から竜の様なモンスターが襲ってきました!
私は戦う事なんて出来ません……ラピスさんも戦える状況ではありません。
本当に吃驚してしまいましたが、それも一瞬の事でした。
シン様が凄い勢いでモンスターを倒してくれた為、私もラピスさんも傷一つ負う事なく元気です。
ピサロ様を倒そうとしてただけあって、やっぱりお強いんですね。
このままお二人が戦ったら、例え勝っても大怪我をしてしまうでしょう……
マリーさんの提案が上手くいき、和解する事が出来れば良いのだけど。
「お二人とも大丈夫ですか?」
モンスターを倒し終えたシン様は、優しく私達に声をかけ、そのままビアンカさん達の下へ歩き去ります。
ピサロ様がシン様の彼女さんを殺してしまったと聞き、最初は近付きにくかったのですけど、根は優しい方だと判り安心して付いて行ける様になりました。
ピサロ様も本当は優しい方なんですよ。それが解ってもらえると凄く嬉しいです。
助けられた感謝の意味も込めて、去り行くシン様を眺めていたら、突然リュカさんが立ち上がり歌い出しました!
ウルフさんとマリーさん、それに腹違いの姉妹であるリューノさんとリューラさんまでもが集まり、お父さんの歌に合わせ踊ってます。
最初は何事かと思ったのですが、何だか楽しそうで良いですね。
私も一緒に踊ってみたいですけど、ラピスさんを放っておく訳にもいきません。
ここに居ても皆さんの邪魔になりそうですから、彼女を連れて船室へ戻ろうと思います。
ロザリーSIDE END
(船上)
ラピスSIDE
「ち、違うんですロザリー様! わ、私はデスピサロ様に不純な感情を抱いてはおりません! 心より尊敬しているんです!」
「今その言い訳は拙いと思うよ」
勇者共の船の自室で、私は裸のままロザリー様に言い訳をしている。
私の隣では、同じように裸のリュカが楽しそうに私の言い訳にツッコミを入れてくる。
この状態を作り出したのは、この男の所為なのに……
「凄ぇなリュカさんは……船旅3日目なのに、人間を嫌ってるホビットの女性を口説き落とすなんて……しかも奥さんの目を盗んで(笑)」
「別に私の目を盗んでないわよウルフ君。『船酔いナイトが気になる』と言って、私と一緒に何度もお見舞いに来てたからね……その都度ナンパしてたし」
何なんだこの夫婦は!?
だから人間なんて嫌いなんだ!
それなのにこの男は……
チラリと隣の男を見る。
彼も私を見て微笑みを返してくれる。
くそっ! なんて男だ……デスピサロ様に似て格好いいし優しいし、それにデスピサロ様にはないユーモアがある。
それに初めてなのに凄く良かった……相性が良いと言うヤツか?
いや違う。そういう事ではないぞ!
私は人間が嫌いなんだ。それなのに何で……
「リュカ……もうその娘はいいでしょ。自室に戻るわよ」
「あ……わ、私も戻りますね。ラピスさんはお疲れでしょうから、お部屋でゆっくり休んで下さい。わ、私は全然気にしてませんから!」
冷たい目のビアンカに顎で指示され、裸のまま服を掴み立ち去るリュカ……
私の事を気遣いながらも、動揺しながら自室へ引き返すロザリー様……
それを合図に騒動に集まってきた野次馬共も帰って行く。
裸のまま自室に取り残された私は、枕に顔を埋め自己嫌悪に深く浸る。
リュカの言う通り、あの言い訳は拙かっただろう……
別に今デスピサロ様とシてしまった訳じゃないのだし、あんなこと言わなくても良かったのに。
むしろデスピサロ様への私の気持ちを、ロザリー様に伝えてしまったのと同じ事ではないか!
私はお二人の関係を壊したいと思った事はない……
それでもデスピサロ様に恋心を抱いてしまっただけなのだ。
人間に蔑まれる中、私を拾い剣術を教えてくれたデスピサロ様……
彼が愛するエルフの女性ロザリー様。
お二人とも互いを愛しており必要とされている。
そんな中、恩あるデスピサロ様に私が何をして差し上げられるのか……
その答えがロザリー様をお守りする事なのだ。
なのに……私の不埒な思いをロザリー様に暴露してしまうとは。
ああ……もう合わす顔がない。
ラピスSIDE END
(船上)
ウルフSIDE
「相変わらず良い根性してるよ、あのオッサンは……」
俺はラピスさんの部屋から談話室代わりの食堂へ戻る途次、動揺するロザリーさんの気分を落ち着かせる為に、努めて明るい口調でリュカさんの事を口にする。
「まさか……奥さんが一緒に居るのに、他の女性を口説くなんて思いませんでした。何というか、その……凄い人ですね」
未だに俺もそう思う。
「あの……許してあげて下さいロザリーさん。ラピスさんも悪気があってリュカさんの魔手に落ちた訳じゃないはずですから」
「そ、それは大丈夫です……ただ、あんなに人間を嫌ってたラピスさんが、出会って3日のリュカさんと……その……アレしてた事に驚いてしまって」
相当の驚きだったのだろう。
あの叫び声は耳に張り付き離れない。
最愛の彼氏と、その部下の女の濡れ場を目撃(した様な勘違い)してしまった女の叫び声は……
詳細は聞いてないが、船酔いで休んでいるラピスさんを、優しいロザリーさんは定期的に見舞ってたのだろう。
そんな時にあのアホとの結合を目撃したんだと推測する。
ビアンカさんはロザリーさんと行動を共にしてたのか、俺達が駆けつけた時に現場に居たけど、その他で現場に赴いたのは、俺・シン君・マーニャさん・ミネアさんの4人だけだった。
他の皆は“どうせあの馬鹿が、ラピスさん(あるいはロザリーさん)に手を出したのだろう”と思い、見向きもしなかった。
我々4人も、慌てて赴いた理由は多少異なる。
俺とシン君は大体の事情を理解しつつも、収集させる事を考え動いた……だが美女姉妹は違う。
主に妹さんの方が興味本位で駆けつけ、それを咎める様に良識派の姉が後を追ったのだ。
俺の見る限り、マーニャさんはリュカさんと縁を切りたがっている。
しかしミネアさんはそれを望んでおらず、数居る愛人の一人として肉欲に溺れたいみたいだ。
双子というのは、こうも性格が違ってしまうものなのか?
「あ、私はここで……」
生ける面倒ごと共の事を考えてるとロザリーさんが自室へ引き上げる為、丁寧に挨拶をしてきた。
まだ動揺が収まらず一人で考え事をしたいのだろう……
「俺達はまだ食堂に居ます。何かあったら呼んで下さい……お一人で考えるのも良いですけど、俺達はもう友達ですよ。相談には乗ります。遠慮しないで下さいね」
何かロザリーさんは俺達と距離を置いてる感じがするし、これを機に仲良くなれればと思い、爽やかな口調で言葉をかけた。
「ありがとうございますウルフさん。では……」
そう言って自室の方へ去って行くロザリーさん。
可愛いし、是非とも仲良くなりてーなぁ……
「おい、二代目種馬野郎……また別の女に手を出そうとしてるのか!?」
「はぁ?」
振り向くと食堂の入り口に、仁王立ちのマリーとリューノの姿が。
「何だ人聞きの悪い……二人でも持て余し気味なのに、これ以上人数を増やす訳ないだろう。俺はリュカさんとは違って、そこまで体力はないの!」
ちょっとヒキ気味な目で俺から距離をとるシン君を横目に、マリーとリューノの側へ近付き二人を抱き寄せる。
「ちょっと聞きましたリューノさん。『二代目種馬野郎』って一言は否定しませんでしたわよ。自覚大いにありって事ね」
「えぇマリーさん……これは気を付けないとなりませんね。今まで以上に頑張って、性欲を全て搾り取らないと!」
「おいおい……俺を殺す気か!?」
参ったな……これじゃあおちおち他の女性と会話も出来ないぞ。
ウルフSIDE END
後書き
相変わらず頑張ってるリュカさんでした。
それに引き替えウルフ君は頑張りが足りない様な……
でも他人の女に手を出すと、後々が厄介だゾ!
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