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久遠の神話

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第六十八話 集う女神達その四

「俺にしてもな」
「そこもあの人と同じですね」
「そうだよ、だからあいつとは一度じっくりと話したいとも思ってるさ」
 同じ剣士であり敵同士だがそれでもだというのだ。
「そうな」
「そうですか」
「戦うことになってもな」
 それでもだというのだ。
「前に話しておきたいな」
「家族のことで」
「今俺な、本当に寂しいんだよ」
 中田は少し俯いて述べた。
「一人だからな」
「そうですね、一人は寂しいですね」
「これでも淋しがりなんだよ」
 実際に寂しげな笑みを浮かべて言った言葉だ。
「誰かいつも傍にいてくれないとな」
「駄目ですか」
「とてもな」
 だからだというのだ。
「絶対に何とかするさ」
「では私はその貴方達を」
 中田だけではなかった、他の戦うことを決意している剣士達もだ。
 戦うことを止めようとする、それで言うのだった。
「これが私の戦いですから」
「あんたも神話の頃からそうしてるんだな」
「長い間それは適っていませんが」
 だからこそ戦いが続いているのだ、聡美は長い間そうしてきた。
 しかしそこで気付いたことがあった、今それを中田に言うのだ。
「私も一人ではありませんでした、そして」
「そしてか」
「今から私だけが戦いを止めはしません」
「何か話がわからなくなってきたな」 
 中田は聡美の今の話がわからなくなってきていた、しかしそれでも何かあることを察してこう言ったのだった。
「まあそれでもあんたも色々動いてるんだな」
「戦いを止める為に」
「そうだよな」
「戦いで手に入れる場合も確かにありますが」
 それでもだというのだ。
「この戦いについては」
「無益ですね」
「全くだよな」
 中田もわかっている、それでもだった。
 決意は変わらない、それで言うことは。
「まあ、最後まで生き残るさ」
「そうですか」
「それでだけれどな」
「それでとは」
「あんた酒はワイン派だよな」
 今度は酒の話だった、それを聞くのだ。
「そうだよな」
「はい、ギリシアでは神話の頃からです」
 古代ギリシアではヘレネス、即ちギリシア人は酒はワインだと決められていた。ビールはバルバロイ、野蛮人が飲むものとされてきたのだ。
 だからだ、今もこう言うのだ。
「今日もワインを飲むつもりです」
「赤だよな」
「そうですね、今日はそれです」
 赤ワインだというのだ。
「お客様も来ますし」
「お客さんか」
「お魚ではなくお肉の料理にしますので」
 肉には赤、そういう組合わせだった。
「ですから」
「俺もスパゲティだしな」 
 大好物のそれだからだというのだ。
「ワインは赤だな」
「それにされますね」
「そうするさ」
 こうした話をしてだった、二人は今はスーパーで話をしつつ買い物をした。そしてそれからだった。
 聡美は自分の家に戻った、家はアパートやマンションではなく彼女が今いる八条町の外れにある洋館だ。
 白く三角の屋根に緑の左右対称の庭がある、その洋館の中に入り。
 そうして料理を作りやはり洋風のリビングのテーブル、大きなそれに料理を置いておくとだ。
 家のチャイムが鳴った、そのうえでだった。 
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