久遠の神話
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第六十八話 集う女神達その五
玄関の方に向かい扉を開けた、するとそこには。
二人の美女がいた、一人は豊かなブロンドに黒い瞳の背の高い凛とした美女だ。背が高いのは聡美と同時だが彼女の様に中性的なものや幼さの名残は感じられない。胸は大きく服の上からもその形がはっきりとわかる、前に突き出た胸だ。
大人の女の堂々とした物腰だ、顔立ちは知的な雰囲気であり整った中にも気品がある。見ればその長身は聡美と同じだけだ。
その美女が緑の、オリーブ色のスーツとズボンに身を包んで立っていた。
もう一人は波打つ柔らかいブラウンの髪に青い瞳の少女だ。優しげであどけない少女の顔は童話の世界から出た様な感じだ。背は二人より頭一つ分小さい。
黄色いふわりとしたドレスを着ている、身体つきは幼くすとんとした感じだ。
その二人がだ、聡美の前に来て言うのだ。
「来たわ」
「お招きに応じました」
まずは挨拶からだった。
「ここが貴女の日本での居なのね」
「小さいですが趣のある場所ですね」
「私の趣味に合う場所が少なく」
聡美は二人にこのことは残念な顔で言った。
「それでなのです」
「この居しかなかったのね」
「そうだったのですか」
「ギリシアと日本は違います」
別の国だというのだ。
「ですから家に関してはです」
「こうしたものなので」
「我慢するしかないのですね」
「お金はどうにでもなりましても」
場所、それはだというのだ。
「ここしかなかったのね」
「日本はそこが不便みたいね」
「場所なのですね」
「はい、そうです」
その通りだとだ、聡美も二人に答える。
今は困った顔だ、しかしすぐに顔を明るくさせてこうも言った。
「しかし他のことは」
「場所以外のことは
「いいのですね」
「はい」
その通りだというのだ。
「そのことはご安心下さい」
「そういえばここに来るまでは」
「そうですね」
二人は聡美の言葉を受けて彼女達で顔を見合わせて話した。
「景色は綺麗で」
「技術も素晴らしいです」
「人も穏やかで」
「いい国ですね」
「お料理もいいです」
聡美は微笑んで二人にこのことも話した。
「とても」
「そしてそのお料理をなのね」
「今から食べながら」
「お話しましょう。アテナ姉様もペルセポネーも」
聡美は二人、ブロンドの美女と茶色の髪の美少女をそれぞれ見ながら二人の名を呼んだうえで声をかけた。
「そうしましょう」
「ええ、それではね」
「お邪魔します」
二人も応えてそうしてだった。
聡美の家、洋館に入ってだった。
三人でリビングに来てそこで聡美の作った料理を食べる。トマトとレタス、セロリのサラダにスープ、それとトマトと玉葱で味付けしたオリーブで焼いた鶏肉だった。
それにパンだ、アテナとペルセポネーはそれ等の料理を赤ワインと一緒に口にしてそのうえで聡美に言った。
「ええ、貴女の言う通りね」
「非常に美味しいですね」
二人は日本の食材で作られた聡美の料理に太鼓判を押した。
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