| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

やおよろずっ!!

作者:グラゼロ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

狂った人形編
  愛深き故に命奪う男

 
前書き
タイトル見てこの人だなと思った人
メッセージによろしくです!!
ヒントは世紀末です!! 

 
グッ……痛ぇ、なんだこいつ……? クソっ! ボンボンに育ったせいかめちゃくちゃ痛く感じる……
俺は目だけを右にずらす。あの野郎……俺を少し殴っただけで調子に乗りやがって……そうか、
「クハ、クハハ……そうかそうかぁ……」
相手は口を開かない。ずっと立ちっぱなしでいる。
「久しぶりに感じたんだけどよぉ……これが怒りってもんかぁ、グヘ、グヘヘヘ……」
こいつ……
「痛ぇ、痛えよ……これが痛みか……すこぶる不愉快だなぁおい!!」
コロス!!


狂った人形がまた突っ込んでくる。ナイフを止めて殴ろうとした、その時、
「っ! グアッ!」
左手で殴られる。そしてナイフを差し出してきた。それをよけようとするも腹にかすってしまった。かすり傷とはいえ血がでてくる。そこを手で押さえた。
「クッ……」

「お前も痛みっつーもんを感じたかぁ? すげぇだろぉ? それ、血だぜぇ?」
俺はまた逃げる。しかし学習したのか今度はそれを追って来る。
は、速い……
そう思ったときマッチョから話し掛けられた。
『筋力増加を中断するぞ!』

「!? 何故だ!?」

『俺だってしっぱなしは無理だ! 少し休ませろ!』

「じゃあ、どうすれば……」

『てめぇで何とかしろ!!』

「そんな……」

「なぁにべらべら喋ってんだぁ?」
顔を上げるとそこに狂った人形がいた。
「キヒッ! ほらよォ!!」

「カハッ……!」

「もういっちょぉ!!」

「ウゴォ!!」

「ラストだぁ……キャハハ!!」

「……う、う……」
相手は喧嘩慣れしていないとはいえ連続で殴られるとすごく堪える。
「いやぁ、パンチってのもいいなぁ! 気分がスッキリするぜぇ!!」
喉元にナイフを突きつけられる。
「ま、人間にしては良くやったよ。今楽に殺してやんよ! ギャハハハハァ!!」
クソ、 何か、何かないのか?
今俺は壁に追い詰められている。カバンも遠くにある。……何かいい案は……
そうだ!
「最後に……いいか?」

「あん? 遺言ってやつかぁ!? いいぜぇ!なんでも言ってみろぉ、殺すからよぉ……」

「筋力を最大近くまで上げてくれ。」

「あん? お前何を言って……!」

「オラァァァ!!」
狂った人形のセリフの途中で後ろの壁を思いっきり腕で押した。最大の力で打ち出された俺はもう片方の腕で狂った人形の足を掴む。狂った人形は倒れ込み地面にすごいスピードで引きずられている。
最後は両手で狂った人形を持ち前に自分を守るように出す。そして、
「キギャァ!!!」
狂った人形はものすごいスピードで壁に激突した。
「もういいぞ。元に戻してくれ。」

『ハァ、ハァ、無茶させやがって……』

「すまん、これしか思いつかなかった。でも結果オーライだろ?」

『しかし、無惨だな……』
狂った人形の頭は取れ、左腕がちぎれていた。このザマだったらもう大丈夫だろう。そう思った時だった。
「クカ、クカカカ……」
笑い声が聞こえた。俺はその笑い声で一瞬震えてしまった。
恐る恐る後ろを見ると転がっていた頭が口を動かしていた。
「忘れたのかぁ? おれは狂った人形<マッドドール>だぜぇ……? 頭が取れてもまだ動けるっつーの!」
その横で頭と左腕の取れた人形が立ち上がる。
俺は思わず後ずさってしまった。
こんなになってもまだ立ち続けるのか……
「そんなに会いたいのか?」

「……あ?」

「そんなにその愛する女性とやらに会いたいか?」

「!? て、てめぇにそんなことを言われる筋合いはねぇ!! 」
初めて笑う以外の表情を見た気がした。

「人を殺してまでその人に会いたいのか?」

「黙れぇ!! 黙れ黙れぇ!!」

「その女性は本当にそんなことを願っているのか!?」

「……うるせぇ、黙れよ、」
狂った人形は急にしおらしくなる。
「分かってんだよ、それぐらい……でも、もう自分を止めれない、あいつに会いたくて仕方ねぇ、だから決めた、どんなことをしてもあいつに会うと、でも、お前には関係ないだろぉ!! お前に何がわかる!? 俺の何がわかる!? 苦しみがわかる!?」

「分からねぇよ!! だけどその為に千もの命を奪うのか!? そこまでして帰ったお前を彼女は受け入れてくれるのか!?」

「っ!! なにヒーローじみたこと言ってんだよぉ!! ヒーロー気取ってんならヒーローらしく、かっこよく俺を倒してみろよぉ!!」

「……この、このクソ野郎が!!」
俺と狂った人形、同時に動き出す。
狂った人形が繰り出した右手をグーで返す。当たりどころが良かったのか相手の指からゴキッと鈍い音が聞こえた。
「ク、キギィ…………!」
狂った人形は痛みのせいか甲高い声を出す。
そこにすかさず腹にパンチを入れ胴体をノックアウトさせる。そして頭に歩み寄る。
「すまんな、」

「な、なにが……」

「かっこよく倒そうと思ったがやっぱやめた。」

「グギッ……てめぇ……」

「償いはしっかりするんだな」
そういうと俺は狂った人形の頭をサッカーのシュートの要領で蹴り飛ばす。
「ウゴッ……」
その声が聞こえてから体も動くことはなく笑い声も聞こえることはなかった。しかし、
『せ……い……なぁ……』
そんな声が聞こえたような気がした。もうコイツは大丈夫だろう。
俺はなぜだかそう思いこの場を去った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧