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やおよろずっ!!

作者:グラゼロ
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狂った人形編
  愛深き故に命奪う男は……

 
前書き
狂った人形編、これにて終わりです。
いやー、疲れた!!
書き慣れてないシリアスを書くのは辛いですね
これからもよろしくお願いします!! 

 
俺は必死に痛みに耐えていた。体は離れているのに痛みは感じる。
そこに、
あの男が歩み寄ってきた。
俺に止めを刺そうってかぁ……
男は口を開いた。
「すまんな、」

「な、なにが……」
なぜ俺に謝る。普通ここで悪いのは俺のはずだ。
「かっこよく倒そうと思ったがやっぱやめた。」

「グギッ……てめぇ……」
なんだ、そういう事かよ……最後までおもしれェ奴だ。
「償いはしっかりするんだな。」
そう言って男は足を上げる。その動作がなぜだかゆっくりに見えた。
そして、俺は何かを見た。


「聖奈、好きだ! 結婚しよう!」
俺は自分の家に恋人の聖奈を招きプロポーズをしていた。ハハ、この時の俺必死だな……
そしてそれには泣きながら答えてくれたはずだ。
「○○さん……私、嬉しい……」
ほら見ろぉ、ここまでは幸せだったはずだ。
しかし、
「全員動くな!!」

「よし、あの海上要塞に突っ込むぞ!!」
結婚式を前の旅行で
乗っていた飛行機がジャックされ俺はその巻き添えで死んでしまった。
彼女とは別々の便で行ったため彼女は助かった。
彼女が助かってよかったという思いがあったが、彼女に会いたいという未練がとても大きかった。

目が覚めると変な世界があった。
どこを見ても人形、人形だけの世界だった。
そして俺もやけに人間に似ている人形になっていた。俺はここが死後の世界だと悟りここで生きていくことを決意した。しかし、
俺は気持ち悪かった。
見た目はどう見ても人間、赤い髪、赤い瞳、笑うことしかない表情
俺は一人だった。周りの人形からは人間の形をした化物と言われ蔑まれていた。その上彼女に会いたかった。何かあったら相談に乗ってくれた、守ってくれた、だけどその彼女はもう目の前にはいない。愛する彼女はもう……

その時俺の両手は涙で濡れていた。

ある日のこと俺のもとに男が訪れた。名前はルシファー、日本ではルシフェルと呼ばれている堕天使らしい。
ルシフェルは言った。
「君が再び肉体を取り戻して彼女に会える方法を教えてあげるよ。」
俺はその言葉にひどく反応した。そしてルシフェルについて行くことにした。
その方法とはとても厳しいものだった。人間の命を千奪うこと、
俺は少し否定したがルシフェルは言った。
「大丈夫だ。そいつを殺しても誰も悲しまない。そいつはいなかったことにされるから、誰かの子供だったらその親はそんな子を産んだ覚えがなくなる。誰かの妻ならばその夫はそんな女と結婚した覚えがなくなる。だから安心してくれていい。」
最初はそういう問題なのかと思ったが、することを決意した。

『グアァ……』
俺は初めて人を殺した。そして気がついた。俺は強い。誰も俺を止められない。聖奈に会えるのもそう遠くはないだろう。

その時俺の両手は血でまみれていた

俺は殺し続けた。何人もの人間を殺した。そんな俺に疑問が湧いた。
……なぜ人を殺す必要がある? 彼女に会いたければ会いに行けばいいじゃないか。
改めて思った。俺は汚れすぎた。いつの日か殺すことに快感を覚えてしまっていた。
でもまだ心は汚れていなかった。
俺は自分の両手を見る。

片方が涙で濡れていて、もう片方が血でまみれているように見えた。

そうか……あの時の俺の感覚は間違っていなかったのか……
俺の心はまだ、腐り切っていなかったみたいだ。
俺はしっかり償えるのか、俺が奪った七百余りの命に、残り三百余りに入るかもしれなかった日本人約一億二千万人に、

ハハハ、
何やってたんだろうな、俺ってばよぉ……

その刹那、俺はなにかに飛ばされた。
そして壁に激突する。
「ウゴッ……」
前にあの少年が霞んで見えた。ありがとうよヒーロー。チャンスがあるならもう一度……
「せ……い……なぁ……」
俺は愛する女性の名前を口に出す。
少年は去っていった。
「まさか君が笑う以外の表情をするとはねぇ、」
後ろから声が聞こえる。
そいつの背中の羽にはとても見覚えがあった。
「ルシ……フェル……」

「そう、その顔だよ。怒りの表情、」

「何しに来た……?」

「君を自由の身にしようと思ってね」

「……ハァ?」

「体は組み立ててあげるよ。そこからは好きにするといい。」

「てめぇ、何故だ……」

「面白い展開になったからだよ。そこから君はどう生きるのか、気になってね。」

「もう踊らされんのはゴメンだぞ……」

「そこらは大丈夫、俺はあくまで君の友達だ。」

「……ふん、好きにしやがれ」

「じゃ、頑張れよ。」
もし俺にまだできることがあるなら、もし俺がまたやり直せるなら……もし俺がまた、あいつに会えるなら……
これからは過去の清算の為に生きる。それが俺のできることだから。 
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