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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第6章:女の決意・男の勘違い
  第7話:掌の上で踊る

(ガーデンブルグ)
リューノSIDE

格好いい……ウルフはとても格好いい!
女王の権力(ちから)で犯人にされそうになってたシンを、理にかなった言い分で打ち負かして行く彼は凄く格好いい。
シンを逮捕した兵士も、一生懸命(シン)が犯人であることを強調してるが、ウルフに全て反論されて為す術がない。

「もう良い!」
圧倒的優勢なウルフの弁舌に、女王は痺れを切らし兵士との口論を断絶させる。
このまま諦めて、シン(私達)への疑いを取り下げてくれるのかしら?

「確かにその少年が窃盗犯である証拠はない……しかしながら先程お主も認めた通り、不法侵入罪は確定している」
「……つまり、今後もシン君を罪人として拘留し続けると?」
何だと!? そんな暇は私達にない!

「そうだ。そして余罪として窃盗の罪での捜査も続けて行く。お主の言う通り、窃盗罪の証拠はなくても、無罪である証拠も存在しない。そして少年の仲間であるお主等も、全員この国から……この城下から出ることは許さぬ! 共謀し証拠を隠滅した疑いがあるからのぅ……」
女王は意地でも私達への疑いを取り去らない……何が彼女をそうさせてるのか?

「お、横暴だ! 俺達にはやるべき事があるんだ。それなのに……はっ、まさかリュカさん……」
流石のウルフも女王の横暴さに大声を出したのだが、途中で不意にお父さんへ視線を向け、何かに気付いた様に見詰め続ける。

「ねぇアルテミア……僕から提案があるんだけど」
お父さんはウルフの視線から目を背け、女王に向かい何時もの口調で話しかける。
……『アルテミア』と言ったけど、多分女王の名前だろう。何で知ってるんだ!?

「何でしょうリュカ……今回の事に関する良い解決案でもおありかな?」
「まぁ……ね」
私も何となく解ってきた……
チラリとウルフに視線を向けると「この親父……謀りやがったな」と呟いている。

「シンが盗んだかどうかは僕には判らない。でも本人は真犯人が居ると言っている……だったら彼らに真犯人を捕まえさせようじゃないか! 真犯人の顔を見てるのはシンだけなんだし、事件解決するには大きなアドバンテージを持ってると思うんだ」
確かに言い分は正しい……しかし、

「悪くない提案ではあるが、問題がある……」
「解ってる。真犯人逮捕と言いながら、この国から逃げ出すのではと思ってるんだよね」
私達はそんな事しない! だが、そう疑われるのは仕方ない事だと思う。
お父さんが裏で糸を引いてなければ……

「そう、その問題を何とか出来ねば、この者等に任せる事は出来ぬ!」
「僕が人質になろう。第一容疑者のシンは、真犯人の顔を見てる為捜査から外す訳にはいかない。しかし僕なら、今回の事件に何の関わりもないから、捜査から外れても影響は少ないだろう」

「何を言うか馬鹿親父! アンタだって俺等の仲間なのだから、共謀した疑いは掛けられてるんだぞ!」
「親父じゃない、イケメンだ! それに僕にはアリバイがあるんだモンね! 昨晩はこの城に宿泊したという、絶対的なアリバイが存在するんだモンね! アルテミアが僕のアリバイの証人だ! 昨日は夕方からずっと城に籠もってた……勿論犯行時間もね!」

「くっ……やはりお前かぁ……で、では人質の変更を要求する! そのオッサンは戦力として重要なんだ。言ってはなんだが、戦力として必要無いトルネコさんと人質交換して欲しい! ……あ、トルネコさんごめんなさい。悪気はないんですよ」
ウルフもお父さんに対し反撃に出る。その際、流れで侮辱してしまったトルネコに謝罪を忘れないのは格好いい。

「ダメじゃ! お主も言った通り、そのトルネコというのは戦力外なのだろ? 其奴を犠牲にして逃げ出す可能性がある以上、人質としては認められない。その点リュカであれば、見捨てる事はないだろうし、仮に見捨てた場合……後々の影響が大きいだろう(笑)」
「くっそう……先手を打たれてたか」
ウルフが悔しそうに吐き捨てる。

「あの……俺が言う事じゃ無い気がするんですが、リュカさんだって見捨てられる可能性があるんじゃないですか? 少なくとも俺にはリュカさんが居ない方が居心地が良いのですか!」
何も知らないとは恐ろしい……シンは今後の事を何も考えず、と言うか理解せず発言をしてる……仕方ない、私が教えてやるか。

「シン……そうじゃないのよ。私達がお父さんを見捨てられない理由は、今後ビアンカさんと……お父さんの奥さんと合流する可能性が大きいからなのよ」
「……奥さんと?」

「そう……もしお父さんを見捨てて、ビアンカさんと合流した場合……ビアンカさんは間違いなくブチ切れるでしょう。それもこの国に……女だらけの国に置き去りにしてきたなんて知られたら……」
「で、ではビアンカさんとも合流しなければ良いじゃないですか!」

「ダメよ……イムルで見た夢が事実なら、ビアンカさんは現在デスピサロの関係者と一緒に居るはずなの。私達は皆デスピサロを探してるんでしょ? 避けては通れない道なのよ、解る?」
「そう言う事だシン君……ムカツクがあのオッサンを見捨てる事は出来ない。そんな事をしたら大変な事になるからな、俺達が!」

「オッサンじゃない、イケメンお兄さんだ!」
「「「「黙れ!」」」」
溜息と共にシンを諭すウルフ。その言葉に意味の無い反論を入れるお父さん。
勿論みんなから怒られてます。気にしてないけどね……

「では、話も纏まった様だし、サッサと真犯人とやらを捕まえてくるが良い。それまではお主等が犯人であり、人質は解放せぬぞ」
其処まで言い終えると、私達を城から追い出す女王……
チラッとウルフの顔を見たが、凄く機嫌悪そうにしている。

お父さん……何て事をしてくれるのよ!!

リューノSIDE END



(ガーデンブルグ)
マリーSIDE

「マリー……ちょっと来い!」
ガーデンブルグ城を出た所で不機嫌なウルフに腕を引っ張られ、みんなから離れた所に連れてこられる。
冗談半分で『いや~ん、早速エッチ気分?』と言いたいが、マジギレされそうなので控える事にする。

「お前……リュカさんに何を言った!?」
「な、なんのことでせう?」
ほぼバレバレみたい……どうしよう、ウルフってば恐い。

「ふざけるな! マリーがリュカさんに何らかの事を言ったんだろ! 多分前世の知識とやらを……他のみんなには聞こえない所まで連れてきたんだ、素直に話せ!」
はぅ……やっぱりウルフって頭の回転が速いのねぇ……

「あ、あのね……『ビアンカは何処に居るんだよ!』ってしつこいから、ここ(ガーデンブルグ)に寄らなければならない理由を話しちゃったの。でね、その際に盗賊バコタに騙され、窃盗犯にされちゃう事も話しちゃったの……でもね、最初は『ガーデンブルグが美女だらけの国だから、お父さんの頑張りどころだ』って事しか話してなかったんだけど、『そんな事よりビアンカが良い!』って煩いから、思わず……テヘ♥」

「『テヘ♥』じゃない! 煩いくらいなんだ!? 放っておけば良かったんだ……あの人にはこの世界の知識が無いのだから、流れに身を任せるしか出来なかったのに。それなのに情報を与えたら、自分だけは面倒事から逃れる方法を考えつき実行するに決まってるだろう!」
やばい~……めっちゃ怒ってはる!
泣いて許しを請うか?

「泣き落としは止めろよ。今はそれどころじゃないんだ……この事件を早々に解決させないと!」
読まれた! 私の心はガラス張り!?
それとも彼が凄いのかしら?

「今回の事件……マリーの知ってる事を全部教えろ。他のみんなには俺から説明する……マリーの前世の記憶なんて言えないから、何とか辻褄の合う話をする。それと、この事件が解決し落ち着いたら、リューノにもお前の前世とやらの事を話しておくぞ、良いな!?」
「は~い……」

怒った彼は厄介さん。
反発すると逆効果……最悪捨てられる可能性も出てきた。
ちっ……あの女(リューノ)さえ居なければ……

マリーSIDE END



 
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