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久遠の神話

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第五十八話 大刀その七

「その図書館にです」
「今そこで調べています。それに」
「それにとは」
「八条大学にはあらゆる学問に精通しておられる博士がいると聞いていますが」
「悪魔博士ですね」
 その博士の名前も出た。
「あの人ですね」
「ご存知ですか」
「本名はよく知らないですが」
「それでもですね」
「はい、あらゆる博士郷を持ち」
 そしてだというのだ。
「その知識は底知れない人です」
「噂では百数十年生きておられるのですね」
「実際の年齢も不明です」
 一体どれだけ生きてきたのかもだというのだ。
「そうした方ですが」
「その方がですか」
「ご存知かも知れないですね」
「そうですか。それでは」
 聡美はその博士のことは聞いた、だがだった。
 大石に本心は言わずそのうえでだった。
 大石と別れそうして姿を消した、後に残った大石も一人教会に帰った。
 上城は大石がコズイレフと会った次の日にだった。地連の応接間においてその大石、そして高橋と工藤を交えた会合においてだった。
 彼の話を聞いた、そして言うのだった。
「これで十二人目ですね」
「はい、そうです」
 大石がその通りだと答える。
「十二人目の方です」
「剣士は十三人でしたね」
「残る一人ですね、後は」
「はい、後はですね」
「最後の一人が誰かです」
 大石は眉を真剣なものにさせて上城に告げた。
「それが問題です」
「戦う人か止める人か」
「それが問題です」
「これまでのことではだ」
 今度は工藤が言う。
「剣士は日本人と限らずだ」
「そして全員がこの神戸、八条町に集まってきている」
 高橋も続く。
「だから最後の剣士もね」
「どの国で生まれていようともこの町に来る」
「どうして来るかはわからないけれど」
 高橋はこうも言った。
「それでもね」
「この町に来るんですね」
「そのことは間違いないよ」
 高橋はこう上城に話した、窓側のソファーに工藤と高橋が座り上城と大石はその彼と向かい合っている。
 その位置でお茶を飲みながらそのうえで話しているのだ。
 その中でまた言う高橋だった。
「だから最後の剣士が誰かは気になるけれど」
「まずはですね」
「そう、待つことだよ」
 その剣士が来ることをだというのだ。
「そうしよう」
「そうですか」
「うん、後は」
「後は?」
「妙なことがあるね」
 ここで高橋の目が曇った、そのうえでの言葉だった。
「ほら、八条大学に留学してきている」
「銀月さんですか?」
「そう、ギリシア人とのハーフのあの娘ね」
「あの人が何か」
「いや、俺達に何かと協力してくれて」
「しかもそれなりに知っている」
 工藤も言う。 
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