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万華鏡

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第四十六話 ゆるキャラリレーその四

 自分からだ、高らかに叫ぶのだった。
「軽音楽部頑張れ!」
 こうだ、普段の里香からは想像出来ないハイテンションで叫んだのだ。それを受けてプラネッツの他の面々もだった。
「いって下さい!」
「やっちゃって下さいね!」
 身振りまで入れて派手な応援をする、それを受けてか。
 リレーに参加している部長達も走る、そのゆるキャラ姿のままで。
 狐が二本足で全力疾走だ、それを見て皆驚いた。
「おい、狐速いぞ!」
「中の人軽音楽部の部長だろ!」
「あいつ確か普通に文化系だろ?それでもか」
「ああ、速いな」
「それもかなりな」
 その速さに驚く、部長の狐は最初のランナーであり彼女がいきなり飛ばしていた。カール=ルイスの動きだった。
 部長はバトンを右手に走りながらだ、叫ぶのだった。
「いくわよ!」
「ええ、やっちゃいなさい!」
「あんたが先頭だからね!」
 副部長と書記もそれぞれの場所から叫ぶ。
「次は私達だからね!」
「全力でいくから!」
「後はお願いね!」
 狐の目が光っていた、そのうえでの言葉だ。
「はい、じゃあ!」
「よし!」
 二番手は烏賊だった、中森先輩だ。函館の八条水産函館社のゆるキャラであるイカッシーである。中森先輩はそれになっているのだ。
 そして烏賊が受け取ってだ、やはり全力で走った。
「行くわよ!」
「速く来なさい!」
 三番手の副部長が言って来た、彼女の場所から。
「後は私がやるから!」
「任せるわよ!次は!」
「任せられるわ!」
 こうして副部長に渡ると副部長もだった。
 走る、まさに獣の速さだ。ゆるキャラだがそうなっていた。
 その速さで四人目の書記にバトンを渡し彼女も走り。 
 最後の坂口先輩もだった、凄い速さであった。
 その速さを見てだ、景子は少し呆然となって四人に話した。
「ねえ、先輩達ってね」
「そうよね、部長さんも副部長さんも」
「他の人達もね」
 つまりリレーに出ている五人共だというのだ。
「熱くなってるっていうか」
「本気?」
「そうよね」
「どう見てもな」
 それを感じたのだ、ゆるキャラの中から。
「もう完全に」
「何ていうか」
「もう本当に」
「そうなってるけれど」
 それを感じたのだ、五人共。坂口先輩も蛸の頭だがそれでも全力でまさに韋駄天の如く走っているのである。
 その坂口先輩も見てだ、景子は言った。
「赤星さんみたいね」
「また懐かしいな、おい」
「ファンだったの」
 こう美優に返すのだった。
「それだけにもっとね」
「活躍して欲しかったんだな」
「脚が速くて守備もよかったから」
 だからだというのだ。
「もっとね」
「確かにいいセンターだったよな」
「肩も強かったらね」
 それこそだというのだ。 
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