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万華鏡

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第四十六話 ゆるキャラリレーその三

「これでも繊細なのよ」
「今度はそう言うのね」
「そうきたのね」
 副部長と書記も呆れるばかりだった、しかし今は部長の勝利だった。そしてその勝利を手にしてリレーに向かうのだった。
「部長頑張って下さいねーーー」
「副部長と書記さんも」
「中森先輩と坂口先輩も全力で」
「いっちゃって下さいね」
「わかってるわよ」
「頑張るからね」
 烏賊と蛸の頭の二人が応える、この二人が中森先輩と坂口先輩らしい。白い烏賊と赤い蛸のコンビである。
「怪我しないで全力でいくから」
「観ていてね」
 先輩達も応える、こうしたやり取りも経てだった。
 いよいよリレーがはじまる、ゴーヤの姿の美優がナマハゲの彩夏に言う。
「なあ、先輩達もな」
「ええ、それぞれ選ばれてるわよね」
「凝ってるよなあ」
「ゆるキャラにね」
「何かもう勝ち負けよりもな」
「目立つことでね」
 かなり成功しているとだ、彩夏は美優に返した。見れば皆軽音楽部のゆるキャラ達を見てそのうえで言うのだった。
「成功してるな、あたし達って」
「今の時点でね」
「まあ他の部活もだけれどな」
「その点は皆成功してるわね」
 見ればどの部活も注目されている、まず巫女は萌えで貴族なり歌舞伎役者なりは異様に見えるからである。
 そして男子軽音楽部の面々はというと。まだ男子の番ではないがそれでも目立つことについてはだった。
「いざ、出陣の前に!」
「酒は飲め飲め!」
 運動会の途中なので今は水を飲んでいる、しかしノリであえてこう言っているのだ。
「これぞ真の傾奇者なり!」
「命短し人よ恋ぜよ!」
「傾きこそ人生なり!」
「大不便者なるぞ!」
 完全に安土桃山時代になりきっている、そのうえで騒いでいた。
 その彼等を見てだ、やはり完全にゆるキャラになっている景子が琴乃に囁いた。囁くとはいってもお互いゆるキャラの姿なので声は大きい。
「男子はもうね」
「完全に悪ノリよね」
「先輩達が真っ先にね」
 男子軽音楽部の二年生達のことである。
「もう何ていうか」
「完全に何処かの漫画よね」
「傾奇者ってね」
「一体何を考えてるのやら」
「悪ノリも過ぎるでしょ」
 何しろ演劇部から借りた朱槍の模型まで出して振り回している、そこにないのは馬だけである。
「うちの軽音楽部って男子も女子もフリーダムよね」
「一体何処の仮装大会って感じでね」
「運動会じゃなくなってるわね」
「文化祭でもこのノリかしら」
「そうじゃないの?うちの学園自体こんなのだし」
 とにかく騒ぐ、騒げるだけ騒ぐのがこの学園だからだ。
 それでだ、里香もこう四人に言った。
「こうなったらね」
「私達もなのね」
「もうゆるキャラになってるけれど」
「さらに突き抜けるんだな」
「いくところまでいくのね」
「そうしないと駄目みたいよ」
 ノリ的にだ、そうなっているというのだ。
「だからね」
「じゃあ応援もなの」
「全力で」
「そうしないと駄目みたい」
 こう四人に言うのだった、そして。  
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