万華鏡
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第四十六話 ゆるキャラリレーその五
「完璧だったわね」
「まあそこまで言うのは贅沢か?」
「それもそうね」
「赤星さんはよくやってくれたよ」
美優も優しい顔で話した。
「いい人だったよ」
「そうだったわね」
「センターがよくないとな」
野球で外野の要はそこである、何処ぞの自称球界の盟主の様に金にものを言わせて選手をかき集めてもそれは野球ではない、ただの金銭ゲームである。
「新庄さんとかね」
「あの人なあ」
「いい選手だったわよね」
「まあな」
美優は新庄については微妙な顔で返した、姿勢も両手を自分の腰の横にやってそのうえで語るのだった。
「脚も守備も肩も凄かったよ」
「パンチ力もあったから」
「ただ、ムラっ気がな」
美優が言うのはそこだった。
「あと何か言ったら負け続けるジンクスな」
「日本ハムではそんなことなかったのに」
「あの人不思議だったよな」
「ある意味において凄い人だったわよね」
「ある意味においてな」
これが新庄である、確かに凄い選手だったが。
「何ていうかな」
「うちのお祖父ちゃん凄く残念な顔で言ってたの」
里香が少し沈んだ感じで二人に言って来た。
「新庄さんに頭があれば」
「だったらなのね」
「あの人にそれがあったら」
「本当の意味で一流の選手だったのにって」
「本当の意味でなのね」
「里香ちゃんの祖父ちゃんそう言ってたんだな」
「今は打線について言ってるわ」
健在であるというのだ、今も。しかし愚痴は止まらないのだった。
「全体にね」
「本当に打たないからね、阪神の打線って」
「何ていうかな」
どれだけ人を集めても夏場になれば落ちる、阪神打線はそうなのだ。尚ピッチャーは調子を落とすことはない。
「ボールが避けて通るから」
「バットに当たってもボテボテでな」
「それで勝てないのよね」
「一点か二点が取れないよな」
「どうにかならないのかってね」
里香の祖父は今もぼやいているというのだ。
「残念だわ」
「そうだよな、まあ今年はいいからな」
美優は今年限定でよしとした。
そしてだ、リレーを見ると。
坂口先輩は今も必死の顔で走っている、だがここで。
遂にだ、ここで言うのだった。
「頑張るな、けれどな」
「ええ、他の部活の人達が」
琴乃も困った顔で応える。
「もっとね」
「あの速さで三位かよ」
「何で茶道部あんなに速いの?」
琴乃は茶道部を見て言う、見れば茶道部が鎧日本の戦国時代のそれで背中には母衣さえ着けている。
しかしだ、その格好で凄まじい速さで走っていたのだ。
「文化系なのに」
「茶道部も走ってるのよ」
ここで琴乃に話したのは彩夏だった。
「実はね」
「あれっ、そうなの?」
「そうなの、毎朝毎夕ね」
ランニングをしているというのだ。
「何でも茶道は体力って言って」
「それで走ってるのね」
「って知らなかったの?」
「いや、茶道部ってずっと茶室にいるって思ってたから」
そこまで見ていなかったというのだ、他の部活だということもあり。
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