lineage もうひとつの物語
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パーティー結成
ホワイトナイツ
アレン達は出発を遅らせ正式にパーティーを結ぶため三人でテーブルに向かい会話石とよばれるマジックアイテムを並べていた。
会話石とは遠く離れていても意志の疎通ができるマジックアイテムだ。
石と言うがその辺りに転がっているようなものではなく親指の先ほどの大きさで見た目は濁ったクリスタルのようなものだ。
これは偶然の産物である。
魔法の触媒に使う魔石は象牙の塔で作られている。
鉱石に含まれた魔力の結晶を集めて魔石を作るがその工程ででる廃棄物にも微弱な魔力が込められており、その廃棄物が大量に破棄された処分場で共鳴し周囲の動植物に影響を与えてしまった。
調べたところ廃棄物から放出される魔力は個々の波長が微妙にだが違うのがわかった。
驚くことに同じ波長のものは一つとして無く識別ができるため連絡用として開発されたものである。
他人が所有する会話石の波長を登録すればいつでも意志の疎通がはかれるようになる。
しかしその内容はなるべく短い言葉でしか疎通できない。
直接脳に魔力の言葉を送り込むため脳に負担をかけてしまうのだ。
個人差があるものの頭痛が起こったり吐き気がでる人もいたりする。
これがナターシャとハスラン、ナイルの間で会話石での意思疎通ができなかった理由であった。
ハスラン、ナイルの二人間では登録しているがナターシャには負担をかけないよう会話石を持たせていなかった。
もちろん今はあの事件があったため持たせてはいるが緊急時以外は使わないよう約束している。
一見便利に見えるが乱用できないので便箋と会話石が用途によって使いわけられている。
それに会話石を使う場合は意識を集中させる必要があるため戦闘中の使用に使われることは殆ど無いだろう。
そして今回はパーティーを結ぶための登録を実施するのだ。
通常の会話石は一対一の会話用であるが今回使用するのはグループで会話ができる石である。
登録された全員同時に会話が送られるようになるため一般的なパーティーは必ずこのグループ用会話石に登録することになる。
その登録を終えた次は大切なことを決めなくてはいけない。
パーティー名称とエンブレム
この二つを決めるのには理由がある。
どこかにパーティーの登録場所があるわけではなくアレン達のように自由にできるため同じ名称になる可能性は十分にあるだろう。
そこにエンブレムを加えて区別するのだ。
この二つが同じになることはまずないだろうという理由からだ。
「で、名前は何にすんの?」
アーニャは当然のようにアレンに問う。
つい先程パーティー結成が決まったばかり。
もちろんアレンは思い付いていない。
「いきなりでまだ考えてもないよ」
それもそうねとエレナは思うがアーニャはそう思っていないようで
「リーダーなんだから事前に準備しときなさいよねー」
と腕を組ながら勝手なことを宣う。
「無茶言うなよ・・・」
アレンは困り顔でエレナに目線助けを求めた。
が、エレナは窓に顔を向け空を眺めている。
「じゃ、じゃあ・・・・」
考える時間を稼ぐため言葉を濁す。
パッと目を輝かせたアレンは何か閃いたようだ。
「鉄攻兵団!ってのはどう?」
エレナは聞かないふりをしアーニャは呆れたふうに言い寄る。
「あんたに聞いた私がバカだったわ」
ふぅと溜め息をつきアレンを睨むアーニャ。
アレンは焦り考えを巡らす。
困った様子を楽しむようにアーニャは睨む。
そしてまた思い付いたようだ。
アレンは呟くようにその名を吐いた。
「ホワイトナイツ」
自分達の最終目標はラウヘルの討伐である。
そのラウヘル直属の兵であるブラックナイトに対抗する名称だ。
「いいじゃないそれ」
先程まで我関せずを貫いていたエレナが賛同しアーニャも
「あんたにしては上出来だわ」
と賛同しここにホワイトナイツとして名称は決まった。
次はエンブレムであるがそれはエレナとアーニャで決めることになりアレンは茅の外だった。
「あんたに任せると怖いからね」
アーニャの言葉は的を得ているがアレンはちょとだけ不貞腐れてお茶をがぶ飲みするのだった。
暇になったアレンはいつものように宿裏で剣を振るい戻るとエンブレムが書かれた紙がテーブルの上に置かれているのが目に入った。
「いいね」
そう呟き紙を手に取る。
盾が中央に配置されその左にWが右にKが書き込まれている。
恐らく頭文字をとってあるのだろう。
そして四隅から対角線にクロスした剣が書いてある。
よくみると右上から左下に向かって伸びた剣はアレンの愛用品ツーハンドソードだ。
三人はその紙に書かれたプレートを作りアレンの装備にある王家の紋章を隠すように上から貼り付けた。
これで街中でマントを外すことができる。
アーニャはローブの腕の部分に、エレナは鎧の胸の部分にそれぞれエンブレムを付けホワイトナイツが結成された。
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