八条学園怪異譚
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第四十六話 秋のプールその二
「それ可愛い娘なら誰でもみたいだから」
「見境なしっていうかね」
「女の子は誰でも何人でも恋人していいとか仰ってるし」
「そうした人だからね」
「まあそれはな」
そう聞いてもぬらりひょんの態度は飄々としままだった、この妖怪はこれが持ち味なのである。
「あの娘の性格じゃからな」
「だからその性格がね」
「困るのよ」
「悪い娘でjはないが誰でも問題点はある」
欠点ではないにしてもだというのだ。
「ここは笑顔で受け入れることじゃな」
「いや、だからそれがちょっと以上にね」
「難しいから」
こう返す二人だった、今も。
「私達セクハラとかしないし」
「胸とかお尻を触られるのは」
「子供の頃から駄目だったのよ」
「ましてね、先輩の触り方って何ていうか」
普通の触り方でもなかったのだ、尚且つ。
「いやらしいのよ」
「愛撫って感じで」
「挨拶代わりとかじゃなくてね」
「もうそういう行為に近いから」
床の中で行うものに近いというのだ、茉莉也のそれは。
「何度もお布団の中に誘われたし」
「私達そういう趣味はないのに」
「ふむ、まあそうしたところはな」
どうすべきかとだ、ぬらりひょんは困っている二人にアドバイスをした。
「かわすしかない」
「そうしてるけれどね、実際に」
「これが難しいのよね」
こう話す二人だった、そうして。
かるたを収めてだ、そのうえでぬらりひょんに困った顔で話した。
「けれど今夜はなのね」
「また先輩と一緒になのね」
「そうなるのう」
既に茉莉也の耳に入っているからだというのだ。
「頑張ってくれ」
「頑張るってセクハラを避けつつよね」
「それでやっていくしかないのね」
「そういうことじゃな、頼んだぞ」
こう話す二人だった、そうして。
その夜だった、二人でまずは学園内の神社に向かった。夜の神社は森の中で静まり何かが出てきそうな不気味さがあった。
その不気味な神社の境内の中からだ、茉莉也が制服姿で出て来て言うのだった。
「じゃあ行くわよ」
「はい、今からですね」
「中等部のプールに」
「ええ、道案内は任せてね」
茉莉也は保育所の頃からこの学園に通っている。勿論中等部もである。だから道案内も出来るというのである。
「プールまでの道もね」
「ご存知ですよね、やっぱり」
「そこも」
「勿論よ」
にこりと笑ってだ、茉莉也は二人に答えた。
「それこそ裏道までね」
「じゃあ行き来もですか」
「すぐに行けるんですね」
「それも安全にね」
行き来出来るというのである。
「だから安心してね」
「そのことは安心出来ますけれど」
「ちょっと」
愛実も聖花も茉莉也にもそのことを言うのだった。
「セクハラが」
「それがちょっと」
「ちょっと、って。そんなの挨拶みたいなものじゃない」
言いながら早速だった、茉莉也は二人に間に来た。そうして小柄な身体で二人を抱き締めてこう言うのであった。
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