八条学園怪異譚
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第四十六話 秋のプールその三
「でしょ?女の子同士だしいいじゃない」
「先輩はそう仰いますけれど」
「先輩の触り方いやらしいですから」
「本当に身体を攻めてきますよね」
「そういうのは」
「スキンシップなのよ、これがね」
やはりこう言う茉莉也だった、二人を抱き寄せてその顔を自分の顔に近付けさせつつの言葉である。まずは軽くといった感じである。
「というか日本じゃね」
「普通だったっていうんですね」
「同性愛が」
「男同士もそうだったし」
日本ではこちらの方が主流だった、平安時代から現在に至るまでこのことで咎を受けた者も一人もいない。
「女の子同士でもね」
「普通に、ですか」
「いいんですね」
「そう、そrでいつも言ってるじゃない」
「男の人の場合は一人でないと駄目だけれど」
「女の子ならですよね」
「そう、いいのよ」
茉莉也の中では操は男の決めた相手だけであるというのだ。しかし女の子については誰でもいいというのである。
「だからいいでしょ」
「ですからそうした趣味は私達にはないんで」
「困ります」
「禁断の味だけれね。けれど無理強いはしないから」
それはないというのだ。
「安心してね」
「ですか?結構以上に強引ですけれど」
「それでもですか」
「ええ、そのつもりよ」
それは保障するというのだ、茉莉也にしても。
「だから安心してね」
「いえ、あまりというか全然安心してませんから」
「そのことは」
「やれやれね、信頼されてないのね」
「信頼してないとかじゃなくて」
「警戒してますから」
そうしているというのだ。
「先輩の場合は」
「本当にいつもですから」
「いつもでもいいじゃない」
見事な居直りの言葉だった。
「だって私達の間柄じゃない」
「ただの先輩後輩ですよ」
「深い仲とかじゃないですよね」
「友達じゃない」
茉莉也は自分の左右に抱き寄せている茉莉也と聖花にこう言った。
「そうじゃない」
「友達、ですか?」
「私達って」
「そうよ、先輩後輩の間柄でもね」
目上と目下の関係だ、だがだというのだ。
「友達じゃない」
「そうなります?」
「先輩と後輩でも」
「お友達とか」
「普通になれるんですか?」
「そうよ、私達って妖怪さんや幽霊さん達ともお友達じゃない」
茉莉也はこうも言う。
「そうじゃない」
「だからですか」
「私達は」
「そう、というか友達に年齢は関係ないでしょ」
茉莉也の口調はざっくばらんだった、今の口調は。
「そうでしょ」
「ううん、そうですか」
「そうなるんですね」
「そうよ、だから私達は友達だからね」
「セクハラもですか?」
「それもいいんですか?」
「だからセクハラじゃないのよ」
このことも否定する茉莉也だった、そして言うことは。
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