転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
0444話
俺と造物主の戦闘は、誰が合図をするでもなく自然と始まった。
「まずは挨拶代わりだ、喰らえ!」
胸部装甲を展開し、多段頭ミサイルのファイア・ダガーを連続発射する。
それに対して造物主は腕を一振りして魔法障壁を展開。ファイア・ダガーはその魔法障壁へと命中して爆炎と煙を盛大に周囲へと巻き上げた。
目眩ましと化した爆炎や煙を尻目に、バーニアを噴射して造物主のいた場所へと突っ込んでいく……っ!?
その瞬間、念動力により咄嗟に危険を察知してグロウセイヴァーをバレルロール回転させて回避行動を選択。次の瞬間、PTでさえも串刺しに出来るかのような雷で出来た巨大な槍がグロウセイヴァーを掠めてあらぬ方向へと飛んで行った。
「けど、その程度はこっちだって予想していた!」
バレルロール回転をしながら造物主との距離を詰め、武器ラックからガン・レイピアを取り出しトリガーを連続して引く。その銃口から放たれた細長いビーム弾が幾筋も放たれ、その尽くが造物主によって張られた魔法障壁により防がれる。しかし……
「直撃」
それでも諦めないように放たれるガン・レイピアの細長いビームに、1つだけ精神コマンドの直撃を込めて撃ち放つ。
さて、どうする造物主? 数十発に紛れた致死の一撃、回避出来るか?
そう思ったのも束の間、何と造物主はまるで俺がそれを狙っていたのを知っていたかのようにふわっと今まで立っていた場所から後方へと跳躍したのだ。
……まさか、読んだのか? 宮崎のアーティファクトのようにこちらの心を読める? いや、今のはどちらかと言えば根拠も無く勘に従ったという風に見えた。そう、まるで俺が念動力で危機を感じて回避するように。となると厄介だな。勘だとするなら根拠も何もないから先読みの類も出来無い。
「……っと!」
放たれた無数の、それこそ視界一杯に広がる雷の矢を視線に捉えて咄嗟にビームガトリング砲の砲身を展開。同時にトリガーを引いた。
途切れる事無く放たれ続ける無数の細かいビーム弾。それが雷の矢を尽く砕いていく。
科学VS魔法。少なくても今のやり取りでは科学の方が勝っていたらしい。
本来ならここで牽制として炎獣でも放ちたい所なのだが、炎獣は俺の身体から直接放たれる一種の疑似的な魔法生物の為にグロウセイヴァーのコックピットに乗ったままでは放つことは出来ない。そんな事をしたら、コックピット自体が破壊されてしまうからな。
「なら、次はこれだ!」
ビームガトリング砲のトリガーを引きつつ、リニアレールガンの砲身を展開。狙い澄ました一撃を放つ。
一撃の威力としてはビームガトリング砲よりも格段に上の弾丸は、幾多もの雷の矢を砕きながら突き進み、造物主……ではなく、その手前の地面へと命中して周囲を粉塵で満たす。
「加速」
精神コマンドの加速を使い、その粉塵の中へと突っ込みながら武器ラックからハルバート・ランチャーを取り出して近距離でトリガーを引く。幾筋もの光線が放たれ……その全てが造物主の魔法障壁に防がれる。しかし。
「その程度は予想済みだよ。覚醒、直撃!」
精神コマンドの覚醒を使い、不思議な力が身体と機体へ漲るのを感じ取る。
この不思議な力だけは、この世界で魔法を知った今でもどういう力なのかは不明なままだ。……まぁ、転生特典なんだから魔法と違うのは当然だろうが。
一瞬だけそんなどうでもいいような事を頭の中で考えつつも、バーニアを細かく噴射させながら造物主の真横へと回り込む。
「これでどうだ?」
リニアレールガンの照準を造物主の真横を通り過ぎるその一瞬でロックし、トリガーを引く。
ガンファイトの最高レベルであるLV.9という数値と、300近い射撃のステータス能力があって初めて可能な一種の曲芸。
ガァンッ、という射撃音。そしてそのリニアレールガンから発射された弾丸により周囲に待っていた粉塵が晴れる。その後にグロウセイヴァーのモニタに表示されたのは……
「まずは1本、だな」
グレートグランドマスターキーを持っている右手とは反対。その左手が綺麗に無くなっている造物主の姿だった。
そこまでのダメージを負っても、どういう訳かその姿を覆っているローブは一切損傷がない所を見ると恐らくあのローブもマジックアイテムの一種なんだろう。
だがそのマジックアイテムを持ってしても、造物主の左腕をリニアレールガンの一撃から守りきる事は出来無かったのだ。それでも血の類を流していないのは、恐らく奴もまた俺と同様に魔法生物の一種か何かなのだろう。
そしてその造物主がグロウセイヴァーへと視線を向ける。
コックピット越しではあるが、確かに今俺と奴の視線は交わったと確信できる。そしてその瞬間、俺は殆ど瞬間的に叫んでいた。
「念動フィールド展開、出力最大!」
T-LINKシステムが俺の念動力を大量に消費して強固な念動フィールドを形成する。同時に、造物主もまたグレートグランドマスターキーを一振りした。そして次の瞬間、見たことも無い程の巨大な魔法陣が造物主の背後へと展開され……その魔法陣から黒い巨大なビームの如き奔流が襲い掛かって来る。
「ぐ、ぐぅっ!」
念動フィールドを展開してはいるものの、元々念動フィールド自体がそれ程強固なバリアという訳では無い。その証拠にこうしている今もジリジリとだが限界へと近付いていっているのが感じられる。どうする? 頭の中でそう考えた時、一瞬でその答えが脳裏に浮かぶ。
くそっ、SPが勿体ないがこのままだと洒落にならないダメージを受けそうだし、しょうがないか。
「愛」
苦渋の選択で精神コマンドの愛を使用し……次の瞬間、念動フィールドを突破して、本来なら当たった筈の攻撃が何故かグロウセイヴァーをすり抜けてあらぬ方向へと飛んで行く。
愛は複数の精神コマンドの効果を持つという、ある種の精神コマンドの奥義とでも言えるような存在だ。その中の複数の精神コマンドの1つ、敵の攻撃を100%回避する事が出来るというひらめきの効果が発揮されたのだ。
……考えてみれば、ひらめきの効果を実感したのはこれが初めてか。一瞬だけ存在感が無くなったかのようなこの感触がひらめきの効果だったのだろう。確かにこれなら回避率100%になるのも納得出来る。
そして今の敵は大技を放ったばかりであり、ひらめき以外の精神コマンドの効果はまだ俺の中に残っている。即ち……
「直撃、グレイプニルの糸、起動!」
T-LINKシステムを通し、念動力が糸状になって放たれる。目標はもちろん造物主だ。
造物主もこの攻撃は危険だと判断したのだろう。咄嗟に魔法障壁を展開するが、精神コマンドの直撃を使っている以上はそんなものは意味をなさない。グレイプニルの糸が魔法障壁に触れたその瞬間、まるでそこに何も無いかのように魔法障壁を無視して造物主はグレイプニルの糸に拘束される。そしてT-LINKシステムに大量のSPを送り込み……
「斬!」
俺のその一声と共に造物主の身体に巻き付いていたグレイプニルの糸に切断力が付与され、グロウセイヴァーの腕を思い切って引いたその瞬間、造物主の身体は胴体から上下2つに分断されるのだった。
そして上半身が地面へと倒れ込むと、グレイプニルの糸によって斬り裂かれた影響で造物主の身体を覆っていたローブも纏めて切断されて顔が露わになる。
赤毛でどこか悪戯小僧がそのまま大人になったようなその顔。その顔に俺は見覚えがあった。
「ナギ・スプリングフィールド!?」
思わず呟いたその言葉は恐らく外部スピーカーで周囲にも聞こえたのだろう。他の生身の面々と一緒に背後にいた筈のネギが瞬動を使って、倒れているナギの下へと駆け付けていく。
「父さん!」
「ネギ……俺を殺しに来い。それで全てが終わる。……待ってるぜ」
上半身と下半身に切断されているにも関わらず特に苦痛を感じた様子も無くそれだけ言い残し、他の造物主の使徒達と同じく、まるでリライトを使われたかのように霞のようになって消えていく。
これは、どういう事だ? 何故ナギ・スプリングフィールドが造物主として存在している? いや、待て。確かオスティアの舞踏会でクルトが見せた映像だとナギの仲間でもあるゼクトが造物主に身体を乗っ取られているシーンがあったな。つまりは今のナギは造物主に身体を乗っ取られている訳か?
「ネギーーーーッ!」
そう叫びながらネギへと向かって走っていくのは神楽坂だ。それも栞の方ではなく、フェイトに掠われていた本物の方の。
そして神楽坂がネギの下へと辿り着くと、ネギは気合いを入れるかのように自分の頬をバチンッと叩く。この辺の切り替えが素早く出来るようになったってのは凄い進歩だよな。
「アスナさん、今はそれよりも消えていった皆を!」
「ネギ……ええ、任せておきなさい。何しろ私は正真正銘魔法の国のお姫様なんだから」
神楽坂がそういい、造物主――ナギ・スプリングフィールド――が消え去った後に残っているグレートグランドマスターキーを手に取る。
そして右手にグレートグランドマスターキー、左手にハマノツルギを持ち口を開く。
『我、黄昏の姫巫女。創造主の娘。始祖アマテルが末裔。アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシアの名に於いて命ずる。世界を元に!』
神楽坂を中心にして発動した魔法陣。それらが強烈な光を放ち……そして魔法世界でこれまでにリライトで消された者達はその存在が元に戻る。
その様は、まさにグレートグランドマスターキーを使った世界創造と言い換えても良かったのかもしれない。グロウセイヴァーの中でそんな光に満ちている神楽坂の様子を眺めていると、数分でその光は収まる。
「これでリライトで消えた面子も元に戻った……か」
ここまで来た以上は敵対する相手もいないだろうと判断し、コックピットから飛び降りて墓守人の宮殿の儀式場へと着地する。まぁ、今の俺の身体能力ならこの程度の高さはどうとでもなる。何かあったら混沌精霊としての力で空を飛べばいいだけだしな。
「アクセル! これ凄いやん。お前のなんか!?」
そんな俺を見て、何故か小太郎が真っ先に駆け寄りグロウセイヴァーの足の部分をペタペタと触っていた。その様子に苦笑を浮かべつつも頷く。
「まあな。俺は元々魔法とかが表沙汰になっていない世界の出身だからな。この機体が俺の元々の武器なんだよ」
「へぇ……なぁ、なぁ。今度俺にもこれ乗らせてぇな」
期待を込めた視線を向けてくるが、その頼みには首を横に振る。
「無理だ。この機体は基本的に俺専用にカスタマイズされているから普通の機体に比べて色々と操作性が過敏になりすぎている」
「……そんなぁ……」
小太郎とは思えない程にしょんぼりした目で俺を見上げてくるその様子に、さすがに可哀想になり少し考え……
「あぁ、別にこの機体じゃなくてもいいのなら乗るのは可能だぞ」
量産型ゲシュペンストMk-Ⅱとかストライクダガーなんかはある程度初心者にも乗りやすいようにOSの方でフォローしてくれてるしな。本来なら機体操縦に耐える為の身体作りとかも必要になるんだが、この世界でも一流と言っても過言ではない身体能力を持ってる小太郎にその辺の必要は無いから結構すぐ乗れるようになれるかもしれない。
「まぁ、ある程度の座学は必要になるだろうけどな」
「マジかいな」
「それはそうだろう。操縦していてどこを動かせば機体が動くかどうかとかは最低限覚えないとな。……ま、興味があるのなら俺の本拠地であるホワイトスターに来れば誰かしら操縦を教えてくれるだろうさ」
ふと脳裏に浮かんだのがイザークだったのは……まぁ、小太郎と生身で戦えばどうやってもイザークに勝ち目がないからだろう。多分。
そんな風に小太郎と話、あるいはグロウセイヴァーを物珍しげに眺めているとネギと神楽坂がこちらへとやってくる。神楽坂の手にはグレートグランドマスターキー。そしてネギの手には鷲の両翼に天秤がある鵬法璽。なるほど、いよいよか。
「……アクセル君」
「分かってるよ。やってくれ」
何が始まるのかは以前の説明で理解しているのだろう。小太郎も含めて皆が俺とネギ、神楽坂から離れていく。
それを確認し、鵬法璽へと魔力を込めて起動させるネギ。
「ネギ・スプリングフィールドは、グレートグランドマスターキーをアクセル・アルマーに譲渡する。ただしその条件としてアクセル・アルマーは悪意を持って魔法世界に対してグレートグランドマスターキーを使わないと誓約するものである」
ネギと神楽坂の視線が俺へと向けられる。
そもそも俺としても魔法世界に対してグレートグランドマスターキーを悪用するつもりは毛頭無い。数秒考え、俺自身に特に問題は無いと判断して頷く。
「俺、アクセル・アルマーはグレートグランドマスターキーを受け取る代わりに、魔法世界に対して悪意を持って使用しない事をここに誓約する」
俺がそう呟いた瞬間、鵬法璽が眩く光り、契約が為された事を本能的に察知した。
それはネギも同様だったのだろう。鵬法璽を懐に仕舞い込み神楽坂へと視線を向ける。
「アスナさん」
「……うん。はい、アクセル」
ネギに促されて俺へとグレートグランドマスターキーを手渡す神楽坂。俺はそれを受け取り、同時に空間倉庫に入っていたグランドマスターキー3本を取り出す。
「グランドマスターキー、マスターキーの全てを消滅させる。『リライト』」
その言葉と共に、3本のグランドマスターキーは霞の如く消え去っていくのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:40
PP:120
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
撃墜数:411
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