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八条学園怪異譚

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第四十五話 美術室その二

「そうしていこうね」
「そうね、じゃあね」
 こうした話をしてだった、二人はこの日の夜にあの美術部の部室に行ってみることにした。だが。
 五限目の後自分の携帯を観てからだ、聖花は愛実にこう言った。
「部室には行ってもいいって」
「小林先輩に連絡したのね」
「うん、事前にね」
 行く前にだ、聖花はあらかじめ七生子に許可を得ようとメールを送ってその返事が来たのだ。 
 返事は二人にとっていいものだった、だが。
「先輩は今夜は合コンらしいから」
「行かれないのね」
「そうなの、多分先輩凄い美人だから」
 容姿は抜群だ、尚且つ性格もよく礼儀正しくもある。
「もてるでしょうね」
「そうね、付き合うには大変だけれどね」
 所謂面倒な人なのだ、七生子は。
「だから多分だけれど」
「合コンでも人気が出てもね」
「多分その場であのキャラクターに皆ドン引きになってね」
「付き合うってところまではなのね」
「私が男の子でもあの先輩とはお付き合いできないわ」
「言われてみれば私も」
 愛実もだった、若し自分が男で七生子と付き合うかということを考えてみるとその答えは容易に出てしまった。
「小林先輩とはね」
「でしょ?先輩やお友達としては最高でも」
「交際相手としてはね」
「考えるわよね」
「あれだけの美人でモデル並のスタイルだけれどね」
「しかもレディーだしね」
 スペックは高いのだ、だがなのだ。
 その特異なキャラクター故にだ、どうしてもなのだ。
「残念だけれどね」
「あの絵を観たら特に」
 二人はここで七生子の絵を思い出した、それはもう壮絶な思い出となり一生忘れられないものであった。
 そうした話をしてだ、愛実の携帯が鳴った。それで見てみると。
「青木先輩からだけれど」
「ああ、青木先輩に今夜お誘いしてたのね」
「そうだったの、けれどね」
「駄目なの?」
「うん、今夜は彼氏と二人で過ごすってね」
 こう返事が来たというのだ。
「返事が来たわ」
「じゃあ今夜は二人だけで行くの?」
「そうみたいね」
「ううん、二人だけでもいいけれど」
 それでもだとだ、聖花は考える顔で言った。
「誰かもう一人か二人いてくれたらね」
「有り難いわよね」
「じゃあどうするかだけれど」
「日下部さんに御願いする?」
 愛実は彼の名前を出した。
「そうする?」
「そうね。日下部さんがいてくれたらね」
「頼りになるからね」
 幽霊だから実体はない、だがそれでもいてくれると何かと教えてくれる。だから傍にいてくれると有り難いのだ。
 それでだ、聖花も愛実のその言葉に頷くのだった。
「じゃあ美術部に行く前にね」
「水産科に行こうね」
 大学の美術部の部室に行く前に高等部の水産科に行こうというのだ。
「そうしようね」
「ええ、それじゃあね」
「じゃあ今夜はそういうルートでね」
「行きましょう」
 泉の候補地探しはこれで話が整った、そしてだった。
 愛実は話題を変えた、今度の話題はというと。
「それで部活のことだけれど」
「部活?何かあるの?」
「いや、うちの部活文化系じゃない」
 かるた部だ、文化系と言わずして何と言うかとものだ。 
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