八条学園怪異譚
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第四十五話 美術室その三
「それで文化祭は大々的に何かするのよね」
「そうらしいわね」
「何か学園の皆の自由参加でのかるた大会するらしいけれど」
「百人一首よね」
「お正月に神社でするみたいなね」
その規模で行うものだというのだ。
「そんなのするのよね」
「みたいね、それじゃあ」
そのイベントについての話だった、聖花は愛実の話を聞いてからそれでこう言ったのだった。
「私達もその準備ね」
「しかもその時の服は和服らしいわね」
「演劇部から借りるの?」
「みたいね、どうやら」
「何か凄いのするのね」
「この学校何でも本格的にするからね」
それでかるた大会もだというのだ、本格的にするというのである。
「衣装までね。何か巫女さんとか旅館の浴衣だった時もあったらしいわ」
「それ誰かの趣味よね」
「巫女萌えとか浴衣萌えとかね」
人の萌えというものはこうしたもの、日本のものにも向けられる。だからその服を着ることもあったというのだ。
「そういう服だった年もあったみたいよ」
「それだと着物もなのね」
「そう、人寄せの為のね」
所謂コスプレの類だというのだ。
「それになるみたいよ」
「成程ね、うちの学園らしいわね」
「とりあえず設備とものがあって服も揃ってるからね」
これが八条学園の特徴だ、広く様々なものが充実しているのだ。
それでだ、かるた部の文化祭の出しものもだというのだ。
「私達もそうした服を着るみたいよ」
「巫女さんねえ。青木先輩とかね」
「ああ、何かあの先輩って思うとね」
それだけで巫女に対する幻想が崩れる、二人にとって茉莉也はそうした存在である。
それでだ、愛実は聖花にこう言ったのだった。
「まあ先輩みたいな奇天烈系巫女じゃなくてね」
「普通ね」
「そう、普通にいきましょう」
こう話すのだった。
「どんな服でもね」
「そうね、着物とか自体は着るのが好きだしね」
「着ることも大変だけれどね」
着物は着付けが大変だ、これが出来れば特殊技能とみなされる程だ。
「それでもね」
「着るとね」
「それだけで違うのよね」
「やっぱり日本人だから」
このことが第一だった、二人にとっても。
「着物はいいわよね」
「うん、別格よね」
「まあうちの部長も結構突拍子もないところがあるから」
かるた部の部長は頼りになる人格者だが所謂奇をてらうところがあるのだ、変わったことをすることが好きなのだ。
だからだ、今回もだというのだ。
「ひょっとしたらね」
「何かおかしなことをすることもあるわよね」
「そうよね。そうした意味でうちの部長もね」555
「青木先輩みたいなところあるわね」
「あの人程極端というか無茶苦茶じゃないにしても」
ここでも茉莉也が基準になる、二人にとって茉莉也とはある意味において物差しの様な存在になっている。
「同じ学年のせいかしら」
「それ言ったら二年生の人皆そうよ」
「そうね、それは違うわね」
愛実も聖花に言われて自分の考えと言葉を訂正した。
「幾ら何でも」
「そうよ、青木先輩な人はそうはいないから」
あくまで特別なケースだというのだ、茉莉也は。
「小林先輩も凄いけれど」
「あの人もね。凄くいい人だけれど」
だが、である。七生子の場合もまた。
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