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八条学園怪異譚

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第四十五話 美術室その一

             第四十五話  美術室
 愛実と聖花は食堂で昼食を食べながら話をしていた、それはこれから回る泉の候補地についてであった。
 愛実はレバニラ定食を食べながら唐揚げ定食を食べている聖花に言った。
「先輩達とお話している間に泉の話が出たじゃない」
「色々とね」
「大学の芸術学部の方の美術室にね」
 愛実はまずこの場を挙げた。
「それに中等部のプールね」
「それと運河の小道の柳のところと」
「桜林ね」
 こうした場所であった。
「今のところ四つね」
「まだ結構あるわよね」
「そうよね、まだね」
 こう話していく。
「その全部を回ったら」
「泉があるかしら」
「どうかしら」
 二人共それぞれの定食を食べながら話していく。
「そこはね」
「絶対あることはあるけれど」
 だが問題はどの泉かだ、それがわからないのだった。
 それでだ、愛実はこう聖花に言ったのだった。その言うこととは。
「ひょっとしたら私達が卒業するまでに見つからないかもね」
「高校の三年間でよね」
「うん、まさかと思うけれど」
「それならそれでいいじゃない」
 聖花は怪訝な顔になった愛実にこう返した。
「三年で見つからなくても」
「あっ、あと四年ね」
「愛実ちゃんも進学するつもりよね」
「うん、八条大学にね」
「そうよね、私もだからね」
 二人はそれぞれ目指す学部は違うがこう考えているのは事実だ。二人共そのことを念頭に置いて勉強もしていている。
「だからね」
「あと四年ね」
「合わせて七年もあるから」
 それだけの歳月があるからというのだ。
「若し三年で見つからなくてもいいじゃない」
「大学に入ってからも探せばっていうのね」
「そう、いいじゃない」
 こう愛実に話すのだった、楽観している顔で。
「別にね」
「そうね、言われてみれば」
「でしょ?むしろね」
「途中で諦めないことね」
「そう、中々見つからなくてもね」
 今の様にだ、だがそれで諦めることはというのだ。
「最後は絶対に見つかるから」
「そうね、あるからね」
「探していきましょう、それに今でかなり回ってるから」
 それでだというのだ。
「三年どころか一年で見つかると思うわ」
「ううん、確かに私達かなり回ってるわね」
 愛実も言われてみて聖花に応えて言う。
「一年の間にね」
「見つかると思うわ」
「だったら今はなのね」
「探せばいいのよ」
 このままへこたれずに、というのだ。
「このままね」
「そうよね、まずは諦めないことよね」
「何でもそうでしょ」
「うん、諦めたらそれで終わりだから」
 何もかもだ、これまでしていたことが終わってしまう。それはというのだ。
「駄目よね」
「だからね、もうかなり回ってるし」
「これからのことはあまり考えずになのね」
「探していこう」
 聖花は愛実に明るい顔で言う、唐揚げの横にあるキャベツを食べながら。 
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