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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?

作者:海戦型
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ドラゴンイレブン

 
前書き
オーシャンズ11>>13>>>12。観た人ならわかる。
今回はちょっと迷走しつつも風呂敷たたみに入ります。長いっす。超展開っす。

2/14 ミス修正 

 
「・・・・・・・1052人、漏れなし。ということは・・・・・・どういうことだってばよ?」

よう、画面の前の皆。メタ発言とかじゃなくて最近次元力の所為かPC越しにこっち見てるやつの存在感じ取れるようになったシャインだよ。今まで一度も言った事ないと思うけど実は金髪だよ。本当は黒だったけど無限力で金髪に変えたんだけど。ほら、家族らしい特徴欲しいと思ってさ?おおむね好評だったんだぜ?

って、今はそれどころじゃないんだ。

「つまり・・・絞り込みの前提条件を間違えたか?漏れは無いから・・・いや、それとも何か見落とした?」

顎に手を当てて胡坐をかきながらモニターを睨む。元々優秀な頭でないのをフル動員して挑んだにもかかわらずこの失敗。これ以上は一刻の猶予も存在しない。というか手遅れかもしれない。

OKOK、一旦落ち着いて情報を整理しよう。

俺が探しているのは「理想を現実に変える能力」を持った転生者的存在。
そいつの周りには不思議なことが起き、本人はそれが自分の力に起因して起きていると気づいていない。
性別、外見的特徴不明。目立つ人間ではない。難儀な性格でノイローゼ気味。
年は俺と同年代で、海鳴町に住んでいる。目的はそいつを探し出して精神を安定させること。

そしてその転生者的存在、劇物Aが見つからない、という訳だ。


「・・・よし、考えててもしょうがねぇ。目立った特徴があるやつを省いてもう一回見直すか」

ぱらぱらと音を立てながらフォルダに入れた情報に抽出条件を入力し、髪の毛や性格などを含めた条件を満たさない人間をピックアップする。

「うわ、エロゲとラノベの主人公だらけになった・・・こいつら特徴ねぇなぁ」

あ、ラノベ主人公と言えば。この世代には含まれていなかったが「ゼロの使い魔」の主人公君が原作と同じ流れでこの前ハルケギニアに旅立ったらしい。そんな彼を調べてみると・・・どうにもおかしい。
なんか小学校中学年辺りまでの個人情報が偽装された跡があり、そこから逆算すると”平賀才人”という人物は数年前までこの世界に存在しなかったことになるのだ。両親は普通に存在していたのに。


この事実に気付いた時から、俺の中である疑惑が浮かび上がった。

―――ひょっとして、転生者が”原作の存在する人物”に含まれている可能性もあるのではないか?

俺の記憶が正しければそういうのはSSで憑依モノという分類にされていたと思う。それと似たことが、この世界では起きたのではないだろうか。ようは、秋葉原で行方をくらました平賀君はその中身が転生者だったんじゃないかという説だ。これが成り立つならば、原作の有無という区切りからいったん目を離す必要が出てくる。

だいたい、フラスコを揺らす者はフラスコの中に劇物を入れて反応を観察するのが仕事だと言っていた。ならば劇物のタイプにも種類があるんじゃないのか。つまり平賀君と劇物Aは司書によって元とは違う身体をこの世界で与えられたんじゃあないのか。それを確かめる方法は・・・

「・・・司書は駄目だろう。そんな重要な情報黙ってたってことはこの世界の法則に引っかかるから敢えて言わなかった可能性が高い。なら誰だ?平賀か?でもどうやって?」

直接確認を取ることは出来ないでもないが、それをやると”大羅天”が世界のくびきを乗りこえてリリなのの世界を食いつぶす可能性がある。管理局の次元航行だって割と危ない方法なのだ、それ以上はスパロボ世界線とリリなの世界線の結合を招くだろう。何を言っているか良く分からないかもしれないが、何故か俺にはそういうのが分かるのだ。あ、ちょっとチート人間っぽいこと言ってる。それはさておきどうにか合法的に確かめる術は・・・何かないか?


「・・・あ。」

ある。あると言えるのかどうかも怪しい可能性だが、無いではない。

ゼロの使い魔のストーリー内で、一度だけ現代社会から平賀才人にコンタクトを取れる可能性がある場面が存在する。作中で虚無の使い手たる教皇ヴィットーリオが世界扉(ワールドドア)という魔法を使う際、あちらとこちらの世界が限定的に繋がり、そこで才人と母親の一度っきりのGメールのやり取りが起きた。明確かつ確実にコンタクトを取れるタイミングはそこしかない。

「・・・!やり取りが起きるタイミングを計算・・・既に母親のメールが送られる1回目が終わっている!次は、今日の2分後ぉ!?」

幾らなんでも早すぎないか。ついでに都合も良すぎる。何だこの奇跡的タイミングは!?
だがこれを棒に振る訳にはいかない。或いはこれこそサイコドライバーである自分が引き寄せた可能性の片鱗なのか。

「まずっ・・・!急げ急げ!!」

応龍皇の力を使ったクロスゲート維持結界を流用、繋がる空間を座標指定で計算、割り込み用の回線確保、平賀才人のメアド調べ、送信内容を――ー





平賀君へ。

初めまして、私はシャインといいます。
単刀直入に聞きます。貴方は転生者もしくはそれに類する存在ですか?
重要な話です。返信するまでゲートは私が維持します。
私はそうです。司書のような男から力を与えられ、リリなの世界に送り込まれました。
もしもあなたが他にも転生者を知っているならば教えてください。
それと司書に会ったのならばその時の事、言われたことを教えてください。
私の力でもこのゲート広げたり長時間維持するのは難しいのです。
もう私には時間も手掛かりもない、貴方だけが最後の頼みなんです。
どうかお願いします。



~その頃ハルケギニア~

「・・・ワールドドアが閉じない!?いや、これはまさか・・・”向こう側”からの干渉なのか!?」
「あ・・・俺宛てのメール?」

そのメールの内容を見た平賀才人は、暫く難しい顔をした後、迷いなくキーボードをタップしてメールを送信した。




顔も知らないシャイン君へ。

ドーモ、シャイン=サン。サイトです。
貴方は凄い力を持っていますね。ゲートを維持するなんて、虚無でも難しいのに。
質問にお答えします。私はおおむねあなたと同じ条件で転生・・・なのか厳密には分かりませんが、した人間です。
外見も名前もゼロ魔の主人公で、9歳の頃にこの世界に来ました。
というかあそこリリなの世界だったんですか!?そこにびっくりです。
俺が出会ったことのある転生者は一人で、そいつはアル=ハザードと名乗ってました。本名は知りません。
変な蒼い水晶玉みたいなのを肌身離さず持ってたので、それがアイツのチートだったんだと思います。
ちなみにそいつは何年か前に「ちょっとタイムスリップしてくる」と言ったっきり帰ってきてません。
司書ってあのおっさんっすよね?
あの人には「チート一つあげる」と「君の人生は大体ゼロ魔を辿ってもらう」の2つを言われました。
口振からして俺以外にも何人か同じ役割を与えられた人がいたみたいですけど、その人たちには会いませんでした。
ちなみに俺が貰ったチートは「ワガママシステム」って言う力です。お役に立てましたか?

異界の地で同士とコンタクトを取れるとは思ってませんでした。
いつかそちらの世界に帰ったら一杯やりましょう。
それとちょっと気になることがあるんですが、原作と比べて地球とハルケギニアの時間軸のずれが明らかに原作と違うんですが、何か原因があるんでしょうか?



Re:平賀君へ。

ありがとうございます。おかげで抱えている問題は何とかなりそうです。
貴方が帰ってきたらぜひ一杯やりましょう。とはいっても年齢的に酒は無理なのでノンアルコールですが。
時間軸のずれの誤差は、多分次元の狭間に中国産の龍神もどきが居座ってるせいだと思います。
実際第3次αでもアカシックレコードが時間の早さを弄りまくってたし。
そろそろ維持が難しくなってきたので私からはここまでです。ご武運をお祈りします。



Re:シャイン君へ

俺の知ってる地球と違う




「よし・・・予想は間違ってなかったか・・・って、うわわ!」

ガッツポーズをした反動で後ろにひっくり返った。地味に恥ずかしい。
やはりこの世界には憑依系がきちんといるらしい。そして住所と年齢層が分かっていてなおかつ応龍皇のの力があれば、必ず見つけることが出来る。漸く作業を再開できると意気込んだ俺の目の前に―――

「ん?なんだこの表示?」

いつの間にかモニターにでかでかと「紧急事态!!」と表示されている。

・・・少し、遅かったようだ。この情報が正しければ、現在海鳴市は色々アレなことになっている。




~同刻、アースラ・危険物保管庫~

「馬鹿な、子供だと!?」
「何所から入り込んだ!?」

それは余りにも一瞬の出来事だった。その一瞬が、すべての運命を別った。

「ジュエルシード、頂きます」

封印済みだった20のジュエルシードがデバイスへと吸い込まれてゆく。
紫電を纏い、黒いバリアジャケットに美しい金髪を揺らしてている少女は、静かにそう告げた。


『鮮やかな手際だ・・・出来過ぎてるくらいにな』
『それで、犯人は何処へ向かったの?』
「ああ、犯人が向かった先は・・・海鳴市だ。既にニルスは先行しているから気を付けるんだよ」

主に周囲の被害的な意味でね、とクロノは心の中で続けた。




~同刻、時の庭園付近~

「プレシア、あれ見てください」
「何よあの悪趣味な建造物。住んでるやつの顔が見てみたいわね」
「母さん、あれどう見ても時の庭園(うち)と同じデザインだよ?」
「・・・いい趣味してるわね!是非住んでいる方とはお近づきになりたいわ!」
(このBBA本当に天才だったのかい?)

モニターに映し出された建造物に、テスタロッサ一家は困惑を隠せない。それは、2つあるはずのないものだから。

「プレシア、あれは・・・」
「分かっている。殺された未来が、復讐しに来たってところかしら?」

無限力に触れたリニスとプレシアには感じ取れた。あれがどういった感情を持った何なのかを。

「他人の振りをする訳にもいかないし・・・シャインを呼びなさい。打って出るわよ!」




~同刻、市街地~

《『マスター(少年)、結界の展開を探知しました(した)』》
「結界って、こんな街中で誰が・・・?」
「・・・・・・」

お使いの途中に突然の結界。一体誰が何のために、と困惑を隠せないなのは。そしてそんななのはとは裏腹に、既にバリアジャケットを展開して空を睨みつけているクロエ。その様子を見て「敵がいるかもしれない」と認識したなのはは遅れて展開を済ませる。

瞬間、空中から4つの鉄球が不規則な弾道を描きながら二人に殺到した。
アスファルトを粉々に砕く威力が魔力爆発を起こし、凄まじい粉塵を巻き上げる。

「やったか?」
「いや、高町は寸でのところで回避したようだ。黒いのは・・・」

そう言いかけた桃色のポニーテールの女性は、突如その手に持つ剣を横凪ぎに振り払った。ガァン!と金属同士のぶつかる音が響く。
切り払った物の正体は煙の中から投擲された鉄球の欠片だった。それも、彼女が切る前に既に真っ二つに切り裂かれている。続いて煙の中から桜色の閃光が奔り、女性ともう一人、赤毛の少女は素早くその場を離れた。

「その鉄球は返す。次はもう少しましな攻撃を叩き込んでくると良い」
「いきなりなんなんですか!?どうして突然襲って・・・!?」

煙の中から姿を現したなのはとクロエに、2人は「それでこそ」と言わんばかりに不敵に微笑む。

「我等の生きた証を残すためだ」
「アタシ達の相手になってもらうぜ・・・なのはぁ!!」

起こり得なかった筈の戦いが、始まる。




~同刻、海鳴大学病院屋上~

『全てが終わってしまう・・・』

音もなく、いつからそこにいたのかもわからないその女性は、まるで大切な誰かを亡くしたかのようにそう呟く。

『主の絶望・・・なれば、その事実は・・・主の御心を”無かったこと”には決してさせない』

カラスのように黒い翼を広げたその女性は、目にもとまらぬ速さである場所へと駆けた。
主の心を絶望に染めた―――”存在するはずのない”敵に向かって。




~同刻、八神家前~

「許せませんよ・・・絶対に許せるわけないですよ」

ぶつぶつと幽鬼のように揺れながらつぶやく小さな少女。
小さな、とは単純に身長が低い訳ではなく、体のスケールそのものがミニマムサイズなのだ。

「皆、私を殺したんです・・・!家族だったのに!」

それは本当に裏切られた者の悲痛な叫び。憎しみを纏った少女は、躊躇うことなくその力を開放した。




~同刻、海鳴市上空~

「ふっ・・・何とまぁ呑気な顔をしているではないか。これよりこの町が戦の場となることも知らず・・・!」
「王よ、誰に向かって話しているのですか」
「む、煩いぞシュテル!」
「ねぇねぇそんな事よりも王様~」
「黙っていろレヴィ!今我はシュテルに臣下のあるべき姿を教えるのに忙しいのだ!」
「そんなくだらない事に時間を割いている暇があったら働きなさい・・・我らがこの地へ顕現した所以をお忘れか?」

赤みがかった茶髪を風に揺られる少女の問いに、銀髪の少女は腕を組みふんと鼻を鳴らす。

「・・・王たる(われ)が命に従うなどいささか気に食わなくもあるが、確かにこのまま時間を浪費するのも賢い選択ではないな」
「だから王様ってば~」
「ええいなんだレヴィ!さっきから鬱陶しい・・・」

その少女、レヴィと呼ばれた水色の髪の少女は、不安そうに王と呼ばれる銀髪の少女を見つめる。

「ボクもさっきから言ってるんだけど、ユーリがいないよ?探さなくていいの?」

「・・・・・・・・・・・・何ぃぃぃぃーーーーーーーー!?」
「どうしてもっと早く言わなかったんですか!」
「え?さっきから言ってるのに二人が無視するから・・・」
「な、何たること!これはいかん、いかんぞ!我等は4人で1つだったのだぞ!?地元では負け知らずだったのだぞ!?そうだろう!?」
「何故過去形なのですか!そんな事よりも急いで110番です・・・あれ、119番でしたっけ?」
「どっちでもいいから掛けろ!!」
「王様、ボクたち電話持ってないよ?」
「馬鹿者!何のために公衆電話があると・・・」
「王よ、我等は日本円を持っておりませぬ」
「こっこんな!闇統べる王たる我ともあろうものが10円玉一枚でっ・・・・・・何たる失態!財布はユーリに持たせているのであった!!」
「ボクたち財布なんて持ってたっけ?」
「しっ!王は自分がお金を持っていないことを認めたくないのですよ」
「そっか!王様はビタ一文持ってない ビ ン ボ ー だって認めたくないんだね!!」
「やめろ!そういう言い方やめろ!傷つく!!我のプライドが傷つくから!!」

3人の少女のコントはしばらく続いた。




~同刻、市街地~

「・・・つまり、お友達とはぐれちゃったんだ」
「そうなんです。集合場所を間違えたみたいで・・・」
「分かったよ。友達に頼んで探してもらおう。あ、もちろん僕も手伝うよ?」
「本当ですか!?ありがとうございます、お兄さん!」

その頃、件のユーリは市内でニルスに保護されていた。
ちなみにニルスが地上にいるのは襲撃事件の関係で先行したわけではなくもっと趣味に走った内容だったのだが・・・

(どうして僕は町を歩くたびに迷子の子供に捕まるのかなぁ・・・?)

管理局員として、そして個人として困っている人を放っておくのは信条に反する。ニルスは個人的用事を放棄して少女の友達を探すことにした。
 
 

 
後書き
何も聞くな。私も何も言わない。 
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