ヘタリア大帝国
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TURN98 サイボーグ外相その九
「まだ幼い、小学生位の年齢で国家元首ですか」
「しかも独裁的な、だな」
「そんなことは私達の世界でもないですし」
「こっちの世界でもないよ」
モンゴルもこう言う。
「あの娘がはじめてだよ」
「そうですよね、幾ら何でも幼な過ぎますね」
「よく言われてるよ。二年前に急に演説をはじめて」
それがはじまりだった、カテーリンの。
「そこからあっという間にだからね」
「それだけ心を打つ演説で政策なのですか」
「どうだろうね、子供だから」
その演説にも限界があるというのだ、それにだった。
「しかも共有主義ってね」
「あんなの何処がいいんだ?」
ランスは真剣にいぶかしんで返す。
「窮屈なことこの上ない宗教だよな」
「宗教じゃないよ、というかカテーリン書記長は宗教も否定しているから」
このこともまたカテーリンの思想の特徴である。
「お坊さんとかは働かなくて自分達だけ楽をしてるって言ってね」
「いや、それでもな」
ランスはモンゴルに反論する。
「あれは宗教だろう」
「そうなるのかな」
「はい、私もランス様と同じ考えです」
シィルもこう話す。
「共有主義は宗教です」
「シィルさんもそう言うの」
「擬似宗教と言うべきものです」
そうした意味で共有主義は宗教だというのだ。
「自分達だけが絶対と思っていますから」
「ううん、イデオロギーもそうなんだ」
「そうだよ、とにかく俺はあんな堅苦しい宗教は御免だからな」
実にランスらしい言葉だった、忌々しげに話すところに彼の考えが出ている。
「というか何処がいいんだ」
「何でもソビエトはロシア帝国の頃は貧富の差がかなり酷かったそうです」
「その反動か?」
「そうみたいですね、どうやら」
「まあよくある話だな」
このことはランスもわかる、だがだった。
それと共にだった、ランスはこうも言った。
「しかし所詮はあれだろ、子供の言うことだろ」
「紛れもなくそうですね」
「それであんなに皆熱狂的に支持するか?」
それがどうしてもわからないというのだ。
「おかしなことばかりだな」
「私もそう思います、共有主義は理想です」
シィルはこう言い切った。
「理想に過ぎないです」
「現実には無理だろ」
「実際にソビエトにはかなり無理が生じていると思いますが」
「だろうな、それで何でソビエトの連中はあんなに支持するんだろうな」
「考えれば考える程不思議ですね」
「変な宗教は多いけれどな」
ランス達の元の世界でもだ。
「こっちの世界でもあるのはわかるけれどな」
「そういえばドーラ教ってのもあるよ」
コアイがこの宗教を出して来た。
「ドクツにあるんだって」
「それはどんな宗教ですか?」
「ドーラっていう神様を崇拝しているらしいよ」
コアイはこうシィルに話す。
「けれどコアイそれ以上は知らないから」
「そうですか」
「うん、あまり言えなくて御免ね」
「いえ、お気になさらずに」
この宗教の話も出たが今はこれだけだった、ランスは引き続きカテーリンと共有主義について話をした。
「とにかくあんな宗教が百億以上の人間に支持されないだろう」
「一億でもあまり、ですね」
「おかしな学者が信じる位だろ」
ランスはこう考えていた。
「本当にわからないな」
「全くですね」
「マンシュタイン元帥にしてもな」
「何でもカテーリン書記長と直接会ったそうです」
その結果あれだけ共有主義を盲信したというのだ。
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