インフィニット・ストラトス 復讐を誓った血継限界の転生者
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プロローグ4 永遠の光
「お兄ちゃん、火月お兄ちゃんの具合どうだった?」
「案外元気だったぞ。早く退院出来ればいいんだけど」
俺は焔と一緒に晩飯を食いながら、火月の話をしていた。今はおばさん達は旅館の仕事をしていて、食卓にいない。俺は湯飲みを取ろうとすると距離が取れずに湯飲みが取れなかった。
「……お兄ちゃん、唐突に聞くけどコレ何本?」
焔はそう言いながら、指を立ててきた。
「カンタンな問題を出すなよ焔。答えは決まってる。6本だ!」
「コレ片手だよ。正解は2本。お兄ちゃんはいつも万華鏡写輪眼を使いすぎ!だから視力が悪くなるんだ!」
「しょうがないだろ。便利なんだから」
「しょうがなく無い!“神威”が便利だからってそんなに無駄使いしてると本当に見えなくなるよ!」
なんか妹にここまで正論を言われると、兄としての尊厳が無くなってしまう。だけど、左の“天照”はあまり使ってないんだぞ。
「燐君!焔ちゃん!」
「ど、どうしたんですか!?おばさん!そんなに急いで?」
いきなり扉を開いて入って来たのは、俺達の叔母の清洲景子。いつも落ち着いているおばさんがこんなに急いでいるなんて。
「ふ、2人共落ち着いて聞いて……今さっき火月君の病院から連絡があって…」
「火月がどうかしたんですかおばさん!?」
「さっき火月君の病気が急に悪化して…さっき息を引き取ったてお医者さんが…」
「嘘でしょおばさん…そんな、そんなことって…」
「あのバカ野郎!兄貴より先に死ぬんじゃねぇ…」
俺達は一晩中泣くことしか出来なかった。これじゃあ父さん達の時と同じじゃないか。
ー◇◇◇◇◇◇◇◇ー
俺と焔とおばさんは火月の遺体を引き取りに病院に向かった。俺は正直行きたくなかった。冷たくなったアイツを見たくなかった。俺達は火月の担当医に連れられ、霊安室に入ると火月の遺体が寝ていた。
「お兄ちゃん、寝てないで起きてよ…元気になって帰ってくるって約束だったのにぃ…」
焔は火月の遺体を見るなり、また泣き出してしまった。俺も目から涙が出てきた。俺達はまたしばらく火月の遺体の泣いた。それからしばらくしてから火月の担当医から話があるみたいで俺とおばさんは話を聞くことになった。焔は部屋の外で待っている。
「火月君については申し訳ありませんでした」
「いえ…先生には弟がお世話になりました。ありがとうございます」
「…実は火月君にあるお願い事を頼まれたんです」
「お願い事?」
おばさんは不思議そうに先生に聞いた。確かに身内じゃなく担当医に頼むお願いとは、何かワケがあるのか。
「実は火月君が『もし自分が死んだ時は、自分の臓器を全部ドナー提供したい。そして自分の眼は兄に移植してほしい』と言っていたのです。未成年のドナー提供もですが、移植手術を行うには本人と保護者の許可が必要なのです」
「……ドナー提供はあの子がそう願ったのならいいですが、燐君の移植についてはちょっと…燐君はどうするの?」
「俺は…」
確かに俺は片目の視力がもうほとんど無い。火月の眼を移植すれば視力は戻るし、万華鏡写輪眼のリスクも無くなる。だけど、それじゃあ俺がアイツを利用してるみたいじゃないか。
「実はお兄さんが迷った時に読むようにと預かった手紙があるんです。読んでください」
俺は先生から一枚の手紙を受け取り中を拝見した。
『燐、君がこれを読むってことは僕の眼を移植することに躊躇っているんだね。君の右目がほとんど見えなくなっていることには気づいてたよ。僕は君に復讐を遂げてほしい。焔を守ってほしい。焔と一緒に生きてほしい。そして、僕の眼で見えなくなった景色を見てほしいんだ。僕はそう想っているよ兄さん。追伸、ちなみに燐が大切にとっておいた大福を食べたのは僕です』
アイツは本当に……バカな弟だ。なんで遺書にそんなこと書くんだよ。別に良いわ大福くらい。だけど俺も覚悟を決めた。
「先生お願いします。弟の眼を移植してください」
「本当にいいのかい?」
「はい。弟の葬式の後にお願いします」
俺はそうして火月の眼を移植する事になった。葬式では身内と知り合いだけで行った。そして、それから2ヶ月が経ち、
「眼のほうはどうだい燐君?」
「だいじょうぶです。ちゃんと見えます」
俺は包帯を外し、鏡で自分の眼を見ると、俺の三枚刃の手裏剣の模様と、火月の車のギアのような模様が組み合わさっている。これが俺と火月の“『永遠の』万華鏡写輪眼”か。
「火月、俺は絶対に復讐を遂げてみせる。奪われる側じゃなくて奪う側になってやる。この眼を通して見ててくれ」
そうだ。もう被害者面はしない。俺はこれから加害者になるんだ。俺達から大事な物を奪った奴らから奪ってやる。そいつらの命を。
後書き
次からIS学園です
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