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古の鉄の巨人を駆る他世界への介入者

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イレギュラー

若干フラストレーションが溜り気味のキョウスケはさっさと荷物をまとめてインフィニット・ストラトスの世界へと向かった。今回は誰も連れずにただ一人での仕事となる…はずだった。

「…何故貴様がここに居るんだ…」
「そりゃあ世界を回ってたら偶然だよ♪」

キョウスケは無事にISの世界へと到着し、この世界での自宅で取り合えずコーヒーを啜っていた。するといきなり後ろから声がしたので振り向いてみると、そこには以前の世界で自らのサーヴァントとして動いてくれた真祖、アルクェイド・ブリュンスタッドがいた。

「はぁい♪私、白き月姫ファンタズムムーン♪はっぴゃくさい!ぐらいかな?」
「…誰に向かって挨拶してるんだ…」
「え?そりゃこれを見てくれてる読者様に」
「メタいからやめろ」

キョウスケは頭痛を覚えながらアルクを座らせて紅茶を出した。アルクを紅茶を飲みながらここまでの経緯を語った。

「キョウスケにゼージス貰った後に色んな世界を廻りながら楽しんでたの。それで58週目はどんな世界に当たるかな~って思ってたらキョウスケの存在を感じ取ったから来てみたよ」
「…相変わらずで安心するというか…変らないすぎて困るというか。っというかゼージスってなんだ」
「だってこれゼロイージスって名前でしょ?長いから渾名付けてみたの」

長いってたった6文字だろうに

「それでキョウスケがこの世界にいるってもしかしてまた馬鹿な転生者でも来たの?」
「ああ、下級神がやってくれてな。誰が後始末をすると思っているんだ」
「まあまあ落ち着いて、ほら肩叩いてあげるから」

アルクは立ち上がってキョウスケの後ろに回って肩を叩き始める。普通の人間だと強すぎて骨が軋む威力だがキョウスケにとっては丁度いいようだ。

「それで今回はどんな設定なの?」
「ん?ああ


                    準最高神説明中・・・

っという訳だ・・・」
「な~る~」

アルクは納得したように肘でキョウスケの肩をグリグリと押す。キョウスケは気持ち良さそうに声を漏らす。

「それにしてもよくもまあ真祖であるお前が俺に気を許すな」
「だってキョウスケと一緒に居ると面白いし楽しかったし、元とはいえマスターだし」
「元だ元」
「それに今回」

アルクは懐から一枚の紙を取り出した、そこには

「だって今回、私は貴方の妹の設定だし♪妹が兄に甘えるのは当たり前でしょ?」
「………」

キョウスケは顔色さえ変っていないがアルクの持っているのは正真正銘の最高神オーディンの称号を持つエクナからの指令書。それは今回のキョウスケの妹役をしろっというものでキョウスケはとんでもない人選をしているエクナに呆れる事しか出来なかった。

「っという訳でなんですよお兄ちゃん」
「いきなり兄呼ばわりするな。まあ好きにしろ」
「は~い好きにするね~♪」

アルクは嬉しそうに、楽しそうにキョウスケに後ろから抱きついた。エクナと違った柔らかな暖かい感触、少しこの感触に酔いたいが残念ながらキョウスケはエクナ以外の女には異性としての愛情を抱かないタイプなのでアルクには何も思わなかった。まあ設定で婚約者っという事が多々合ったのでそこらの感情の使い方もうまくなっている。

「ったく、よくもまあ直ぐに設定に順応出来るものだ、しかも俺の妹という設定に」
「否別に?こういう経験もいいかな~って思っただけ」
「そうか、なら「嫌よ」おいまだ何もいってないぞ」

キョウスケが何か言い出す前にアルクは拒否した。

「どうせ離れろというんでしょ?」
「当たり前だ」
「嫌よ!そういうのぶっちゃけメンドイわっっ!!」
「離れるのが如何してもそこまで面倒くさいのか俺には理解出来ん」

その時、家の固定電話が鳴り響いた。キョウスケは立ち上がって、背中にひっついたアルクごと身体を動かして固定電話の受話器をとった

「もしもし」
『もしも~し!キョウ君お久し~!』

キョウスケはそっと受話器を置こうとするが

『待って待って切らないでキョウ君~!!』
「やかましいぞ束、いったい何の用だ」

電話の相手は篠ノ之 束、ISを作り出して逃亡を続けている天災だ←誤字にあらず。キョウスケと束は幼い頃から親しい間柄であったが、ある日からその関係は歪み始めていた。

「俺は既にお前と縁を切ったはずだ、二度と掛けて来るないっておいた筈だがな」
『…あの事は本当に反省してるよ、でも今はそれじゃなくて、好い加減にち~ちゃんと会って上げてほしいの』
「ほぉ?俺とアルクを殺そうとしたお前の頼みを聞けと?」
『だからあれは誤解なんだってば!!』

束は声を荒げながらキョウスケに抗議する、キョウスケとアルクは以前ISの実験に付き合った時に束のうっかりミスによって死に掛けている。それに1度や2度ではない、何回も起こっている事からキョウスケは束と縁を切ってしまった。自分だけならまだしもアルクに被害が及んだ事が一番許せない。

「誤解だがなんだか知らないがな。俺としてはお前の事などどうでもいい。それに何故千冬に会わなければならない」
『だって婚約者でしょ!?』
「あれは勝手親父共が決めた事だろ。その親父共も死んだ今、其れを守る義理はない」

キョウスケはぶっきらぼうに答えた。世界を変えてしまった束と千冬、その二人にいい印象を持つ事は難しかった。だから拒絶する。それが考えた生き方だった。

『…キョウ君』
「くどい」
『…ち~ちゃん、キョウ君に謝りたいってずっといってたよ、それで自分を…』
「………」

キョウスケは深い溜息を吐きながら、自分も馬鹿だと毒づく。

「ったく、やはり俺はお前らから逃れる事は出来ないか。いいだろう」
『本当!?』
「だが次、俺の家族を傷つけてみろ。容赦はせんぞ」
『うん!有難うキョウ君!』

キョウスケは受話器を置いて再び椅子に座った。

「キョウスケも設定に順応してるじゃない」
「しないとやってられんのだ」 
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