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久遠の神話

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第五十二話 重力の剣その四

「それで礼を言うこともない」
「そして謝罪もですか」
「そうだ、どちらもいい」 
 つまり何もするなというのだ。
「あくまでィ一時的にだ」
「共闘しているだけですね」
「それ以外の何でもない」
「だからですか」
「本当に何も言わなくていい」
 こう上城に言う。
「ではいいな」
「はい、あらためてですね」
 二人はまたスペンサーと向かい合った、そのうえで上城が彼に言った。
「上から下だけじゃないんですね」
「重力は普通はそうですがね」
「しかし貴方の重力は」
「はい、そうです」
 まさにそうだというのだ。
「こうして横にも出せます」
「それが力ですか」
「貴方の力もそうだと思いますが」
「水、ですか」
「水は高い場所から低い場所に流れるものです」
 俗にそう言われている。
「しかしそれを、ですね」
「こうして」
 ここで上城は剣を一閃させた。その剣はまさに龍の様に上に下にうねってスペンサーに襲い掛かる、それを出したうえでの言葉だった。
「できます」
「そういうことです」
 こう返すスペンサーだった。
「力はその剣士が操れますから」
「重力もですか」
「曲げることもできます」
 それも可能だというのだ。
「野球の変化球の様に」
「それも変化球、普通のものとはとは違い」
「こうしてです」
 スペンサーもまた剣を一閃させた、するとだった。
 その重力が上城のうねる水流に向かった、下を飛んでいたがそれがホップ、通常とは逆方向のフォークボールの軌跡を描きだtた。
 上城の水流を相殺した、それから 言う彼だった。
「出すこともできます」
「そうですか」
「この通りです、しかし」
「しかし?」
「貴方はどうやら私の想像以上の力の持ち主ですね」
 こう上城に告げたのだった。
「今の水流を見る限りは」
「最近使える様になりました」
「そうですか。近頃ですか」
「はい、そうです」
「急激に力をつけられたのですね」
「その様だな」
 広瀬もここで言ってきた。
「俺も先程の様に木を蘇らせたり様々に曲がる木を放てるがな」
「そこに至るまでは」
「自然の摂理を無視するまでの力を使える」
 それはだというのだ。
「それは滅多に出来るものではない」
「それだけの剣士が一度に倒せる」
 スペンサーは楽しげな顔で述べる。
「合衆国の地位固めに好都合です」
「君は上に跳べ」
 広瀬はそのスペンサーを見ながら上城に言った。、
「俺は左右に動き惑わせながら攻める」
「僕は跳ぶんですか」
「そして上から攻めろ」
 変則的な二面攻撃を仕掛けるというのだ。 
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