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久遠の神話

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第五十二話 重力の剣その五

「わかったな」
「上からだと」
「浮かべるか」
「いえ、まだそれは」
「そうか。しかし跳べるのならだ」
 それならというのだ。
「空中から奴を撃て」
「わかりました。それじゃあ」
「奴はそのかなり強くなった君、そして俺よりもだ」
 遥かに強いというのだ。
「力が及ばなければ頭を使う」
「そして勝つんですね」
「勝つにはそれなりの工夫が必要だ」
 これが広瀬の考えだった。力が及ばなければそれを補うものを使って勝つ、そうしなければならないというのだ。
 だからこそ今も上城に言ったのである。
「その工夫で行くぞ」
「何か凄いことですね」
「凄くはない」
「凄くはないって」
「常識だからだ」
 だからだというのだ。
「特にそうではない」
「そうなんですか」
「頭を使うことは戦いの基本だな」
「そういえば剣道でも」
 上城もここで気付いた。
「実力が伯仲していれば」
「頭脳がものを言うな」
「はい、そこは」
「そういうことだ、だからいいな」
「それで上に跳んで」
「俺も仕掛ける」 
 頭脳戦、それをだというjのだ。
 こう言って彼は左右jに激しく動き分身の様にした、そしてだった。
 上城も跳び上から水を繰り出す、水の柱を次々に前方斜め下にいるスペンサーに対して放ったのである。
 広瀬は分身しながら無数の木の葉を出しそれと共にだった。
 剣から木の枝を矢の様に放つ、そうしてだった。
 上と前からスペンサーを攻めた、だがだった。
 スペンサーは冷静に己の前にビームのバリアーを張った、それでだった。
 水と木を防ぐ、そして言うのだった。
「激しい攻撃ですね。ですが」
「その重力の壁は、ですか」
「破れないか」
「破られるバリアーには意味がありません」
 こう言ってのことだった。
「こうして防がせてもらいます」
「破れないバリアーか」
「そうです」 
 広瀬にも述べる。
「重力は攻めるだけではありません」
「守ることもできるか」
「そしてそれは一つにもなれます」
「攻防一体か」
「こうして」
 ここでトゥーハンドソードを上から下に、そして左から右に十字に振った、するとその重力のバリアーが動いた。
 水と木、木の葉までを防ぎながら周囲に飛び散った、無数の重力の矢となり宙にいる上城も地にいる広瀬も襲った、中田はそれを見て上城に叫んだ。
「上城君、それはかわせないぞ」
「中田さん!?」
「防げ、それしかない」
「水の力で、ですか」
「水のバリアーを張るんだ」
 そうしろというのだ。 
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