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八条学園怪異譚

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第三十九話 狸囃子その十二

 そうして狸達のところに戻ると早速だった、団十郎狸が言ってきた。
「違ったか」
「次の場所に行くから」
「高校の普通科の体育館にね」
 二人は狸達に答えた、狸の方もそれを聞いて言う。
「では今はじゃ」
「ええ、おそばよね」
「そのたぬきそばね」
「うむ、、夏のそばだがのう」
 そばが最もまずくなると言われている季節だ、俗に夏そばは犬も食わないと言われている。
「しかしオーストラリアからのそば粉を使っておる、味はよいぞ」
「何か妖怪さん達の世界も国際色豊かね」
「変わってきてるのね」
「そうなっておる、この学園にも留学生が多いしのう」
 留学生の多さも八条学園の特色だ、国際色も豊かなのだ。
「それでそばもじゃ」
「オーストラリアなのね」
「輸入したものなのね」
「しかも手打ちじゃ」
 そうして作っているというのだ。
「美味いぞ」
「ううん、本格的ね」
「また凝ってるわね」
「狐さん達の方も手打ちじゃしな」
 あちらもそうして作っているというのだ。
「負けていられんわ」
「そうなのよね、どっちもそういうところで張り合ってるのよね」
 茉莉也もこのことについて言及してきた、茉莉也は既にそばを受け取ってその上に唐辛子をかけている。
「いい意味でライバルなのよね」
「別に喧嘩とかせずにですね」
「そういうことで張り合ってるんですね」
 二人もそれぞれそばを受け取りながら茉莉也に応える。
「それじゃあ仲はいいんですね」
「悪くないんですね」
「一緒に宴会をすることも多いからのう」
 また言う団十郎狸だった。
「仲はよいぞ」
「それで私もね」
 茉莉也も言う。
「共催の宴会に参加しておうどんもおそばも食べることがあるのよ」
「というかそこで参加されるのが先輩なんですね」
「らしいですね」
「褒めてもキスとお触りしか出ないわよ」
 茉莉也は二人のややじと目になったうえでの言葉にもあっさりと返した。
「それでいいなら出すけれど」
「強いですね、その辺り」
「いや本当に」
「女は強しよ。しかももうすぐ夏も終わりだから」
 夏休みも遂に八月二十五日を過ぎた、いよいよ全てが終わる時だ。
「余計に食べないとね」
「夏バテ防止ですね」
「その為ですね」
「そうよ、夏バテ防止の為にはまず食べること」
 それが第一だというのだ。
「だからね」
「それはその通りですね」
「やっぱり食べないと」
「そう、ダイエットもまず食べることだから」
 痩せたければたべろということだ。
「だからね」
「食べてから、ですね」
「何もかも」
「あんた達も食べ物を扱ってるお店の娘さん達ならね」
 それならばだというのだ。
「わかるでしょ」
「はい、ただカロリーや糖分のことは考えないといけないですけれど」
「あとコレステロールも」
 二人はこうしたことも頭に入れている、食べ物の店の娘達だけはある。 
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