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八条学園怪異譚

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第三十九話 狸囃子その十三

「うちでもメニューにそれぞれカロリー書いてますし」
「うちもそうしてます」
「コレステロールとかのことも考えて作ってます」
「糖分控えめにしています」
 こう茉莉也に話す、
「ダイエットの時はやっぱりお野菜かお魚を食べてます」
「普通のパンを」
「そうするといいわ、私だって痩せたい時はね」
 普段大酒を飲み甘いものをどんどん口にする茉莉也でもだというのだ。
「お酒もお菓子も止めてるから」
「えっ、先輩もですか!?」
「お酒と甘いものをですか」
「そうよ、トライアスロンはとんでもなくカロリーを消耗するから」
 だからだというのだ、茉莉也も普段は大酒を飲みお菓子を食べても大丈夫なのだ。しかしダイエットした時はというと。
「ちょっと断てばね」
「あっという間に痩せるんですね」
「そうなんですね」
「そう、だから私はダイエットは楽なのよ」
 これもトライアスロンのお陰である。
「本当にそれだけで済むから」
「運動されてるからですね」
「やっぱりそうなんですね」
「あんた達はかるた部だからね」
 文化系の部活だ、トライアスロンとは正反対だ。
「その辺り難しいわよね」
「いや、かるた部も結構これで」
「激しい運動なんですよ」
 そうだとだ、こう話すのだった。
「神経も集中させますし」
「汗もかきますよ」
「そういえば最近百人一首の漫画があるけれど」
 茉莉也も知っていた、その漫画のことは。
「凄い激しい漫画よね」
「本当にあんな感じです」
「真剣勝負なんですよ」
「頭使うとカロリーも使うからね」
 実は脳を使うとそこに血がいきかなりのカロリーを消費するのだ、考えることもまたカロリーを消費するのである。
「かるたもなのね」
「結構体力錬成とかも必要ですし」
「文化系といっても激しいですよ」
 こう茉莉也に話す。
「流石にトライアスロン程じゃないですけれど」
「カロリー使います」
「そうなのね、かるたも激しいのね」
「百人一首は丸暗記しないとはじまらないですから」
「素早さと記憶力がないと難しいんですよ」
 二人は茉莉也に話してだった、そして。
 今はそのたぬきそばを食べた、その味はというと。
「確かに。狸さん達が作るだけあって」
「これはかなり」
「どうじゃ美味いじゃろう」
 団十郎狸がどうだ、という顔で二人に問う。
「わし等の作るたぬきそばは究極のたぬきそばなのじゃよ」
「究極なのね」
「このたぬきそばは」
「何百年も研究と鍛錬を続け今もそれを続けている」
 それが究極になっている理由だというのだ。
「それ故に究極となった、最高の素材を最高の技術で作っていっておる」
「だからこの味なのね」
「美味しいのね」
「しかもライバルまでおる」
 ここで出て来るライバルはやはり彼等であった。
「きつねうどんには負けんわ」
「やっぱりそこできつねうどんなのね」
「狐さん達なの」
「負けてはおられぬ」 
 絶対にだというのだ。
「これは永遠の勝負じゃからな」
「そういえば狐さん達のきつねうどんも美味しかったわね」
「それもかなりね」
 二人は彼等のきつねうどんのことも思い出して顔を見合わせて話した。
「あちらも最高の素材で最高の技術なのね」
「それで作ってるのね」
「左様、たぬきそばとは何であるか」
 狐の場合はきつねうどんになるが意味は同じだ。
「わし等にとっては道なのじゃよ」
「そこまで大きなものなのね」
「狸さん達にとっては」
「うむ、だから遠慮なく食して色々言ってくれ」
 意見も求めるというのだ。
「それが余計にいいそばを作るからな」
「じゃあ。ちょっと感想もね」
「色々言わせてもらうわね」
 二人はその美味なたぬきそばを食べつつ実際に細かい感想を述べていった、そして酒も飲み他のものも食べて茉莉也とも一緒に楽しんだのだった。


第三十九話   完


                     2013・6・8 
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