学園黙示録のシリアスブレイカー
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何もかもうまくいくはずはないよねwww
前書き
うまくいくこともないんだけどねww
『自衛隊の出動には与野党ともに慎重論があり―――――』
テレビの画面からキャスターが報告してくれる。
っていうか何でさっさと出動させないんだよwww
一部の馬鹿が普段税金の無駄遣いとか言っているけど、今がまさに税金の無駄遣いだわwww
あと埼玉県では一万人が死んだらしいよ。埼玉県民……。
その後もリポートを続けていたが、『何故か』通信が途絶えてしまう。
放送事故用の、ファンシーでメルヘンチックな画像と共に『しばらくお待ちください♪』と画面に映る。
……これはアカン(絶望)。
「くそったれ!」
小室が机を殴りながら叫ぶ。
俺も叫びたいよ……泣き叫びたいンゴ……。
毒島が変えたチャンネルでは、世界各国の状況が放送されていた。
世界の警察(笑)、正義と自由の国(笑)であるアメリカの大統領はホワイトハウスから逃げ出したらしい。ふざけんな。
あほらしい国だが軍事力だけは圧倒的に世界一の国が敗北宣言かよwwwこりゃあきまへんよwww
『北京では全市街が炎上していて―――――』
ふ~ん……まあアジアの赤はどうでもいいや。
そしてその報道も、砂嵐になって終わってしまった。
◆
「嘘……世界がたった数時間でこんな風になるなんて……」
宮本が呆然と呟き、助けを求めるように俺の服の袖を摘まむ。
俺も怖いからお前の育った胸に顔を埋めてもいい?
「……」
止めとく。止めとくからその『カモ~ン♪』と両手を広げるのを止めろ、毒島。
いつ育て方を間違ったのだろうか……。
「ねえ……この事態の収拾っていつ付くの……?」
いつか。
「そう簡単につくわけないじゃない……パンデミックなのよ?」
宮本の疑問に答えたのは高城だった。
ふざけた回答しなくてよかったわwww
「パンデミック……」
高城の発言を受けて、鞠川先生が深刻そうに顔を歪める。
え……パンデミックってなに?皆知ってるの?
「あんた、説明してやりなさいよ」
ここで無茶振りですか、高城さんwww
なんだよパンデミックってwwwパンの祭りでもしているの?
「あ~……あれだよあれ。アフリカ大陸で七十七年に一度行われるパン祭りのことだよ」
「パンデミックっていうのは感染爆発のことよ」
おい高城www俺の発言をなかったかのように進めるなwww
大体感染爆発なんて歴史に必要ないんだよ。んなもん保健でやってろ。
「1918年のスペインかぜや14世紀の黒死病とかがあるわね」
……なんか年号が出てきたぞ。もしかして歴史に関係があったり……?
いや、問題ない問題ない。ま、まあ大丈夫とは思うが、一応電子辞書で見てみよう。
「―――――肉が腐って骨だけ―――――」
え~と……なになに?
スペインかぜ……20世紀前半に世界中で大流行したパンデミック。感染者は六億人。死者は五千万人。当時の世界人口の約三割が感染した。
黒死病……ペストとも言われる。大流行した14世紀のヨーロッパでは、全人口の三割が命を落とした。
「…………」
怖ぇぇぇぇぇっ!なにこの病気!恐ろしすぎてちびりそうになったわ!
パンデミックってこんなにひどいの?
神様のクソッタレ!どうしてこんな世界に転生させたんだよ!
どうせならラブコメが原作の世界に行ってみたかったわ!
「―――――チームだ!チームを組むのだ!」
え……なんだって?
やべ……話全然聞いてなかったから、なんのことかさっぱりだわwww
っていうかなんで皆それぞれ武器を持って凛々しい顔してんの?
「さぁ、先生。往こう」
どこに行くんだ?毒島。
なんか字が物々しくて嫌なんだが……。
「あたしたちを守ってね」
俺を死の危険にさらしまくったくせによく言えるな、宮本。
お前槍術にかなり通じているんだから、全然大丈夫だろ?
「い、一応頼りにしているわよ」
ふと思ったんだけど高城。もしお前がブスだったら殺してたかもしれないわwww
三次のツンデレとか誰得だよって話だしなwww
「子供たちの安全を第一に考えないとですね~」
こんなときでものんびりとした口調、素敵です鞠川先生。
発言内容も生徒のことを思っているなんて、まさに教師の鑑ですね。
でも今朝人を撥ねたのは……?
っていうかなんなの?何するか説明してほしいんだけど……。
「さぁ……往くぞ!」
そう言うと小室はガラリと扉を開けた。
……開けた?
「ちょっwwwなにしてんねんwww」
籠城しないのwww?それ先に言っててよwww俺まで武装してないんだけどwww
扉が開くと、フラフラしているゾンビがすっとこちらを見てくる。
勘弁してください。小室とか上げますんで。
こうして俺たちは、何かよくわからんけど外に脱出することとなった。
……先生に一つ相談はしてほしかったな。
◆
「あいつらは音にとても敏感よ。腕力もかなり強いから、掴まれたら死ぬと考えておいて」
「え、俺脱出できたけど」
「あんたとあたしたちを一緒にしないでよ」
……傷つきました。
ゾンビの情報を高城が説明してくれた。
まあ確かに腕力は凄まじかったな……あれは危ない。
……でも抱き着かれておぱーいの感触が味わえるんだったら、また掴まれても構わないwww
「きゃぁぁぁぁっ!!」
「うっひょいっ!?」
身を裂くような女の絶叫が響いた。
お、驚かせるなよ……べ、別に半泣きになってなんかいないんだからねっ!
今のは断末魔の叫びといったやつだろうか……あぁ、恐ろしや恐ろしや。
まあ触らぬ神に祟りなしというし、ここはスルーしておいた方が……。
「はっ!」
「ふっ!」
―――――とか思っていたのに、生き残りの生徒四人に群がるゾンビを毒島と宮本が倒してしまった。
しかし強すぎだろwwwこれからも俺を守ってくださいwww
しかし大方倒されても、まだ数体のゾンビが生き残りの生徒たちに近づいていた。
……まあ、何もしていなかったら流石にまずいだろうし、一応助けとこ。
「てぇいwww」
金砕棒を振りおろし、頭を砕く。
やべぇwwwこの武器使い勝手が良すぎるwww
「せ、先生……ありがとうございます!」
そう言って俺に礼をするバットを持った生徒。
え~と……誰だっけこいつ。
まあ女子連れている時点で俺の敵だわwww腐れ落ちろwww
「誰か奴らに噛まれた者はいるか?」
「い、いえ!いません!」
毒島が生徒に聞いている横で、俺は周りを見渡す。
ほんの数時間前まで生徒たちが通っていた場所は、今や倒れた生徒『だったモノ』と血痕で汚れてしまっている。
……バイオハザード怖ぇ……。
「先生、皆本当に噛まれていないみたい」
宮本が俺にそう言ってくる。
お前は個人行動を控えてくれない?俺なるべく危険からは離れていたんだよwww
「よし、じゃあ行くかwww」
とにかくこの学園から脱出するならさっさとしないとな。
目指せ!自衛隊駐屯地!
◆
「……数が多すぎるな」
毒島がそう言って目をやる先には、ゆっくりと歩くゾンビ複数。
あと少しで外に出れるという場所で、足止めをくってしまった。
やっぱり逃げようとした生徒たちが殺到したんだろうな……ゾンビの数がやたらと多い。
「奴らは音に反応するけど、逆に他の五感はまったくないと言っていいわ。こっそり行けばばれないわよ」
「じゃあお前が行って確かめてくれよ」
「うっ……」
高城が自身の推理を説明するが、小室の言葉に詰まらせてしまう。
しかし小室……それは女子に言う言葉じゃないだろwww
じゃあ行けよってお前www
「あ、あたしの代わりに調べてくれるわ!長谷川が!」
「なんでやねん」
ふざけんなバーローwww
宮本もそうだが、お前ら俺のことなんだと思ってるの?囮なの?
これは酷い。訴訟も辞さない。
「あくまでもお前の意見は推理だろうがwww下手したら食い殺されるよ?俺」
「確かに推理だけど、ほぼ100パーセントよ」
それでも嫌でござんすwww
一応リーダーなんだから小室が行けよwwwおいどんは行きたくないでごわすwww
「死にたくないでござる!絶対に死にたくないでござる!」
「み、醜い……」
後で平野ぶっ殺す。
でもお前らも死にたくないだろ?
当然俺も死にたくない。だから何を言われようと絶対に行かない。絶対にだ!
「行ってくれるんだったら、ちょっとだけならあたしの胸触っても―――――」
「私が行こう」
生徒たちにこれ以上危険な目に合わせるわけにはいかない。
私は教師として、何より大人として自身を危険にさらさなければならない。
親御さんから預かった大切なご子息たちだ……決して死なせはしない!
俺は普段から考えていることをさらに思い浮かべ、音を立てないようにゆっくりと階段を下りていく。
いや、決して高城がFカップという巨乳を腕で押し上げながら流し目で見てきたからとか、そんなことが理由ではない。
「これが大人……」
小室が畏怖したように俺を見てくる。
ふっ……俺のような立派な大人になれよ……?
俺は歩いていた足を細心の注意を払って止める。
周りをゾンビ……小室たち風に言うなら奴らが徘徊している。
喰らいつく獲物を求めて、フラフラと歩いている。
……怖いよママぁぁぁぁっ!!
くそ!一時の欲望に流されるんじゃなかった!
取り返しのつかないことになるってお父さんに教えられてたのに!
いやぁぁぁぁっ!お願い!高城の推理が的中していてくれぇぇっ!
「…………」
真っ青な顔でガクブルしながら少し経つ。
しかし奴らは俺に気づいた様子はなく、襲い掛かってくることもなかった。
よっしゃ!高城の推理が当たってた!
後はこいつらをなるべく玄関扉から離れさせる……と。
「(とぅっwww)」
手に持っていた金砕棒をロッカーにぶつける。
大きな音がしたそこに、奴らはぞろぞろと群がりはじめる。
いやっほぉっ!これで高城のおっぱい触りまくりだぜっ!
そんな視線を高城に送ると、あからさまに嫌そうな顔をした。何故だ。
奴らが離れていく様子を見て、待機していた毒島たちが降りてくる。
「(ふぅ……これでなんとか無事に脱出できそうだなwwwいやぁ、案外ちょろいもんだなwww)」
この時の俺は気づかなかったんだ。
これが俗に言う―――――
―――――フラグというやつだと。
カァンッと金属と金属を打ち合わせた音が鳴る。
その音の発生理由は、助けた男子生徒が持っていたさすまたが階段の取っ手に当たったことだった。
その高い音は、静まり返った学園中に聞こえるのではないかと思うほどだった。
まあつまり―――――
「走れぇぇっ!!」
学園中にいる奴らが俺たちを獲物と判断したということさっ☆
小室の声に一斉に走り出す。
目指すはバス。それぞれが全力で走る。
勿論俺も全力疾走である。半泣きである。
「何で大声出したのよ!?黙っていれば、近くの奴らを倒すだけで済んだかもしれないのに!」
高城は大声で小室に抗議するが、背後から近づいていた奴らに気づいていなかった。
「ちょwww危ねぇよwww」
「きゃっ!」
高城の腕を掴んで、こちら側に引っ張って奴らから避けさせる。
おいおい、高城には死んでもらうと困るぞ。
こいつほど頭の良い奴なんてほとんどいねぇんだからな。
「文句は後にして、とりあえず走れやwww」
「うっ……わかったわよ」
ちなみにさっき引っ張った時必然的に身体が密着しました。
高校生でFカップとか、そんなのもう戦略級核爆弾とそう変わらないと思いますですはい。
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